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コロナで疲弊 相次ぐ離職者 看護師たちが本音で語る医療現場の実情

  • 2020年12月24日

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、千葉県内で患者を受け入れている病院に勤務する看護師3人が、医療現場の実情を知ってもらいたいとNHKのグループインタビューに応じ、心身にたまる疲労感や離職者が相次ぐ実情を打ち明けてくれました。

・チバさん(仮名・40代) 救命救急や発熱外来で勤務・妻も看護師で子どもが3人 
・ヤマさん(仮名・30代) 一般病棟に勤務・妻は看護師で妊娠中・1歳9か月の子ども
・ハルさん(仮名・50代)  一般病棟に勤務・夫と2人暮らし・子どもは都内在住

「体を壊さないでどうやって働いたらいいのか」

-いま、医療現場はどのような状況ですか?

チバさん
「コロナ病棟を新設し、残業も、夜勤も増えています。きょうも夜勤明けで、そのあとも残業して働いていました。この2日間はほとんど寝ていません」

ハルさん
「私たちの中の合い言葉で、『私の勤務の時に患者が亡くならなかったらまだいいよね』と言っています。深夜の時間に救急患者が次々来ると、全ての患者さんには目が届ききらなくなるのです。これ以上患者が増えたら本当に医療崩壊になります。看護師も医師も少ないなかで負担が大きく、体を壊さないでどうやって働いていったらいいのかなとみんなが考えているんじゃないかなと思っています」

3人の職場とは関係ありません

子どもに「胸を張って」と言っているけれど…

-精神的負担はどうですか。

チバさん
「担当が救急と発熱者外来なので、どの患者さんが陽性かわからない中で、自分が病気になってしまうんじゃないか、家族にうつしてしまうんじゃないかと心配ですね。コロナ病棟で働いている人はもちろん大変ですけれども、気をつける時間と場所が際限ないところや装備も十分でないところがコロナ病棟の人と比べて大変なところかなと思います」

ヤマさん
「コロナ患者を受け入れている病院なので、コロナ患者さんがいるところに毎日自分が仕事で通っているという点がこれまでと心持ちが違います。怖いなというのを日々感じながら仕事をしていて、それはコロナ以前とは違うところですね。子どもが1歳9か月で、妻が妊娠中ということもあり、体調不良とか風邪っぽい症状だとか過剰反応してしまうこともあります」 

ハルさん
「自分が感染した場合に、患者さんに感染を広げたり、病院内でクラスターになったりするリスクがあるので、日常生活で気が抜けないというのが大きなストレスになっています。趣味として通っていたスポーツクラブも退会しました。今は夫と2人暮らしですが、都内に住む娘と息子にも、施設に入所している両親とも全く会えない状況が続いています」 

チバさん
「私も妻が同じ看護師で同じ病院で働いています。小学生の子が2人と5歳で保育園に通う子がいるので、子どもにうつしてしまうのではないかと心配です。それと長女は6年生で、周りも両親が看護師だと理解しています。『お父さんお母さんは自分の命を張りながら医療をやっているんだよ、だから嫌なことを言われるかもしれないけれどもそこは胸を張っていいんだよ』ということは伝えていますが、いじめや差別が始まってしまったらどうしたらいいんだろうというのが悩みの種ですね」

離職者や休職者が相次ぐ 新人が来るのかの不安も

-離職者が相次いでいると聞きますが、皆さんの職場ではいかがですか。

ヤマさん
「僕の病院はスタッフが1000人以上いますが、私が聞いただけでも20人以上が離職しています。精神的なものもあると思いますし、待遇面もよくないので、耐えられなくなるという方が多いと思います」

チバさん
「コロナ患者の受け入れが決まった時点で、受け入れるのであれば辞めますと言って辞めていった人がいました。新しく入ってくる新人看護師も、知識も足りず不安な中で、コロナが収束するまで、コロナ患者を受け入れていない病院で働こうと思う人もいると聞きます。退職者が一定数いる中で、入ってくる人が減ってしまうと母数が減ってしまうので、今後はそちらも大きな課題になってくるのではないかと思います」

