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カウントダウン2020

東京パラ選考会に挑むニューフェイス・競泳 齋藤元希選手

2月4日

今回は、三上大進リポーターも一押しの齋藤元希選手、21歳です。

視覚障害の最も軽いクラスの選手です。パラ競泳を始めてまだ2年ですが、7種目で日本記録を更新して、さらにアジアパラ大会で3つの銅メダルを獲得した、注目の選手なんです。

来月のパラリンピックの選考会に向けて元気よく挑戦を続ける、齋藤選手を取材しました。

 

午前5時、早朝練習前に訪ねると、齋藤選手がひとり黙々と取り組んでいました。

太ももの内側の筋肉を鍛え、推進力を強化するトレーニングです。黒いマスクは、呼吸を制限し、肺活量を鍛えるためにつけています。

三上リポーターも試してみましたが「もう痛い、あ、これきつい」と思わず声が出ます。

齋藤選手は「できればやりたくないんですけど」と苦笑していました。

 

2年前にパラ競泳を始めた齋藤選手。初出場の大会で日本記録を2種目更新し、東京パラリンピックに向けて一躍注目を集めました。

「2年前くらいに、急に『世界で戦えるかもしれない』っていう漠然とした目標が生まれて、東京パラリンピックに出られるかもしれないとなったときに、どうしても戦える位置にいないといけないと思って」

 

齋藤選手が、進行性の目の難病と診断されたのは、小学2年生のときです。

現在の視野を再現した映像です。中心が欠け、視力は0.05ほど。今も低下し続けています。

 

高校までは健常者の水泳部に所属していましたが、目の障害のため、競泳を断念。大学で鍼灸師の資格を取ることに専念しました。

「目が悪いということをいろんな人から心配をされて、『手に職をつけたほうがいい』ということで。『全部終わっちゃったな』と思って。結果もそんなに残せず、水泳に関して、自分は何も残せなかった」。

しかし、パラ競泳の存在を知り、「もう一度自分を試したい」と、去年4月、パラ競泳チームがある国士舘大学に編入しました。

 

齋藤選手の泳ぎを初めて見たコーチは、基礎から鍛えなおせば記録は伸びると感じたといいます。

国士舘大学水泳部の田中宏樹コーチは「選手としても泳法的にもちょっと『ん?』というイマイチなところがあったので、フォームを改善していくことになりました」と説明します。

 

齋藤選手が目指す種目のひとつが、200m個人メドレー。4つの泳法をマスターする必要があります。

特に苦労しているのは平泳ぎ。息継ぎのとき、あごを上げすぎてしまい、水の抵抗を受けていました。

「泳いできたときにあごが上がることですよね。多分、ほかの人の1.5倍くらい遅かった」と身ぶりで説明する齋藤選手。

 

改善に取り組んで9か月。齋藤選手はパラ競泳の大会に出場しました。

課題の平泳ぎでタイムを縮め、手ごたえをつかみました。

「平泳ぎがいつもより0.5秒とかちょっと早くなっているので、軽い調整の割にはちゃんと泳げていたかなと思います」。

 

先月からは、ハードな体幹トレーニングも取り入れました。体幹を鍛えることで筋力を泳ぎに生かし、さらに記録を伸ばそうとしています。

東京大会の代表選考会まで残り1か月。自分を支えてくれる人たちのためにも、前進し続けます。

齋藤選手は「本当にいろんな人に迷惑かけてここまできて。体が動くようになってきているので、選考会に向けて、いい記録が出たらいいかなという、ワクワク感はあります」と決意を語っていました。

 

東京パラリンピックに出場するための機会は、2回あります。

3月の選考会で世界3位相当のタイムを出せば、そこで東京大会出場が決まります。そこで逃した場合は、その3月の記録などをもとに、5月に出場選手が最終的に決まる予定です。