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群馬 トラックのタイヤ外れ重傷 なぜ事故は?冬と左後輪が危険

  • 2022年1月14日

群馬県渋川市の国道で12日、走行中の大型トラックから左後輪の2本のタイヤが外れ、このうち1本がおよそ500メートル転がり歩道を歩いていた男性に直撃し、大けがをしました。
大型車のタイヤが外れる事故は冬場に多く、左後輪が外れる事故がほとんどを占めています。
いったい何が起きたのか、今わかっていることと、事故を防ぐ注意点をまとめました。

大型トラックからタイヤ外れ男性重傷

12日午後0時半ごろ、渋川市の国道17号線で建材会社の社員が運転する走行中の大型トラックから2本タイヤ2本が外れました。

このうち1本は反対車線を越えておよそ500メートル先の歩道まで転がり、歩いていた渋川市の45歳のアルバイトの男性に直撃しました。
男性は骨折や内臓に損傷を負うなどして家族によりますと病院の集中治療室で手当てを受けているということです。

男性の父親
「病院で話を聞くと『即死でも不思議ではない状況です』と言われました。今は集中治療室にいてきのう、きょうは会えていないが看護師によると回復は順調だと聞いている」

トラックの左後輪2本が外れる

トラックのタイヤは前輪が左右に1本ずつ、後輪が4本ずつ付いていて、このうち左の後輪の2本が走行中に外れたということです。
外れたのは直径がおよそ1メートルある冬用のタイヤで、運転していた会社員は仕事で砂を運んでいた途中だったということです。

外れたタイヤの衝撃は…

大型トラックなどから外れたタイヤが歩行者にぶつかったらどうなるのか、国土交通省が公開した実験の映像です。

時速60キロで走行している大型車からタイヤが外れた状況を再現し、タイヤはベビーカーを押している人形の後ろから激しくぶつかりました。タイヤがぶつかった人形は4メートルも飛ばされ、タイヤが直撃した際の衝撃の大きさがわかります。

1か月前に冬用に交換

事故について建材会社の幹部が13日NHKの取材に応じました。
外れたタイヤは1か月ほど前に外部の業者に委託して冬用に交換したもので、当日の朝、運転手が点検を行った時に異常は確認されていなかったと説明しました。

建材会社幹部
「警察の捜査に全面的に協力していく。このような事故を起こしてしまったことを受け、今後は専用の器具を使ってタイヤのナットに緩みがないか確認するなど、日々の点検を強化したい」

また、建材会社によりますと外れたタイヤの重さは100キロほどあり、事故のあと確認したところタイヤのナットは外れた状態だったということです。

事故は冬用タイヤ交換後に多い

国土交通省によりますと、トラックなど大型車のタイヤが走行中に外れる事故は、昨年度は131件起きていて、統計を取り始めた平成16年度以降で最も多くなっています。

昨年度の事故のうち、65%あたる87件は冬用タイヤを装着する11月から2月までの冬場に集中しているほか、58%にあたる76件はタイヤ交換をしたあと1か月以内に発生しています。

国土交通省はタイヤ交換を大型車の運行事業者が行うケースが多く、ナットの締めつけなどが十分ではないことや、タイヤ交換後に一定距離を走ると、ナットやボルトの金属どうしがなじんで緩まる、「初期なじみ」が起き、その点検が十分でないことが背景にあるとみています。

95%が左後輪 小回りで負荷大か

12日群馬県渋川市の国道で起きた事故では、左側の後ろのタイヤが外れましたが、国土交通省によりますと、昨年度の事故でも、左後輪が外れるケースは125件と、全体の95%を占めています。

大型車の構造や積み荷の重さによって、左後輪には大きな負荷がかかるほか、前輪と異なり、後輪は締めつけが緩んでもハンドルの振動が大きくなるなどの変化があまり起こらず、運転手が気づきにくいことが要因とみられるということです。
取材した群馬県内の整備工場の工場長は、「右折では大きく回るが、左折では小回りになるので内側のタイヤに負荷がかかり負担がかかって取れやすいと思う」と分析しています。

事故どうすれば防げる?

今回のような事故を防ぐためどのようなチェックが必要なのか。
取材した群馬県伊勢崎市にあるトラックの整備工場の工場長によりますと大型トラックのタイヤは重さ80キロから100キロほどあるということです。

工場長は、運送業者などには運行前に目で見た上でハンマーを使って点検することが義務づけられているとして「義務である運行前の点検を毎日、しっかりすることが大事だ」と話しています。

国土交通省は、今の時期は「初期なじみ」が起きやすいとして、運行前にナットやボルトの状況を点検し、緩みを締め直す「増し締め」を行うなど、対策の徹底を呼びかけています。

また、全日本トラック協会は次のように話しています。

全日本トラック協会
「タイヤの交換から2か月以内に脱輪するケースが事故全体の8割近いので、取り替え後に特に注意してほしい。取り替える際にボルトやナットの状態を確認して確実に締め付けることはもちろん、50キロほど走ってから再度締めつける『増し締め』を確実に行ってもらいたいが、何よりも運行前に取り付け状態を確かめる日常点検を徹底することが極めて重要だ」

けがをした男性の父親
「(タイヤが外れる事故は)起きうることだと思っているが今回の事故は一般のドライバーではなく運転のプロの車で起きていて、乗用車のタイヤとは大きさも違う。こういう事故が起きたことを受けてしっかり点検をしてほしい」

今回の事故について、警察はタイヤが外れた原因や車の整備状況について調べています。

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