ページトップへ
カウントダウン2020 パラ陸上走り幅跳び 小久保寛太選手 11月5日

今月7日から、UAE=アラブ首長国連邦で「パラ陸上世界選手権」が行われます。

現地には、NHKパラリンピック放送リポーターの後藤佑季さんが行っています。後藤さんに会場の様子を伝えてもらいます。

 

「この競技場は、障害のある方のために作られた施設なんです。そのため、さまざまな工夫がされています。私が歩いているこちらのスロープは、スタンドまでずっと続いています。選手だけでなく、観客にとってもやさしい施設なんです。

そのほかにも車いす用の駐車スペースがずらっと並んでいたり、トイレも広いスペースが確保されていて、車いす用が3つもありました。この競技場が戦いの舞台です」。

 

このパラ陸上世界選手権、日本選手は4位以内に入れば、来年の東京パラリンピック出場が内定する重要な大会なんです。

今回は現在世界ランキング5位で、走り幅跳び、知的障害のクラスに出場する小久保寛太選手をご紹介します。

 

小久保寛太選手、20歳。走り幅跳びを始めて2年余りで記録を次々と塗り替え、現在、知的障害のクラスの日本記録を持っています。

一番大きな目標について小久保選手は、「2020年の東京パラリンピックを目指しているというのと、出られたとしたらメダルを取れたらいいなと思っています」と話していました。

 

トレーニングのたび、欠かさず書いている日誌。より遠くへ跳ぶための努力を重ねてきました。

 

練習の中で重視してきたのが「空中での姿勢」。距離を伸ばすためにはフォームの改善が欠かせませんが、その動きは複雑です。

言葉でどう説明すればいいのか。高校生のときから指導してきた樋口進太郎コーチは悩んでいました。

 

効果的な指導法に気付いたのは、トップ選手の映像を一緒に見ていたときのことです。

樋口コーチが「このエクアドルの選手は、前の手が後ろに行っているでしょう。この『反り』がポイントだから」と説明しました。

小久保選手は、動画で見た選手と同じように自分の体を動かす「再現力」がすぐれていたのです。

 

例えば、腕の振り。以前は左腕が前に出ていました。

しかし、動画で見たトップ選手の動きを再現し「腕を後ろから回して反動をつける」ことに成功。記録を伸ばしてきました。

樋口コーチは「習得するのに1か月間かかるところを、小久保でしたら1週間でだいたいマスターしてくる。『再現力』は大きな武器だと思います」と評価しています。

 

小久保選手が競技をするうえで、支えになっている場所があります。

1年半前から働いている、高齢者のデイサービス施設です。食事や運動などのサポートをしています。

 

お年寄りと笑顔で触れ合う小久保選手。以前は「人との会話」や「初めて起こることへの対応」が苦手でした。

小久保選手と一緒にいることについて、施設のお年寄りたちは「手がぬくくて、気持ちがええ」とか「最高の子だよ。気持ちが最高」と話しています。

今では、大会に出場しても必要以上に緊張せず、競技に集中できるようになってきたといいます。

 

小久保選手が働く高齢者介護施設の伊藤重来常務は「少し及び腰というか、本人もどうしていいかわからないところも昔はあったんですけど、いまはほぼないですよね。別格と言っていいくらい、成長したと思います。応援していますので、頑張ってほしいと思っています」とエールを送ります。

 

2か月前から「助走の改良」にも取り組み始めています。助走の距離を長くすることで走るスピードを上げ、より遠くに跳ぼうという狙いです。

踏み切りのタイミングを失敗しないよう、試行錯誤を続けています。

 

世界選手権について、小久保選手は「そこでいい結果が残せたらいいかなと思います。金メダルを目標に頑張っていきたいと思います」と話します。