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子宮頸がんワクチン 無料接種は1997~2005年度生まれの女性

  • 2021年12月23日

来年4月から接種の積極的な呼びかけが再開される子宮頸がんワクチン。
厚生労働省は呼びかけを中止していた8年余りの間に定期接種の対象年齢を過ぎた女性すべてを無料接種の対象とすることを決めました。
対象は、1997年度から2005年度にかけて生まれた女性です。

子宮頸がんワクチン 未勧奨の人に無料接種

子宮頸がんワクチンは、小学6年生から高校1年生の女性を対象に2013年4月に定期接種に追加されましたが体の痛みなどを訴える人が相次ぎ厚生労働省は2か月後に積極的な接種の呼びかけを中止しました。

厚生労働省は国内や海外で有効性や安全性のデータが報告されているなどとして、来年4月から呼びかけを再開する方針で、23日専門家で作る分科会で、呼びかけを中止していた間に定期接種の対象年齢を過ぎた女性への対応について議論しました。

厚生労働省が示した案は次の通りです。

この中で、厚生労働省は、呼びかけが中止されていた間に対象年齢を迎えていた1997年度から2005年度にかけて生まれた女性すべてを無料接種の対象とする方針を示しました。今年度中に16歳から24歳になる人たちで接種を受けられる期間は来年度からの3年間としていて、いずれも分科会で了承されました。
厚生労働省は、自治体に対し、対象者には個別に予診票とパンフレットを送って周知するよう求めることにしています。

リスクコミュニケーションが専門 慶応大学 吉川肇子教授
「国が呼びかけを再開するにあたって、『安心です』『接種してください』とだけ説明すると、当事者としては、接種後に何らかの症状が出たらどうなるのかと戸惑ってしまう。接種との因果関係はわからないものの、接種後に症状が出て困っている人たちをどう支えるのかについても同時に示すことが重要だ。
国は、ワクチンに関するポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報も十分に伝えて、当事者に考える機会を与えることが大事だ」

接種後に身体的症状 診療体制強化

ワクチンを接種した後で、まれに報告される身体症状が出た人たちに対する診療体制を強化する動きも出ています。

子宮頸がんワクチンを接種した後に体の痛みや力が入らないなど、さまざまな症状が出た場合に適切な診療を受けられるようにしようと、国は「協力医療機関」を指定し、すべての都道府県で対応できる体制を作っています。

しかし、接種の積極的な呼びかけが中止されて以降、接種を受ける人が急激に減り、協力医療機関でも接種後に症状が出た患者の診療を行った経験がない医師もいることが課題になっているため、12月10日には、協力医療機関の医師や専門家らが診療体制の強化策について話し合うオンラインの会議が行われました。

会議では、接種の呼びかけが再開される来年4月までに診療のノウハウを共有する実践的な研修を実施することや、接種後に症状が出た患者の診療のマニュアルを刷新することが必要だとして、具体的な協議を進めていくことになりました。
 

また、接種すること自体に伴う不安やストレスによって出るさまざまな症状について、WHO=世界保健機関も「予防接種ストレス関連反応」として注意を促していることもあり、会議では子宮頸がんワクチンについて接種する本人が理解して納得した上で打つことが重要で、そうした運用が医療現場で求められるといった意見も出されました。

協力医療機関の医師で、接種後に症状が出た患者の治療にあたってきた、愛知医科大学の牛田享宏教授は次のように話しています。

愛知医科大学 牛田享宏教授
「子宮頸がんワクチンの接種が始まった当初は、接種後に症状が出た患者さんに対して、医師が自分の専門ではないとしてほかの医師を紹介するといったことが繰り返され、患者さんがますます不安になる状況もみられた。そうした事態を繰り返さないために、診療のノウハウを共有するためのマニュアル作りや研修を早急に実施していくことが最も重要だ」

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