ページトップへ

企画ニュース

TICADを前に アフリカのいまと動きだす日本企業 2月28日

雄大な大地に、多くの動物たちが生息するアフリカ。そんなアフリカが、近年、めざましい経済成長を続けています。まちは大きな変貌を遂げ、人々の生活も一変。総人口は13億人に達し、各国から“世界最後の巨大市場”として注目を集めています。

日本では半年後の8月、アフリカの開発や支援のあり方などを話し合うTICAD=アフリカ開発会議が開かれます。会場となる横浜では、アフリカへの理解を深めるイベントや、学校にアフリカ諸国の大使を招き交流をするなど、盛り上がりをみせています。

TICAD開催を前に、今後の日本とアフリカの関係について考えます。

 

ちょうど半年後の8月に横浜で開かれるTICADは、日本とアフリカの外交の柱となっている国際会議です。アフリカ各国の首脳や国際機関、経済界などが一堂に会し、アフリカの抱えるさまざまな課題や、発展の可能性について議論されます。

今回で7回目を迎えるTICAD。当初は日本からの「援助」に重点が置かれていましたが、近年の関心は「投資」へと変わっています。

その背景にあるのはアフリカの急速な経済発展です。変貌するアフリカの現状を取材しました。

 

現在、13億もの人口を抱えるアフリカ。2050年には世界の人口の4分の1にあたる25億人にまで増えると推計されています。

 

ナイジェリアの最大都市ラゴスです。いつも大勢の人が行き交い人口爆発という言葉をまざまざと実感します。

現在アフリカで最も多くの人口を抱えるナイジェリア。将来的な人口は、4億人に達すると予測されています。

 

アフリカの多くの家庭は、大家族です。娘の結婚式を準備しているというこちらの家庭では、3世代、48人がひとつ屋根の下に暮らしています。

「家族はこれからもどんどん大きくなるんだ!」。

 

広がり続ける巨大な市場に、各国の進出競争が激しさを増しています。中でも、存在感を高めているのが中国で、戦略的にアフリカに進出しています。

 

アフリカ西部に位置するセネガル。街なかでは、中国の企業によって建設された建物が目立ちます。

こちらは中国政府が援助として贈った、国立劇場や美術館、それにスタジアムです。このような“贈り物”の背後には、市場の開拓を狙った中国の動きが見てとれます。

 

去年、操業を始めたこちらの工場では、地元の女性たちを雇って洋服を作り始めています。工場は、新たな雇用を生み、地元から歓迎されています。

従業員の女性は「みんなで働けるので、ここでの仕事が気に入っています」と話していました。

中国人の指導員の男性は「セネガルの将来性を見込んでわが社は進出を決めました」と進出の理由を説明します。

 

各国が進出競争にしのぎを削るアフリカ。今回のTICADで日本が、どのような存在感を示せるのか注目されています。

アフリカの外交に詳しいウィリアム・グメデ教授は「日本は民主国家であり、民主化と経済発展が両立することを身をもって示すことで存在感を出せる」と指摘します。

 

南アフリカのヨハネスブルク支局の別府正一郎支局長は、次のように話しています。

「今回、ラゴスを19年ぶりに訪れましたが、新たな埋め立てや再開発が進み、大きく様変わりしていました。実は、世界で最も経済成長が進んでいる10か国のうち、6か国はアフリカの国々なのです。

 

それもそのはず、増え続ける人口は、きわめて若いのが特徴です。消費意欲が旺盛で、都会では、おしゃれな若者が最新のスマートフォンを持ってさっそうと歩いています。

TICADの目的も、かつては『先進国の日本が、発展途上のアフリカを助ける』という面がありましたが、今では『成長するアフリカで、いかにビジネスチャンスをつかむか』ということに変わってきています。アフリカに熱い視線を送る日本企業も出てきました」。

 

野菜や花の種を栽培している、横浜市の種苗会社です。

この会社ではビジネスの拠点としてアフリカに注目。南アフリカに子会社を設立し、野菜や種を栽培しています。

 

今後、人口が急激に増えるとみられるアフリカ。野菜の消費地としても大きな可能性があると考えています。

野菜の生産が盛んになれば種の売り上げも増えるとして、地元の農家に栽培や流通の方法などの指導も始めました。

 

「サカタのタネ」広報宣伝部の清水俊英部長は「開発が進んで生活が近代化してくると、野菜が食べたいとなってくる。その中で野菜の消費が増えていくだろう。一緒に豊かさを享受していくというステージになってきている」と分析します。

 

アフリカの将来性を見越して、長年関係を築いてきた会社もあります。

横浜市の元町商店街にある革製品専門店に並ぶ、このジャケット。エチオピアの羊の革で作られました。

 

この会社では15年ほど前から薄くてなめらかな素材の良さに注目してきました。

「ヒロキ」の権田浩幸社長は「エチオピアシープレザーにほれ込んで、この革で洋服を作りたいと思った」と説明してくれました。

 

こうした動きをエチオピア政府も歓迎し、6年前にTICADが横浜で開催された際には、当時の首相も店を訪れました。

このとき、「日本の製品は質が高いので、その技術を取り入れていきたい」と話していました。

 

そして、2014年、エチオピアに現地工場を設立しました。革の裁断から縫製まで行い、製品を日本に輸出しています。

特に力を入れているのは現地スタッフへの高度な革の加工技術の指導です。この会社では、技術力を上げることで製品の付加価値が高まれば、日本だけでなくヨーロッパなどでも売り出していけると考えています。

権田社長は「エチオピアはもっと技術を育てていかないといけない場所。技術を持った日本の中小企業が出ていかないといけない。エチオピア人自身の手で製品化して、世界マーケットに挑んでいきたい」と期待を寄せています。

 

別府支局長は次のように話しています。

「アフリカに進出している日本企業は700社余り、日本人は1万人ほどです。しかし、中国は100万人を超えたとみられていて、かなり先を越されてしまいました。

駐在する日本企業の関係者に話を聞きますと、アフリカの重要性は分かっていても、多くの人と資金を投入する判断に、なかなか踏み出せないという声がよく聞かれます。背景には、「遠い」とか「危険」といったネガティブなイメージが根強いことがあります。確かに、国によっては、紛争や政情不安といったリスクを抱えています。しかし、変わりゆくアフリカの今の姿を真正面から見つめることが大切だと感じています。

 

アフリカの日本への期待は大きいものがあります。中国の巨額の資金援助や巨大な建設工事は確かに派手で、話題にはなります。しかし、日本の質の高いインフラ整備や商品に対する信頼には根強いものがあります。また、長年の地道な人道援助や人材育成も高く評価されています。

日本としては、中国とは異なる自由で民主的な社会の在り方も含め、もっと顔が見えるアプローチを強めるべきだと思います。その結果、アフリカの経済がさらに成長すれば、日本にとっても大きなメリットです。半年後に迫ったTICADが、その弾みになることが期待されています」。