首都圏ネットワーク

  • 2021年7月29日

“楽観バイアス” オリンピックでコロナを軽視してしまう心理とは

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緊急事態宣言にもかかわらず新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。 
コロナ禍における心理を研究している、臨床心理学が専門の筑波大学の原田隆之教授は「オリンピックの開催で、コロナを軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まり、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきている」として、具体的な対策の必要性を指摘しています。 
楽観バイアスとはどういうことなのでしょうか。

都内の繁華街では深夜営業の店も

東京都は、7月12日からの緊急事態宣言を受け、飲食店に対し酒の提供をせず、夜8時までの時短営業を要請しています。

しかし東京・渋谷の繁華街では、店の前に「オリンピック放映中」という貼り紙。酒を提供しながら営業を続けている店もあり、多くの客が訪れています。

深夜12時まで営業している飲食店を取材で訪れてみると、28日夜はオリンピック、サッカー男子の日本の試合をモニターで流し、多くの客が酒を飲みながら店の外まで聞こえるほど大きな歓声があがっていました。

五輪中継を流し、酒提供し深夜まで営業している飲食店

店長 
「都から出される協力金は十分ではなく、自分でどうにかするしかない。店を閉めて倒産するのではなく、開けて生き残る方を選んだ。感染がさらに拡大しても、営業を続けるしかない」

都内の感染者 過去最多を更新

こうした中、東京都は連日、新型コロナウイルスの感染者が、過去最多を記録しています。SNSでは感染拡大について「#オリンピックのせい」というキーワードを軸に、さまざまな意見が交わされています。

 

オリンピックのせいだけとは言えないでしょう。路上飲みとか色々やってるし。

 

なんで家で籠ってオリンピック見てると感染拡大すんの??

 

こうなるきっかけを作ったのはオリンピックだと思うぞ。

 

オリンピックを開催してるから、じゃ~大丈夫ってことでしょって自粛せず外出し旅行してるんだよ。イベント開催したことで誰もいうことを聞かないだけ。

専門家が指摘 “楽観バイアス”とは

コロナ禍における心理を研究している、臨床心理学が専門の筑波大学の原田隆之教授は「オリンピックの開催で、コロナを軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まり、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきている」として、具体的な対策の必要性を指摘しています。

臨床心理学が専門 筑波大学 原田隆之教授 
「五輪が始まってからまだ数日ですから直接の影響ではないと思うんですよね。ただオリンピックが開催されるよというお祭りムードというのは徐々に醸成されています。一方で緊急事態宣言という、非常に矛盾する2つのメッセージが社会に出ている。そうすると人間の心理としてはやはりとっつきやすい方、自分が聞きたい方を取り入れて聞きたくないメッセージはスルーしてしまう。これは非常に自然な心理。大会の開催で世界中から人が来ても大丈夫なのだと捉えてしまい、『コロナはたいしたことがない』と軽く見てしまう『楽観バイアス』が強まります」

さらに、度重なる緊急事態宣言についても、人々が慣れてしまっている現象が起きていると指摘します。

「これまでの緊急事態宣言は、2回目3回目も一定の効果があったわけです。2週間ぐらいたつと感染が減ってくる、人手も減るという効果がありました。今回は2週間たってもいっこうに感染状況が改善しない。まさに効果がなくなっています。心理学では順化と言うのですけれども、新しいものに出会うと人間は大きな反応示しますが、徐々に何度も何度も繰り返して慣れてしまう。そうすると緊急でも何でもなくて、新たな日常になってしまって特別でもなんでもなくなってしまう」

ではどうしたら警戒感を持てるのか?原田教授は次のように言います。

「今は『楽観バイアス』があり、言葉のメッセージは効果がなくなっていると考えるべきでもっと抜本的にがらりと違う、これは新しいぞっていうインパクトのある対策をやらなければ、今のままでは効果は期待できないと思います。やはり長くなればなるほど人間の心理は変化するので、休業などの対策にインセンティブを与えたり、行動を物理的に制限したりと、長期戦を見据えて感染症の問題だけでなく人間の心理と行動の傾向を加味した対策がより重要になってくると思います」

 

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