1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 裏地がメッシュの水着 男児は要注意 性器の皮膚挟まるおそれ

裏地がメッシュの水着 男児は要注意 性器の皮膚挟まるおそれ

  • 2021年7月17日

これからの季節に利用することが増える子ども用の水着ですが、裏地にメッシュ生地が使われた男児用は注意が必要です。水着を着た際に、男性器の皮膚が生地の隙間に挟まってけがをする事故が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけています。具体例や対応策をまとめました。

裏地がメッシュの水着で…

国民生活センターが公表した資料には、次のような事故のケースが記されています。

ケース1 
水着を着用してアスレチックで遊んだ。数時間後、水着が脱げず、よく見ると陰茎部の皮膚が水着に挟まっていた。

男児が家族とアスレチックに遊びに行き、いかだ遊びなどで水に濡れてしまうため、5時間ほど水着を着ていた。着替えて帰ろうとしたところ、「挟まって取れない」と男児が言うので見ると、水着のインナーのメッシュ生地に陰茎部の皮膚が挟まっていた。帰宅後に、挟まった部分が水疱のようになり取れないため、挟まっているメッシュ部分を残して切り取り受診した。陰茎先水疱あり、陰茎外傷。(2018年6月 5歳男児)

ケース2 
海水パンツのインナーのメッシュ生地に陰茎部の皮膚が挟まり、海水パンツが脱げな くなってしまった。

海水浴に行ったときに、海水パンツのインナーのメッシュ生地に男児の陰茎部の皮膚が挟まり、海水パンツが脱げなくなってしまった。医療機関を受診し、後遺症は残らないが通院の必要があると診断された。インターネットで調べてみたところ、10年ほど前に、別の製造事業者の商品で同様の事故が起き回収していることが分かった。当該海水パンツも製造事業者が回収するべきではないのか。(2020年8月 6歳男児)

この10年で12件の事故

国民生活センターによりますと、子ども用の水着の裏地に使われたメッシュ生地に男性器の皮膚が挟まってケガをしたという事例は、毎年のように報告されていて、この10年ほどであわせて12件にのぼり、中には、出血したケースや通院が必要になったケースもあったということです。

事故製品ではありません

ケガをした子どもの年齢は、3歳から13歳までで水着の種類は競泳用の水着などではなく、いずれもトランクス型の水着でした。

なぜ、挟まるの?

なぜ水着のメッシュに皮膚が挟まるのか。そのメカニズムについて、国民生活センターの資料では、国立大学法人富山大学附属病院小児科の種市尋宙先生の説明が以下のように掲載されています。

1)男児の皮膚が水着のインナーのメッシュ生地に密着すると、伸展性に富んだ皮膚が、メッシュの穴より外部にはみ出し、メッシュから圧迫を受け始めます。

2)局所的に小さな静脈が圧迫を受け、採血の際に腕にバンド(駆血帯)を巻いて血流を止めるのと同じような状況となります。

3)外部にはみ出した皮膚では、局所的な静脈還流障害が起こり静脈から水分が漏れ出すことで皮膚が徐々に腫脹すると考えられます。

4)外部へはみ出した皮膚が腫脹するとはみ出していく力もより強くなり、また、メッシュが皮膚を強く圧迫して激しい痛みが起こります。このような状態になると、自らメッシュを解除することは難しくなります。 

業界の対応

こうした水着の事故を巡っては、平成22年にメーカーの業界団体が「裏地にメッシュ素材を用いない」などとする独自の安全基準を設けていますが、国民生活センターがことし販売実態を調べたところ、インターネット通販でメッシュ生地が使われている商品が複数見つかり、日本の販売店が扱っているものもあったことなどから、今回、あらためて注意を呼びかけたということです。

子どもが痛みを訴えたら?

国民生活センターは、消費者に対してメッシュ生地が使われた水着を子どもには着用させないことや、子どもが痛みを訴えたら無理に取ろうとせずにすぐに医療機関を受診することなど、注意を呼びかけるとともに、メーカーや販売店などの業界団体に対して、裏地にメッシュ生地を使う子ども用の水着の製造や販売をしないよう要請しました。

ページトップに戻る