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ワクチン接種 解熱剤 いつ飲めばいい?専門家などに聞いてみた

  • 2021年9月6日

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいますが、接種後の発熱や痛みに対して解熱鎮痛剤をどのタイミングで服用すればいいのでしょうか。SNS上では、「接種後すぐに飲むといいと聞いた」とか「接種前に飲んだほうがいい」などといった投稿がみられます。
接種後すぐ?接種前?それともあんまり飲まない方がいいの?専門家や薬を製造・販売する会社に聞いてみました。

予防的に服用はよくない。なぜ?

解熱鎮痛剤の服用のタイミング。取材してみての結論はこういうものでした。

・あくまで症状が出てから、つらい場合に服用する。
・接種前はもちろん、接種したあとでも、熱や痛みなどの症状が出る前に予防の目的で服用しない。

なぜ、予防的に服用するのはよくないと言われるのでしょうか。
解熱鎮痛剤を製造・販売する「ライオン」の芳賀理佳さんは、解熱鎮痛剤の一般的な作用を踏まえて、次のように説明してくれました。

ライオン株式会社ヘルスケアマイスター 芳賀理佳さん
「解熱鎮痛剤は、体の中で作用することで、発熱や痛みといった症状を抑える効果がある薬です。一方で、胃への負担などの副作用が出る場合もあり、症状がないうちに予防的に使ってしまうと本来、期待される効果ではなく副作用だけを引き起こしやすくなるなど、体への影響が懸念されます。 また、服用の回数や量が増え、薬の使用過多が原因の頭痛を引き起こすおそれもあります」

こうした影響は、厚生労働省が新型コロナワクチン接種後に使用できるものとして挙げている市販の解熱鎮痛剤、▽アセトアミノフェン、▽イブプロフェン、▽ロキソプロフェンなどのすべてで共通するということです。
厚生労働省も、こうした一般的な薬の作用の問題から、接種後の解熱鎮痛剤の服用についてホームページ上で「症状が出る前に解熱鎮痛薬を予防的に繰り返し内服することについては、現在のところ推奨されていません」と説明しています。

CDCなどの指摘も

ただ、厚生労働省に取材をすると、理由はもうひとつありました。それが、アメリカのCDC=疾病対策センターなどの指摘です。
CDCなどは、ワクチン接種前に、解熱鎮痛剤を服用することについて、ワクチンの働きにどのように影響するか分かっていないとして「勧められない」としているんです。

では、接種後、症状が出てから服用することについては、どうなのでしょうか。
日本ワクチン学会の理事で静岡厚生病院の田中敏博医師に聞きました。
田中医師は、接種後の解熱鎮痛剤が新型コロナのワクチンの働きにどう影響するのか、詳しい研究がないため正確にはわからないものの、世界中で解熱鎮痛剤が使われていると推定されるなか、重症化を防ぐなどのワクチンの効果が確認されていることを踏まえるとマイナスの影響はほとんどないと考えられると指摘します。

日本ワクチン学会理事 田中敏博医師
「ワクチンや解熱鎮痛剤の影響など、ひとつひとつの情報に不安になりやすいと思いますが、冷静に受け止めていくことが大切です。解熱鎮痛剤については、あくまで熱が出るなどしてつらくなったら使うということで理解してもらいたい」

最後に、解熱鎮痛剤を使う場合には次のようなことに注意が必要です。
厚生労働省では、病気などでほかの薬を使っている人や妊娠中や授乳中の女性、高齢者、それに薬のアレルギーがある人などは、主治医や薬剤師に相談してほしいと呼びかけています。また、アセトアミノフェンは、子どもや妊娠中、授乳中の人でも使うことができるものの、製品によって対象年齢などが異なっているため確認して使うよう求めています。     

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