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企画ニュース

始動2019(2) 伝統文化受け継ぐ若き職人「江戸小紋」を世界へ 1月8日

首都圏放送センター

須川 淳太

東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに注目が期待されるのが「江戸の伝統文化」です。

「江戸小紋」という染め物をご存じでしょうか。一見、無地に見えますが、近づくと模様が見えてきます。細かな柄が特徴です。かつてオリンピックの強化選手だった1人の若き職人が、江戸の伝統を受け継ぎ、世界に発信しようとしています。

 

東京・銀座。時代の先端を行くファッションを求め、多くの人が訪れます。

 

百貨店に並ぶネクタイやストール。「江戸小紋」の染め物です。遠くから見ると無地ですが、近づくと細かな模様が見えてきます。

派手なものが禁じられていた江戸時代の「庶民の粋」として親しまれました。

 

百貨店の呉服担当、安田貴史さんは「伝統の柄、江戸小紋といったものを現代の洋装のアイテム等々に落とし込んでいただけるというのは、可能性の広がりというものを非常に感じる」と話しています。

 

商品を作った染め職人の廣瀬雄一さん(40)です。東京・新宿区で100年続く染工場の四代目です。

江戸小紋の魅力を廣瀬さんは「江戸小紋って、素朴だけれども何かひとつ筋があって、凛(りん)としているというか、いつ見ても飽きない」と話します。

 

学生の頃の廣瀬さんです。当時はオリンピック選手を目指していました。

シドニーオリンピックのウインドサーフィンの強化指定選手でしたが、職人だった祖父や父の言葉で染めの道を選びました。

「子どものころから憧れていた職人ができなくなっちゃう可能性もあるんじゃないかと考えた時に、次はこの江戸小紋の世界でやっていこうという、そこで決めてからには、今度はこの世界で自分は上に行きたいという違う目的、目標ができた」。

 

来年開かれる東京オリンピック・パラリンピック。

エンブレムは「市松模様」と「藍色」がデザインされ、東京大会では「江戸の伝統文化」が世界に向けて発信されると、期待が寄せられています。

「市松というのは、本当に江戸を代表する紋様と言えると思います。伝統工芸がこの時代、すごく追い風が吹いているなと。今、東京大会が注目されている時に、東京で染められているという喜びというか、チャンスだと」。

 

廣瀬さんが守り続ける、伝統の「江戸小紋」。繊細な作業が続きます。最初の工程「型付け」は、1ミリほどの点だけを頼りに型紙を生地に繰り返し当て、糊(のり)で模様をつけていきます。

「いい江戸小紋になるか、いまいちな江戸小紋になるか、すごく神経を使うところなので重要なポイントだと思います」。

 

そのあと、生地に染料を塗ります。時間をかけ過ぎると色が変わるため一気に進めます。

さらに生地を30分程蒸すことで色はより鮮やかに、生地にもなじみます。

 

最後に水洗いして天日干し。商品になるまで長いもので1か月かかります。

「わくわくするときというのは、しごいて蒸して洗って、洗って糊(のり)が落ちたときに、見えてくるわけですね。表情が出てくるというか、一番・・・すごくエキサイティングしてますね、洗って干すときですね。自分がイメージした反物はそれができあがっているのか」。

 

廣瀬さんは伝統の江戸小紋を若い人たちにも受け入れてもらえるよう、新たなブランドを立ち上げ、ストールを売り出しました。

国内外の多くの人にカジュアルな場面で使われることで、江戸小紋を知ってほしいと考えています。

 

廣瀬さんは「本当にいい江戸小紋というのは、100年先も何も変わらないと僕は思うので、その技術をしっかり守りながら、磨きながら次の世代に渡していくのと同時に、江戸小紋の可能性はどんどん広げていきたい。東京で、江戸でオリンピックがあるというのは、江戸を代表する染め物の1つが江戸小紋だと僕は思っているので、そういう時にすごくアピールしていきたい」と期待を寄せています。

 

廣瀬さんはここ数年、フランスの美術学校の学生に江戸小紋を教えていて、東京大会をきっかけに海外に発信する活動をさらに広げることも検討しているということです。