全国の主ながん専門病院でがんと診断された人の10年後の生存率は、最新の集計で58.9%だったと国立がん研究センターなどの研究班が発表しました。がんの部位、進行度別の10年生存率のデータを図表でまとめました。
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研究班は、2008年までの4年間に全国の32の主ながん専門病院でがんと診断された12万人あまりのデータを分析しました。その結果、がん医療の効果をはかる指標となる、10年後の生存率は、全体で58.9%となりました。
10年生存率のがんの部位、進行度別のデータをまとめました。がんの部位名をクリックすると該当のデータにアクセスできます。
いずれもがん以外による死亡の影響を取り除いた「相対生存率」で示しています。
・前立腺がん(全体99.2%) ・女性の乳がん(全体87.5%) ・甲状腺がん(全体86.8%)
・子宮体がん(全体82.3%) ・大腸がん(全体69.7%) ・子宮頸がん(全体68.2%)
・胃がん(全体67.3%) ・咽頭がん(全体64.2%) ・腎臓がんなど(全体63.3%)
・ぼうこうがん(全体63.0%) ・卵巣がん(全体51.0%) ・食道がん(全体34.4%)
・肺がん(全体33.6%) ・胆のうがん、胆管がん(全体19.8%) ・肝臓がん(全体17.6%)
・すい臓がん(全体6.6%)
最新のがんの治療法や、全国各地にある拠点病院、それに相談支援センターなどについての情報は、国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」にまとめられています。
全国の主ながん専門病院で作る「全国がんセンター協議会」の集計データに基づく10年生存率は、向上する傾向が続いています。
「全国がんセンター協議会」の生存率調査のウェブサイトによる10年生存率のデータです。
2002年までの4年間に診断された人 53.9%
2003年までの4年間に診断された人 54.2%
2004年までの4年間に診断された人 55.6%
2005年までの4年間に診断された人 56.4%
2006年までの4年間に診断された人 57.2%
2007年までの4年間に診断された人 58.3%
2008年までの4年間に診断された人 58.9%
「全国がんセンター協議会」のウェブサイトでは、部位ごとにステージ別の生存率も見ることができます。
10年生存率は年々向上してきていますが、去年は新型コロナウイルスの感染をおそれて、がん検診を受けた人が3割減るなどして、早期に見つかるケースが減ったことが分かっていて、今後、影響が出ないか懸念も出ています。
データをまとめた群馬県衛生環境研究所の猿木信裕所長は「10年生存率は徐々に向上してきている。治療法の進歩が背景にあり、がんは治る病気でともに生きることができる病気になりつつあると言えると思う。中には、数字のみを見て、不安に思われる患者さんもいるかもしれないが、がんの種類や年齢、進行の度合いなど、患者さんの状態によってかなり変化が出てくる。主治医と治療について相談するときの参考として見てもらいたい」と話しています。
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えで、去年、早期に見つかるケースが減ったことについては「早期の発見が減っていたとしても、診断法、治療法が進歩してきている中で、どの程度、生存率に影響するのか、総合的にこれから評価していくことが求められる。影響を注視していきたい」と述べました。