ハルさん
「新人看護師については、コロナで歓迎会や食事会などができず、職場内でのコミュニケーションや人間関係が例年に比べて希薄になっているので、孤立しがちで精神的に参ってしまい、休職している人もいます」

頑張っているのにボーナスが減って

-大変な勤務の中で、待遇面に変化はありましたか。

ヤマさん
「ボーナスが夏も冬も10万円くらい減額されてしまいました。僕は妻も同じ病院で働いているので、妻も同じくらい減ってしまいました。ボーナスを見越して使い道を決めていたのが、2人分の減額で計画が破綻してしまいましたし、もともと人手が不足している中で、コロナ対応でさらに人手が足りなくなって休みも取りづらい。コロナで頑張っているのにひどい仕打ちだと思います。病院全体で笑顔が消えたというか、みんな暗い顔して仕事をしています」

ハルさん
「私の場合もボーナスが4分の3になってしまいました。これは年間で決めているので来年の夏もこれだけ下がるということになります。私は年齢も高いのですぐに困るということはないですけれども、みんな非常に頑張っている中で、金額が下がると全くモチベーションが保てないというのが現実ですよね。しかも夏もこうなんだっていうのがわかっているので、この先どう頑張ったらいいのかっていう感じですよね。チバさんはどうですか?」

チバさん
「自分も同感ですね。夏のボーナスで10万円ぐらい下がりました。自分もヤマさんと一緒で夫婦で看護師なので2人分の減額です。そもそもコロナの前から看護師の給料は高くなくて、残業と夜勤でなんとかなっている状態なんですよね。それでコロナの対応で肉体的にも精神的にもダメージを受けているので、ボーナスはアップされてもおかしくないと思うんですが…」

クリスマスもお正月もない

-年末年始はどう過ごすのですか。

ハルさん
「私はクリスマスもお正月もありません。先日、都内にいる子どもたちにも家には帰ってこないように連絡したところです。もちろん仕事もありますし、お休みの日もありますけれども、やはり都内から子どもたちが来るのは感染のリスクがあるので、私が仮に感染したら病院でのクラスターになりますので、それは医療従事者として絶対できないと思っています。ちょっと寂しいですけれどもここは頑張るしかないのかなという思いです」

チバさん
「私が働く救急センターは、お正月もやっているので、どれだけの患者さんが来るのかとても不安です。毎年お正月は、家族や親戚で集まっていましたが、今回は中止にしました。娘がおじいちゃんに会いたいと言っていましたが、落ち着いたら会おうねと伝え、諦めてもらいました」

ヤマさん
「年末年始は仕事です。ただ、僕と妻の親も含めて本当は集まることも考えてはいたんですけれども、僕の親は高血圧や糖尿病で、妻の親はがんの手術をしたばかりで抗がん剤や放射線治療をやっていて、感染すると重症化リスクが高いので集まらないことにしました。子どもは日々成長していくので、本当は会わせたいですけれども、我慢するしかないかなと思っています」

いま、国に、国民に、これだけは伝えたい

-いま、医療の現場から伝えたいことは何ですか。

ハルさん
「国にはしっかりと今のうちに感染拡大をさせない対策を打ち出してほしいです。人手不足が深刻な医療現場に人員を増やすことを早急にお願いしたい。今のままでは病院経営そのものも破綻してしまう」

チバさん
「医療従事者として、先が見えない今の状況に疲弊していくのがわかります。対策をとらなければ医療は崩壊の一途をたどってしまいます。経済も大事だが、いちばん大事なのは命。そこを守るためにお金を投入できないのであれば国としてどうなんだろうかと思う」

ヤマさん
「いつまでこの状況が続くのか不安だと思う。まずは医療従事者がちゃんと心身ともに健康で働き続けられるかどうかだと思う。私たちにも家族はいるし、自分が感染するかもしれないという不安を抱えて仕事をしている。自分も含めて国民全員が、自分の問題だと捉えてこれから行動してもらえれば」

-ありがとうございました。

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