子どもがマンションのベランダなどから転落して死亡した事故について、消費者庁が詳しく分析したところ2018年までの5年間では、1歳から4歳で全体の6割余りを占めていたということです。事故を防ぐ環境にするにはどうしたらよいのか。効果的な対策を検討するため専門家のグループが実証実験を行いました。
マンションなどのベランダの柵の高さは転落防止のために110センチ以上にする基準がありますが、子どもが乗り越えるケースがあとを絶たず、10月には大阪・北区の高層マンションで4歳の女の子がベランダから転落して亡くなったと見られる事故も起きています。
国の人口動態調査によりますと、14歳以下の子どもがマンションのベランダなど建物から転落して死亡した事故は、毎年、発生していて過去10年間で124件に上っています。
このうち、2018年までの5年間の死亡事故37件について消費者庁が詳しく分析したところ年齢別では、3歳が最も多く、1歳から4歳で全体の6割余りを占めていたということです。
医療機関から収集した事故事例では、5歳の子どもが家族を見送るためにベランダの手すりにつかまっていたところ前のめりになって転落したケースや、高さ90センチの柵がある2階のベランダから4歳の子どもが転落したとみられるケースがあったということです。
子どもの転落事故について、研究者や医師などで作る専門家のグループが、効果的な対策を検討するための実証実験を行いました。実験は4日、京都府長岡京市の保育園で子どもたちが参加して行われました。
子どもの事故防止に取り組むNPO法人 北村光司理事
「ベランダの柵は簡単に取りかえることができないですし、対策されたものに変えることも難しいので、あとづけで対策をするにはどうしたらいいかということを考えて実験をすることにしました。保護者の方が気をつけていても、目を離す瞬間が出てきてしまうので、お子さんがやろうと思ってもできなくする環境の改善が大事だと思っています。」
実験では、ベランダの柵を模した装置に器具を取り付けて、120センチから140センチまで高さを変え、3歳から6歳までの50人余りの園児が、柵を乗り越えられるかを年齢別に調べました。
その結果、中には、自分の身長より高い140センチの高さでも素足を柵に貼り付けるようにして5秒ほどで登ってしまう子どももいました。
グループでは、今後も実験を続け、転落防止につながる柵の形状や効果的な器具による対策を検討して公表することにしています。
NPO法人 北村光司理事
「どういう条件であれば子どもが登りにくいのかということを明らかにして、実際に製品作りをしているメーカーとも情報共有をしながら、具体的な製品になって広がっていくといいなと思っています。データとして成果を残したいと思っています」