1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 新型コロナワクチン 期限切れで廃棄見通し 東京23区で約2万回分に

新型コロナワクチン 期限切れで廃棄見通し 東京23区で約2万回分に

  • 2022年4月28日

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐって、使用されないまま有効期限を迎え廃棄される見通しのワクチンが、東京23区では4つの区でおよそ2万2000回分にのぼることがNHKの取材でわかりました。

東京23区 期限切れで廃棄のワクチン約2万回分に

NHKは3回目の接種を進めている東京23区に新型コロナワクチンの使用状況と廃棄の見通しを取材しました。その結果、4月末までに有効期限を迎えるモデルナのワクチンのうち、使用のめどが立たず廃棄される見通しのものが、4つの区で少なくとも合わせて2万2290回分にのぼることがわかりました。

具体的には、中野区で1万3935回分、目黒区でおよそ6000回分、文京区で1575回分、杉並区で780回分となっています。

ファイザーのワクチンについては4月22日に有効期限が9か月から1年に延長されましたが、杉並区ではすでに18回分が廃棄されていました。
廃棄の理由について多くの自治体は、当初の予測より接種が伸びていないことやモデルナの希望者が比較的少なかったことなどからワクチンが余ったことをあげています。

管理不備などで廃棄のケースも

管理の不備などでワクチンが廃棄されるケースも相次いでいます。東京23区では15の区で少なくとも合わせて1万6270回分にのぼっています。

・江東区 7728回分
・世田谷区 3645回分
・品川区 2500回分
・中野区 1470回分 など

廃棄の原因としては、電源の不備や手順の誤り、地震による停電などでワクチンを保管していた冷凍庫などでの温度管理が適切にでなかったケースがほとんどでした。

東京 墨田区 地域連携で廃棄を防ぐ

自治体の中にはワクチンの廃棄を防ぐ取り組みを行っているところもあります。東京・墨田区は、有効期限内に使い切ることが難しい医療機関が出た場合、速やかに別の医療機関に移す態勢を整えるなど、区内での密な連携で廃棄を出さないよう対応しています。

廃棄を出さないため、区では有効期限のチェックとともに、医療機関を対象にしたワクチンの説明会の場などで、期限の厳守のほか、使い切ることが難しい場合には、すぐに区に連絡をするよう呼びかけを続けています。
そして、クリニックなどから有効期限が近いワクチンが残っているという連絡が寄せられると、すぐに職員が調整を行い、接種回数が多い医療機関などへワクチンを移す取り組みを行うことなどで廃棄を防いできました。

こうした密な連携で、東京・墨田区では、有効期限切れで廃棄したケースは出ていないということです。いっぽう、接種回数が増えるにつれ、接種を希望する人が減っていることや、5歳から11歳の小児用のワクチンは接種率も低迷が続いていることから、ワクチンの在庫の管理は難しい状況になっているということです。

墨田区保健所 岩瀬均 次長
「今は臨機応変に工夫して対応している状況なので、今後はこの仕組みをよりシステム化したいと考えている。4回目接種も始まるが、みなさんの税金での接種なので、むだなくしっかりとやっていくことが行政の務めだと思っている」

厚労省「廃棄減るよう有効活用を」

厚生労働省はワクチン1回分の金額を明らかにしておらず、今回、廃棄されるワクチンの総額はわかっていません。
厚生労働省は今後、有効期限を迎えるワクチンが増える可能性があるとして「自治体は希望者に接種を呼びかけ、有効期限が迫ったワクチンから使ってもらいたい。自治体間で融通し合うこともできるので、廃棄ができるだけ減るよう有効活用をお願いしたい」としています。

ページトップに戻る