1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 軽石 伊豆諸島に今週末にも本格接近か 最新シミュレーション

軽石 伊豆諸島に今週末にも本格接近か 最新シミュレーション

  • 2021年11月16日

沖縄や奄美だけでなく、伊豆諸島や千葉県などでも漂着が確認されている軽石。今週末にもまとまって伊豆諸島に接近する可能性があることが、専門家のシミュレーションでわかりました。現地の状況や今後について、伊豆大島の住民や、観光ガイドに話を聞きました。

沖縄などで被害の軽石 伊豆諸島などにも

ことし8月、小笠原諸島の海底火山から噴出した大量の軽石は10月、沖縄や奄美に流れ着き、漁業や観光など生活に大きな影響をもたらしています。

その後、軽石の一部は黒潮の海流にのったとみられ、11月に入ると高知県の沖合で軽石とみられる漂流物が確認されたあと、先週ごろからは伊豆諸島の式根島や大島のほか、千葉県の海岸の一部でも海底火山のものとみられる少量の軽石が漂着しているのが見つかっています。

伊豆諸島への影響懸念

軽石の動きを分析しているJAMSTEC=海洋研究開発機構は、16日最新のシミュレーションを公表しました。
シミュレーションはJAXAの衛星が観測した軽石のデータと独自の海流モデルなどを用いて行われ、風の影響も考慮して影響が無い場合と、ある程度ある場合、強い場合の3つのシナリオで計算されていてます。

シミュレーションでは、11月5日に四国沖を黒潮にのって漂流していた軽石は、一度、大きく南に蛇行した後、再び本州に向けて北上。14日ごろに東海地方の沖合に到達してからは東に進み伊豆諸島に接近します。

そして、今週末の19日以降にも、まとまった量の軽石が伊豆諸島に到達する見込みとなりました。

その後も11月下旬にかけて伊豆諸島への軽石の接近は続き、一時的に滞留して速度を落としたあと、次第に東の沖合に抜けていきます。

東海や関東周辺では比較的沖合を通過する見込みで、本州の沿岸の影響は限定的になる見込みですが、まとまった量の軽石が到達すると伊豆諸島への影響が懸念されます。

沖縄周辺海域に停滞傾向も

また、沖縄周辺では、時間がたつにつれて黒潮に乗って太平洋の沖合に出る軽石が増える一方で、風の強さによっては一部は周辺海域にしばらく留まる傾向があり、影響の長期化が懸念されます。

分析した海洋研究開発機構 美山透主任研究員
「沖縄と同じように、伊豆諸島でも初めは少量の漂着であっても、その後、まとまった量が継続して流れ着く可能性がある。もし周辺海域で軽石を見つけたら速やかに情報を共有して、港などでの対策につなげることが大切だ」

軽石の漂流シミュレーションは、JAXAの衛星観測の更新にあわせて、2、3日ごとにアップデートされる予定だということです。

どのように漂流したか

ことし8月、海底火山から噴出した軽石は実際にどのような経過で漂流しているのか。専門家が解析しました。海底火山が専門のタスマニア大学の池上郁彦さんは、衛星が撮影した画像から軽石が漂流している茶色っぽい領域を抽出し、軽石がどのように漂流してきたかを分析しました。

それによりますと、ことし8月13日、小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」で噴火が発生した後、軽石は西へ向かって流れていきます。9月上旬には南大東島の東およそ300キロの海上で、ぐるっと一回転するように漂流したあと、さらに西へ移動しました。

池上さんによりますと、「福徳岡ノ場」の周辺でまとまっていた軽石も西へ進む中で次第に拡散。9月下旬ごろからはおよそ100の塊に分かれ、さらに9月末の台風の通過でちりぢりになったことで軽石の漂流する範囲が広がったということです。

そして10月上旬には南大東島の周辺に到達し、10月下旬には沖縄本島にも到達しました。11月に入ると九州や四国の沖合にも軽石が漂流していることがわかります。

前回・35年前の1986年に福徳岡ノ場が噴火して軽石が漂流した時には、噴火から4か月後に沖縄で軽石が確認されたのに対し、今回はわずか2か月ほどで沖縄に到達していることから、池上さんは、漂流のスピードは2倍くらい速かった可能性があるとしています。

タスマニア大学 池上郁彦さん
「軽石が西に進んだ背景には、海流や風の影響を受けた可能性がある。通常、軽石は漂流するうちに拡散したり沈んだりするが、早く移動してきたことで、沖縄での被害も大きくなった可能性がある」

伊豆大島の現場では

今週末にも伊豆諸島にまとまって漂着するおそれがあるとされる軽石の影響について、東京・港区の竹芝客船ターミナルで、東京の竹芝と伊豆諸島を結ぶ客船の利用客に話を聞きました。

伊豆大島に住む83歳男性
「心臓の病気の治療で病院に行くため、島から出てくる際は船を使わないといけないので、軽石が漂着して船の運航に影響がないかがいちばん心配です。これからどんどん増えてくるようであれば、自分たちには手の打ちようがありません」

伊豆大島に住む40代女性
「大島と竹芝を結ぶ交通が遮断されてしまわないかや、大島の産業を支える観光業や漁業への影響も心配です。せっかくコロナが落ち着いて緊急事態宣言も解除され、観光客が戻ってくれればとというところで今度は軽石が漂着となると、人の動きがどうなるのか不安です」

観光で伊豆大島に向かう神奈川県の50代女性
「コロナの影響で我慢してきて、2年ぶりに大島に行きます。星もきれいで素晴らしい島なので、せっかくコロナが落ち着いて観光の時期なのに、軽石の漂着で影響が出てしまうともったいないと感じます」

客船を運航する東海汽船
「現時点で運航に支障はありませんが、引き続き情報収集を行い安全な運航に努めていきます」

10年余りにわたって伊豆大島の観光ガイドをしている「伊豆大島ジオパーク」の西谷香奈さんは、次のように話しています。

西谷香奈さん
「ようやくコロナが落ち着いて観光客が増えてきたところなので、船の運航に影響が出ないかどうかは心配です。ただ、自分たちではどうしようもない自然のことなので、できる対策をとって、あとは受け入れるしかないという思いです。早い段階で情報が提供され、どういう対応を取れるのかがわかればいいと思っています」

ページトップに戻る