1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 大型連休 都道府県またぐ移動コロナ前の82% リバウンドの懸念は?

大型連休 都道府県またぐ移動コロナ前の82% リバウンドの懸念は?

  • 2022年5月9日

3年ぶりに新型コロナウイルスによる行動制限がなかった今回の大型連休。都道府県をまたぐ人の移動は、去年の大型連休より3割増え、新型コロナウイルスの感染拡大前の82%にまで戻ったことがわかりました。
一方で、東京都の新規感染者数は、3日連続で前の週の同じ曜日を上回るなど、感染の再拡大、リバウンドの可能性も懸念されています。

連休の観光地は

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が3年ぶりになくなったことしの大型連休。栃木県有数の観光スポット、日光市の東照宮では、連休最終日の8日、家族連れなどが「見ざる・言わざる・聞かざる」で知られる三猿を眺めたり、国宝の陽明門のきらびやかな彫刻を写真に収めたりしていました。

社務所によりますと、4月29日から8日までの大型連休期間中に訪れた人は7万5000人あまりにのぼり、去年の同じ時期に比べて1.7倍あまりに増えました。

しかし、感染拡大前の3年前に比べるとおよそ6割にとどまっていて、感染対策のため少人数のグループで車で訪れるケースが多かったということです。

日光東照宮 山作良之総務部長代理
「天候にも恵まれ、参拝者は去年より増えたが電車で来る人、外国の人、団体ツアーはまだ少ないです」

都道府県またぐ人の移動 コロナ前の82%

3年ぶりに行動制限がないことしの大型連休、都道府県をまたぐ人の移動はこれまでと比べてどう変化したのか。8日までの10日間についてビッグデータを分析したところ、去年の大型連休より3割増え、新型コロナウイルスの感染拡大前の82%にまで戻ったことがわかりました。

NHKは、NTTドコモが携帯電話の基地局からプライバシーを保護した形で集めたデータを使い、ことしの大型連休に都道府県をまたいで移動した人の数を分析しました。(15歳から79歳。午後3時台の人数の平均をもとに割合で比較)
その結果、都道府県をまたいで移動した人は全国平均で、東京や大阪など4都府県に緊急事態宣言が出されていた去年の大型連休より34%増えました。

そして、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の3年前、2019年の大型連休と比べると、82%まで戻ったことが分かりました。

東京からの移動は?

東京都からほかの道府県への移動は去年より24%増え、3年前の85%まで戻っていました。

3年前との比較(移動先の道府県別)
沖縄:108%
神奈川県:97%
埼玉県:95%
千葉県:90%
大阪府と京都府:89%
北海道と福岡県:86%など

首都圏各地などふだんから往来の多い府県に加え、沖縄や京都、北海道といった観光客の多い地域が上位を占めています。

新幹線は去年比2.45倍

大型連休の期間中に全国の新幹線や特急列車を利用した人はおよそ907万人あまりと去年の同じ時期より2.45倍に増え、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準の7割あまりまで回復しました。

JR各社は、4月28日から5月8日までの11日間の、全国の新幹線や特急列車の利用状況をまとめました。
それによりますと、新幹線と特急列車をあわせた利用者数はおよそ907万5000人で、去年の同じ時期より2.45倍に増加し、新型コロナ感染拡大前の4年前(2018年)の水準の75%まで回復しました。

このうち、新幹線の利用客は去年の大型連休の期間と比べると次の通りです。

東海道新幹線:2.74倍
北陸新幹線:2.41倍
東北新幹線:2.15倍
九州新幹線:1.89倍
北海道新幹線:1.86倍など

JR各社は、利用客の増加について「新型コロナに関する移動制限がなかったことから去年より利用客が増え、素直によかったと受け止めている。感染対策を引き続き徹底していきたい」としています。

リバウンドの懸念は?専門家に聞く

一方で、東京都内の新型コロナウイルスの感染者数が前の週の同じ曜日を上回る日が続いています。
これについて、感染症対策に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、次のように指摘しています。

国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授
○感染者の状況について

大型連休が始まる前後から、少しずつ人の動きが活発になり、それが感染者数として反映されてきているとみられる。今がちょうど山の上りかけで、今週、それなりの数に増えていく可能性が高いのではないか。行動制限がない大型連休で人が動き、食事や会話の際にマスクを外すという状況を考えると、残念ながら感染が広がりやすくなったというのは間違いないと思う。

○今後の見通しについて
大型連休で感染した人の数が反映されるのは来週の頭くらいまでだと思うが、都内で1日あたり1万人以下に抑えられれば、医療機関への影響もそこまで大きくなくて済む。ただ、第6波の時のような1日2万人という数字まで増えてしまうと、社会的な影響も大きくなるのでそのあたりが重要な数字となる。

○経済社会活動と感染対策を両立
もちろん感染者数を減らせるなら減らすに越したことはないが、今までのように多大な犠牲を払って感染者数そのものをどんどん減らしていこうという状況ではなくなってきたのも確かにそのとおりだ。一定程度の感染者が出てもなるべくダメージを抑えながら社会活動を回していく、ちょうどそのバランスを取り始めている時期だと感じる。子どもや若い人の間でも一部は重症化し、後遺症も出て、長くつらい思いをする人もいる。ワクチンの接種で重症化や後遺症の頻度は減らせる。あまり甘く見ずにどうやって身を守るかということは考えてほしい。

ページトップに戻る