1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. ワクチン3回目 交互接種の効果と副反応 モデルナとファイザーの違い

ワクチン3回目 交互接種の効果と副反応 モデルナとファイザーの違い

  • 2022年2月21日

2回目までファイザーを接種した人が3回目でモデルナを接種した場合と、3回ともファイザーを接種した場合の違いはどうなのか。新型コロナウイルスワクチンの3回目接種で「交互接種」についてのデータが公表されました。感染を防ぐ抗体値や、発熱などの副反応の頻度に関するデータと、3回目接種の課題についてまとめました。

ワクチン3回目の接種率

総理大臣官邸のホームページによりますと、2月17日までに3回目の接種を受けた人は全人口の12.6%にあたる1600万9146人で、2月末までに対象となる人数の42.7%です。
また、デジタル庁のホームページによりますと、65歳以上の高齢者で3回目の接種を受けた人は2月19日時点では1260万1114人で、接種率は35.2%となっています。

3回目接種後の抗体値 54倍~67倍

この3回目接種について、厚生労働省の研究班が有効性や副反応のデータを初めて公表しました。研究班は、国内で最初に3回目の接種が始まった医療従事者について、変異する前の従来株に対する抗体の値や副反応を分析しました。対象となった全員が2回目まではファイザーのワクチンを打っています。

抗体の分析対象
・血液検査の結果、感染による抗体を持っていなかった人
・3回目接種がファイザー 396人
・3回目接種がモデルナ  233人

この中で感染による抗体を持っていなかった人を対象に3回目の接種から1か月後の抗体の値が、接種の直前に比べてどれくらい上昇したかを調べたところ、3回ともファイザーを打った人は平均で54.1倍、3回目にモデルナを接種した人は平均で67.9倍だったとしています。

海外の研究結果を踏まえると、オミクロン株に対する効果も3回目にモデルナを接種した場合のほうが高いと推察されるということです。

副反応の頻度や症状のピークは

副反応の分析対象
・接種後1週間までの日誌が回収できた人
・3回目接種がファイザー 2626人
・3回目接種がモデルナ  437人

〇副反応があった人の割合は
副反応については、3回目の接種後に38度以上の発熱があった人は、3回ともファイザーを接種した場合が21.4%、3回目でモデルナを接種した場合が49.2%でした。
また、全身のけん怠感は、ファイザーが69.1%、モデルナが78%となっています。
そして頭痛は、ファイザーが55%、モデルナが69.6%、だったということです。

〇症状のピークは
いずれも症状が出るのは接種の翌日がピークで、2、3日後にはほぼおさまったということです。

〇重篤な症状は
3回ともファイザーを打った人では、心臓の筋肉に炎症が起きる「心筋炎」が疑われるケースが2例報告されましたが、重篤な症状ではなかったということです。
3回目にモデルナを打った人では心筋炎を含めて重篤な症状は確認されていないとしています。

順天堂大学医学部の伊藤澄信客員教授(研究班代表)
「3回目にモデルナを接種したほうが抗体の値が上昇する一方で、副反応が出る頻度は高かったが病気休暇を取得する程度は変わりがなかった。どちらのワクチンを選択するかは効果と副反応のバランスを考えて判断してほしい」

1日100万回接種 現状では最大75万回

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種をめぐって、今月に入ってから1日あたりの接種回数は増加傾向にあるもののおよそ32万9000回から75万7000回となっています。
1日あたり100万回の実現を目指す中、政府は希望する人への接種をどう加速させるかが課題だとしています。
厚生労働省は、当初、自治体が8か月の接種間隔で準備をしていたために、接種券の送付が間に合っていないケースも少なくないとみて、接種券が届いていない人も速やかに接種を受けられる体制を整えるよう自治体に改めて周知しています。

“早く接種を進めたいならば手続き省略も”

長野県立大学 田村秀教授(複数自治体で政策アドバイザー)

〇前倒しで自治体の負担大
国から急きょ接種の方針が前倒しされるなか接種券を発送するなど自治体には細かい手続きを行うよう国のほうで求められていて十分に対応しきれていないところがある。自治体が手続きをきっちりやり、業務をこなすのはかなりの負担だ。

〇接種を進めるには
平常時は公平性や手続きの妥当性が特に重視されるが、いまは緊急時なので何を優先するのかを考えることが大事だ。早く接種を進めたいならば、接種券がなくても接種が受けられるなど、手続きを省略することなどを国は積極的に認め、自治体の裁量を許容していくべきだ。接種しない人もいるが、接種したい人がどんどん打てるようにすることが求められる。

ページトップに戻る