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伊豆諸島の軽石 釣り船にも影響 最新予測では長期化のおそれ

  • 2021年11月22日

伊豆諸島に漂着している軽石。各島の港には、流入を防ぐオイルフェンスが次々に設置されましたが、釣り船などへの影響も出ています。専門家が22日公開した最新のシミュレーションでは、影響が長期化するおそれがあるとしています。

三宅島では釣り船などに影響

まとまった軽石の漂着が懸念される中、伊豆諸島の三宅島では、20日島内に5つある漁港すべてにオイルフェンスが設置され、地元の漁協は数日、漁を休むことを決めています。

この影響は島で人気の釣り船にも出ていて、漁業を営む谷順二さんは週末には自分の漁船を釣り船として運用していますが、この週末の観光客の予約をキャンセルしました。

軽石の漂着が懸念されるためで、この週末、予約をキャンセルした釣り船は少なくとも4隻にのぼるということです。谷さんの収入の3分の1ほどは釣り船の運営によるものだということです。

谷順二さん
「客船もいつ欠航になるか分からず、軽石の状況しだいで釣り客に迷惑をかけることになる。今は様子見をしている状況です。自然のことなので予防というかたちで対応するしかないが、釣り客も呼べず漁にも出られない今の状況が長く続くと当然、生活にも影響が出てくると思う」

神津島 軽石が海面埋める

伊豆諸島の神津島に住む男性が21日夕方、島の北側の赤崎遊歩道で撮影した映像では、海面に浮いた軽石が海岸の岩場の周辺に押し寄せ、入り江の海面を埋めそうなほどの量が漂っている様子が確認できます。

さらに22日午前には島の西側の前浜海岸の砂浜でも少量の軽石を確認したということです。

映像撮影した男性
「沖縄に漂着したとニュースで見ていましたが、とうとううちの島にも来たかと驚きました。実家が宿を経営しているので、もしこれから軽石の数が増えてくると、船が出せなくなり、観光や漁に影響が出ることや、白い砂浜の景観が損なわれてしまうことを心配しています」

最新シミュレーションでは

沖縄や奄美に加え、伊豆諸島でも次々に確認されている軽石。
軽石の動きを分析しているJAMSTEC=海洋研究開発機構は、22日最新のシミュレーションを公表しました。シミュレーションはJAXAの衛星が観測した軽石のデータと独自の海流モデルなどを用いて行われ、風の影響については、影響が無い場合と、ある程度ある場合、強い場合の3つのシナリオで計算されています。

シミュレーションでは、まとまった軽石が静岡県の沖合を東に進み、伊豆諸島に向かうとされています。
これまでの想定よりも沿岸に近くなっていて、本州に漂着するようには見えないものの、専門家は「あくまでもシミュレーションで、周辺の海域では注意が必要だ」としています。

伊豆諸島では軽石の接近は続くとみられ、三宅島や八丈島の周辺などに近づいたあと、12月上旬ごろには東の海上へ離れていくと予想されています。
しかし、沖縄からの軽石が再び近づく動きが確認でき、専門家は、伊豆諸島では影響の長期化が懸念されるとしています。

海洋研究開発機構 美山透主任研究員
「伊豆諸島には、来月の中旬にも新たなまとまった軽石が接近する可能性がある。ただ、衛星が捉えられなかった軽石はシミュレーションには反映されていないため、途切れなく接近するおそれもあり引き続き注意が必要だ」

専門家 船舶への影響に注意

伊豆諸島に漂着した軽石について、専門家は、沖縄に漂着した軽石に比べて小さく丸みを帯びているように見えると分析した上で、影響は長期に及ぶおそれがあり、引き続き船舶への影響に注意する必要があると指摘しています。

産業技術総合研究所の活断層・火山研究部門の及川輝樹主任研究員は、これまで沖縄県で軽石の調査に当たってきました。
今回の軽石は小笠原諸島の海底火山の噴火で噴出したものと見られていますが、沖縄県で漁業などに大きな影響が出ていることについて、「明治以降の国内の火山噴火としては最大クラスの規模だったため、これだけの多くの量が海岸に漂着している」と説明しました。

そして、伊豆諸島の三宅島に漂着した軽石の映像から、沖縄県の軽石と比較すると、三宅島のものの方が全体的に小さく丸みを帯びたものが多いように見えると分析しました。
これは、海流に流され波にもまれるうちに小さく丸くなった可能性があるということです。

産業技術総合研究所 及川主任研究員
「流れる時間が長ければそれだけ面的な広がりを持つため、沖縄と比べれば密集の程度は薄まるはずだ。潮の満ち干などによって軽石は移動していくが、その過程で波にもまれ小さくなり、穴の数も減って海中に沈んでいく。この動きは数年から10年という単位で進むだろう。海面からは見えなくなっても海底に沈むまでの間に海中を漂っているということもありえる。船舶の運航には当面の間、十分に注意する必要がある」

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