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都立高校入試の男女別定員制 現役教諭が廃止求め署名活動

  • 2021年6月7日

都立高校入試の全日制普通科で導入されている“男女別定員制”によって、男女で合格点に差が生じ、多くの場合で女子が不利になっている問題。国会の委員会でも議論に上がるなど、いま、注目を集める中、現役の都立高校教諭が、性別によって不利益が生じない入試制度を求めて署名活動を始めました。

“性別によって不利にならない入試を“ 署名始まる

オンライン署名サイトで署名の呼びかけをはじめた男性教諭は、5年ほど前から、この制度に疑問を感じていたといいます。そうした中で制度についての問題が相次いで報道されたことを受けて、いまこそ行動を起こそうと、5月下旬から署名活動をスタートしました。
「男子と同じ点数でも女子であるという理由で不合格になる中学生が存在している」とする訴えに賛同する人の輪が広がり、署名は6月7日現在で2万8000を超えました。
サイトには賛同した人たちのメッセージも寄せられています。

 

子どもを受け入れる側の変革を求めます

 

男女平等の入試、教育を保障してください

 

都立高校で男女別定員があるなんて知りませんでした。大反対です

 

女の子の父親です。こうした制度が東京にあること自体、恥ずかしい。都教育委員会はその理由をきちんと説明してください

なぜ署名を?都の緩和措置をどう考える?

署名を始めた都立高校の教諭に、その思いを聞きました。

教諭
「根本的には性別によって合否が決まるという点の問題が大きい。男子である、女子であることの性差が入試の出願の段階で影響し、ジェンダーバイアス(性別による偏見)につながっている部分がある。また、トランスジェンダーなどの性的マイノリティの生徒にとっては、どちらか一方の性によって合否の要素が決まることが非常に問題だと思う」

この問題で、都の教育委員会は、男女の合格点の差を緩和するため、定員の1割は男女の区別なく成績順に合否を決める緩和措置の仕組みを設けています。しかし、実施は学校の任意です。この措置について、教諭はこう指摘します。

「なんとか影響を少なくするためのもので、一定の意味はあると思う。ただ、緩和措置の枠を1割ではなく2割くらいに増やすほか、措置を導入するかどうかを学校の任意にするのではなく、すべての学校にしなければ緩和措置にはなり得ない」

そして、男女別定員制の廃止については、「来年度から全廃するのは難しいだろうし、生徒も混乱する」とした上で、教育現場を担う教諭として入試における公正さを実現してほしいと訴えます。

「例えば、10年後に廃止することなどを打ち出した上で、まずは緩和の枠の拡大や男女別の定員制がない学校を少しずつ増やしていってほしい。入試において一番大事なのは公正さだと考えている。この問題について、多くの方に関心を持ってもらい、家族や近所など身近なところで話題にしてもらうことで、自分たちの手で教育や社会を見直していこうという空気が広まってほしい」

署名活動は、6月いっぱい続け、都の教育委員会に提出するということです。

男女別定員制 都議会でも議論

また、この問題は6月に開かれた都議会でも議論されました。
一般質問で議員から「緩和枠によって合格最低点の格差是正に十分な成果を得られているかを検証し、この措置を採用する学校を増やすべく取り組むべきだ」という指摘があがりました。
これに対し、東京都教育委員会の藤田裕司教育長は「男女別定員による不平等感を低減し、より男女平等な入学者選抜にすることを目指していく」と答弁しています。
都の教育委員会は、例年9月に次の年度で、緩和措置を実施する学校を公表しますが、その対応が注目されます。

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