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新型コロナ変異ウイルス E484Kとは 感染広がっている可能性も

  • 2021年4月5日

東京都は、都の健康安全研究センターで検査を行っている検体のうち、この数か月で陽性が確認された一部の検体を調べたところ、およそ半数がイギリスや南アフリカなどで広がったものとは異なるタイプの「E484K」と呼ばれる変異ウイルスだったと明らかにしました。「E484K」とは他のウイルスと何が違うのか。わかっていることをまとめました。

E484Kは変異した新型コロナウイルスのひとつ

「E484K」は、イギリスや南アフリカなどで広がったものとは異なるタイプの変異した新型コロナウイルスのひとつで、「スパイクたんぱく質」のアミノ酸のうち、484番目のアミノ酸が変化していることを意味しています。
この変異があると抗体の攻撃から逃れる性質を持つと考えられていて、再感染しやすくなる可能性や、ワクチンが効きにくくなる可能性などが指摘されています。

“感染確認の患者の3分の1から検出”

東京医科歯科大学附属病院では、新型コロナウイルスの感染が確認されたすべての患者に対して、変異ウイルスの検査を行っています。
大学によりますと、3月末までの2か月間では、この「E484K」と呼ばれる変異があるウイルスが、検査ができた患者36人中、3分の1にあたる12人から検出されました。さらに3月だけに限ると14人中の71%にあたる10人から検出されたということです。

“E484Kが従来型に置き換わっている可能性”

検出された12人は、東京都内在住の20代から80代で、海外渡航歴がなく、それぞれの人が接触したことはないということです。また、無症状の人と軽症が1人ずつ中等症が9人、重症が1人だったということです。
一方で、大阪府や兵庫県などで多く見られるようになっているイギリスで広がった変異ウイルスなど、感染力を高める変異があるウイルスは検出されなかったということです。

「E484K」は、免疫やワクチンの効果が低下する可能性が指摘されているタイプで、研究グループは、この変異ウイルスが従来型から置き換わってきている可能性があるとしています。

調査を行った東京医科歯科大学 東田修二 教授
「ワクチンの効果にも影響する可能性がある変異と言われているので、重要だと考えて調べた。患者の状態を見ていると病原性などは従来型と変わらないようだが、検出の比率が、1割未満だったものが3月には7割を超えてきている。感染力は強くないというのがこれまでの定説だったが、感染力は、従来型に比べて強い可能性がある」

東京都 “新規陽性者の半数 E484K広がっている可能性も”

こうした中、東京都は、都の健康安全研究センターで検査を行っている検体のうち、この数か月で陽性が確認された一部の検体を調べたところ、およそ半数が「E484K」と呼ばれる変異ウイルスだったことを明らかにしました。
都は、ここ数か月の都内の新規陽性者のおよそ半数に「E484K」が広がっている可能性が高いとみています。

専門家 “感染力もそれなりに強いとみて対応すべきでは”

日本感染症学会理事長 東邦大学 舘田一博 教授
「この変異ウイルスについては詳細な分析がまだ行われていないため、断言はできないが、市中でも感染が広がっていると考えられるので、感染力もそれなりに強いとみて対応するべきではないか。速やかに検査できる態勢を整えて拡大を抑えるとともに、病原性や感染力などの特徴がどのように変わっているのか分析を進めていく必要がある。今後も未知の変異ウイルスが現れたときに備えて、複数の変異を一度に検出できる技術を開発することが重要だ。ある変異を持つウイルスが一定程度増えてきた場合、リスクがわからない段階でも、早めに検査して拡大を防ぐ対策に生かすなど、素早く対応できる態勢を構築していく必要があるのではないか」

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