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新型コロナ 中学校の修学旅行6割超が未実施 東京都内23区

  • 2022年2月14日

東京ではまん延防止等重点措置が延長されるなど新型コロナの収束が見通せない中で年度末が迫っています。都内23区の中学校では6割を超える学校で修学旅行をいまだ実施できておらず、学校現場では中止のほか時期や行き先の変更などの対応を迫られています。

東京23区の中学校 修学旅行6割超で未実施

東京都では2月13日が期限のまん延防止等重点措置が3月6日まで延長される中、NHKでは東京23区の教育委員会に今年度予定された修学旅行への新型コロナの影響について取材しました。

都内23区の区立中学校合わせて373校では、本来、先月までに修学旅行を実施する予定でしたが実施したのは143校で全体の38%にとどまりました。
一方、予定通りに実施できていない230校の内訳を見ると、全体の7%にあたる26校は中止を決め、全体の23%にあたる87校が方針は未定としています。

そして、31%にあたる117校が、当初の予定を延期して卒業を迎える3月末までの間に実施する予定だと回答し、このうち半分近い56校では重点措置を受けて行き先を関西などの遠方から、都内の高尾山などの近場に変更したということです。

また、これから実施予定の学校からは、移動の過程での感染リスクを下げるために交通手段を新幹線からバスに変更するとか、宿泊日数を減らして目的地でも黙食を徹底するなどという声が聞かれました。

旅行会社 修学旅行3分の1以上中止

新型コロナウイルスの影響で学校行事の中止が相次ぐ中、大手旅行会社が今年度、手配する予定だった修学旅行が、3分の1以上で中止となったことがわかりました。
実施するか現在も検討中の学校もあり、オミクロン株が拡大する中、中止がさらに増える可能性もあります。

大手旅行会社の「近畿日本ツーリスト」では、今年度、4202校の修学旅行を手配する予定でしたが、実施できたのが54%にあたる2284校だったのに対し、新型コロナの影響ですでに中止が決まったのは36%にあたる1531校でした。
このほかの387校は3月までに実施する計画にしていますが、年度末まで残り少なくなったこの時期に最終的な判断を行う学校が多く、オミクロン株が拡大する中で中止がさらに増える可能性もあります。

修学旅行が最終学年で行われる予定だった場合、これ以上の延期はできず、学校は保護者や子どもたちから意見を聞くなどして慎重に対応を検討しています。

近畿日本ツーリストの担当者
「今年度は感染防止対策を取って何とか実施しようという学校が前年度より多かったが、オミクロン株の拡大で年明けから中止する学校が増えている。旅行会社として子どもたちのためにサポートしたい」

体験機会失い成長への影響は

新型コロナの長期化で子どもたちの学校行事がなくなるなどさまざまな体験の機会が失われています。子どもの成長への影響について、東京都医師会の定例会見で、小児担当の医師は次のように述べました。

小児科医 東京都医師会 川上一恵理事
「コロナの流行が丸2年続き、子どもたちは学級閉鎖や登校停止などで家庭内に居場所がない、狭い家で親にうるさいと叱られ、静かにするためにゲームをしたりして生活リズムが崩れたというお子さんが数多く見られます。学校では修学旅行や運動会、文化祭もやっていないなど、中高生になってくると3年間のうち2年間行事がない状態で過ごし、マスクをしていることで友達の顔もわかりません。人の表情を見て行動するという本来、小児の時期に学ぶべきことができていません。

いかに子どもたちが心身ともに豊かに育っていけるようにするか、やはり私たちは経済を回すのと同時に子どもの教育もしっかり回すということを考えなければ、10年後20年後、この抑圧された状態で育った子どもたちが大人になったときにどういう社会人になるかということも考えておかないといけないと現状を危惧しています」

修学旅行実施の中学校は

アンケートを行い、参加を希望する生徒は予定通り実施する方針の中学校もあります。

東京・渋谷区の原宿外苑中学校では3年生の修学旅行を年度当初、去年5月に2泊3日の京都・奈良の計画でしたが、感染拡大の影響で2月24日に延期となり、今回、まん延防止等重点措置の延長で措置期間中の実施予定となってしまいました。

現在の3年生は新型コロナの影響でこの2年間、文化祭の中止や体育祭の規模の縮小などさまざまな体験の機会を制限されてきたことから、学校は、2月21日の都立高校の入学試験の終了後から3月18日の卒業式までの間になんとか修学旅行は実施したいと、教育委員会などと検討を重ねてきました。

そして移動手段を新幹線から貸し切りバスに変更するなどの対策をとり、重点措置の延長での実施が濃厚となった2月8日から、保護者と生徒に参加の希望について緊急のアンケートを行いました。
その結果、およそ100人の生徒のうち、8割が参加を希望し、残りの2割は同居の家族に高齢者がいるなどの理由で参加しないと回答しました。

学校では参加人数が減って1人当たりの貸し切りバスの代金が予算をオーバーすることから、バスガイドの添乗を取りやめて現地の旅行ガイドに切り替えることで代金を抑え、修学旅行を実施することを決めました。

担任

修学旅行は実施することになりましたがなかには行かないことを選択した子もいます。正解はひとつではなくいろいろな考え方があるということを踏まえて行動しましょう。

生徒

今までいろんなことを我慢してきた。部活とかも延期となり、最後の行事が出来るようになりうれしい。

 

原宿外苑中学校 駒崎彰一校長
「実施にあたっては感染の不安を訴える声もあったのは事実で、家庭それぞれで考えがありますから当然だと思います。参加しない生徒たちを精神的にケアしたい」

 

保護者

特に去年は学校行事が中止になるなど我慢することが多かった。感染対策を考えてくれた学校を信頼して行かせたい

専門家「何なら出来るかという観点で」

教育社会学が専門の東京電機大学の山本宏樹准教授は、「修学旅行は、違う地域や世代のどの学校でも共通体験となるし、子どもどうしが役割分担して行動する中で、偶発的に起きたトラブルをどう解決するかなどを考える教育的な効果がある機会だ」としています。

山本宏樹准教授
「観光地の散策やタクシーの貸し切りなどふだんとは違う未知の社会や人と触れあうというのが修学旅行だからこそのだいご味だが、感染状況を考えるとこれまで通りの形での実施は難しい状況だ。
しかし、修学旅行を『やる・やらない』ではなく、『何ならできるか』という観点で子どもと先生が一緒に知恵を絞ることこそ“コロナ禍の学び”だ。子どもからすると十分な説明もなく学校が中止や変更にしていると捉えがちなので、子どもたちを議論に参加させて決定のプロセスに関わらせてほしい」

また、コロナ禍での修学旅行の実施は、子ども本人が参加したくても家庭の事情で参加できないケースも少なくないとしたうえで、次のように指摘しました。 

山本宏樹准教授
「タブレットを使って観光地の散策や講話をオンラインでつなぐなど体験を共有することで、一緒に行けなくてもできる活動はあるのではないか。それが参加できない子どもの救いにつながることもあるので創意工夫ができるといい」

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