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ロッキン会場 ひたちなか市から千葉市に “実は12月に伝えていた”

  • 2022年1月5日

茨城県ひたちなか市の夏を盛り上げてきた野外音楽フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」、通称ロッキンについて、運営側はコロナの感染対策と両立させるためとして、2022年から千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」に会場を変更することを決めました。またこの方針は、去年12月に県側に伝えられていました。関係者のコメントや今回の詳しい経緯などを、NHK水戸放送局の記者の解説を交えお伝えします。

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」とは

会場となってきた国営ひたち海浜公園

国内最大規模の屋外音楽フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」は、茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で2000年に初めて開催されました。運営側の発表によりますと1回目の開催は2日間で、訪れた人は、6万人あまりでした。
その後、年々規模が大きくなり、2019年はOfficial髭男dism、ももいろクローバーZ、スピッツなど250のアーティストが出演し、5日間で、過去最多となる33万人あまりの観客が訪れました。

2年連続中止に追い込まれた大規模フェス

しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって初めて中止となりました。
続いて2021年、運営側は当初、8月7日から5日間の日程で開催すると発表し、来場者の距離を保つために1日あたりの収容人数を例年の半数以下に減らすほか、7か所あったステージを1か所にして、人の移動を抑える、アルコールの持ち込みや、歓声を含めて大声を出すことは禁止するなどの感染対策を示していました。
そのうえで、King Gnu、YOASOBI、あいみょんなどが出演する予定だと発表していました。

2021年のタイムテーブル

しかし、感染拡大を懸念した茨城県医師会などが中止や延期などを検討するよう要請し主催者側は去年7月になって開催を中止すると発表しました。

2022年は千葉市中央区「蘇我スポーツ公園」

運営側が、ことしの開催について検討を進めた結果、ことしは千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」に会場を変更することを決めました。変更の理由は、ひたち海浜公園は、会場の構造上、ステージからステージに移動する観客の密が避けられない一方で、千葉市の会場は観客がステージを移動する必要がほとんどないうえ、動線が広く密になりにくいためなどとしています。

総合プロデューサーの渋谷陽一さん
「経営的にもギリギリで、ロック・イン・ジャパンを存続させるためには、この選択肢しかなかった。ただ、国営ひたち海浜公園には何十万人、何百万人の忘れられない思い出が詰まっており、25周年、30周年といった年でのひたちなか開催を模索したい」

茨城県のファンは

20歳の男性

ロッキンって、やっぱり茨城の強みっていうか魅力でもあったので、それがなくなっちゃうのは残念です。千葉って、ディズニーランドとかもあるので…。

女子高校生

フェスの間は勝田駅とかロッキンの幕みたいなものがはられて、みんな「そういう時期だね」って、結構ウキウキな感じでした。家まで(ロッキンの音が)聞こえていたんです。それも楽しみだったんで、きっと千葉になったら行かないと思います。

53歳の男性

始まったばっかりの頃って当時あれだけの人が集まるイベントってこの近くではなかったので、よくこんなイベントやったなっていうそんな気持ちはありました。楽しかったです。あんまり茨城県にこだわるのも変かもしれないですけど、県内の違うところがあったらよかったなって思います。

“実は去年12月に変更を伝えていた” 取材記者が経緯を解説

今回の変更の経緯などについて、NHK水戸放送局の三輪知広記者は以下のように解説する。

1)大きな要因は会場の構造
総合プロデューサーの渋谷さんは「何とかひたちなかでの開催を続けられないか方法を模索し可能性を探したが、解決法を見つけられなかった」とコメントしている。
理由としてあげているのは会場の構造だ。
3年前に開催されたとき、ひたち海浜公園の会場では公園内にステージが点在していて、好みのアーティストを見るために長い距離を移動する必要があった。

広大な会場を散策しながら好みのアーティストの演奏を思い思いに楽しむというのがロッキンの魅力という人もいるが、こうした移動の間の狭い道で必然的に密がおきてしまうという欠点があったと運営側は説明している。
このため運営側は「何万人もの参加者が密にならずにライブも楽しむことは不可能と判断した」としている。
一方、千葉市の会場で運営側が去年、別の屋外音楽フェスティバルを開催したときには、ステージどうしが近く、人が移動する時も広い空間があった。

運営側は「まさに野外フェスにとって夢のような場所」と高く評価していて、この時の屋外音楽フェスでは「クラスターの発生は報告されなかった」としています。


2)去年12月に変更方針伝える
運営側はこうした実績も踏まえて検討を重ね、12月上旬に県内をはじめとした関係者に会場変更の方針を伝えていた。
大井川知事は今回、「県として何とか引き続き茨城県で開催いただけないかと支援策を提案した」とコメントしている。

県によると、具体的に資金面や感染対策を含めた運営面での支援を申し出たということだが、運営側の判断を変えるには至らなかった。
ひたち海浜公園で規模を小さくして開催する道がなかったのかとも思うが、運営側によると音楽フェスティバルが相次いで中止となり経営も厳しい状況で、中止や赤字覚悟の開催は困難だとしている。また、ひたちなか市は首都圏と比べて東京から遠いことからスタッフの宿泊費や資材の運搬費、それに会場が広大なことから設営の費用なども課題だったとみられる。


3)去年の「中止・延期検討要請」の影響は
また、去年、感染拡大を懸念した茨城県医師会などが中止や延期などを検討するよう要請しそれを受けて運営側が中止を発表した経緯があり、関連について運営側に見解を取材したが「今回の決定とは関係ないと」答えた。


4)地域経済への影響
来場者や関係者の宿泊やバス、鉄道、飲食店の利用など経済効果が大きかったことから、さまざまな業種に影響が及ぶことは避けられない。
ホテルなどを経営するひたちなか市観光協会の海野泰司会長は取材に対して、「率直に残念です。地域の経済には大きな影響が出ることは避けられない。25周年での開催に期待して引き続き、運営側との良好な関係を続けていきたい」と話している。

ただ、総合プロデューサーの渋谷さんは「25年、30年など節目の年でのひたちなかでの開催を模索したい」としている。

5)記者の視点
忘れてほしくないのは、巨大音楽フェスは、運営側やアーティストだけのものではなく、訪れる観客、そして受け入れる地元も含め、この20年間、みんなで作ってきたものだということ。茨城、ひたちなかの人たちにとって、「ロック・イン・ジャパン」は元気の源にもなっていると感じる。コロナ禍で運営側もかつてない厳しい状況だと思うが、ポストコロナの時代には再びひたちなかで音楽フェスティバルを通した地域文化作りを担ってほしいと思う。

三輪知広記者

千葉市長「選んでいただき大変光栄」

今回の発表について千葉市の神谷俊一市長は以下のように話しています。

「国内最高峰の音楽イベントと思っており、新しい会場に選んでいただいたことを大変光栄に思っている。蘇我スポーツ公園は密にならない会場設定が可能となっており、主催者からは『万全の感染対策が可能な唯一無二の野外ロックフェス会場』と評価されている。運用面でも感染防止安全計画の策定など万全の対策を取った上で開催されるということであり、千葉市としても地域の理解を得ながら、ロック・イン・ジャパンがひたちなか市で積み重ねてきた20年の歴史を将来に引き継いでいく役割を果たしていきたい」

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