首都圏ネットワーク

10月26日放送
若い世代に広がる「短歌」 SNS活用も

新春恒例の「歌会始」をはじめ、「短歌」は古くから親しまれてきた日本の伝統文化です。
この短歌が今、若い世代で注目されているんです。
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「それでは10月の歌会を始めたいと思います、よろしくお願いします」。
去年10月に誕生した、日本女子大学の短歌同好会です。

メンバーは、ほぼ初心者の学生10人。
毎月1度、自作の短歌を発表する歌会を開いています。
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“カステラに 付いてる紙ごと ほおばって 全部含めて カステラなんだ”

学生からは「紙付いたまま食べた方がおいししそうって」といった感想が聞かれ、指導する教授は「紙まで食べると確かにうまい気がするというファンタジーだよね」と評価していました。
格式にとらわれず、身近なテーマで盛り上がる女子大学生たち。
中でも一番人気は、やっぱり“恋バナ”= 恋の話 です。
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“寒いねを 口実にして つなぐ手を 期待する夜に 迎えに来てね”

学生からは「こういう“キュンキュン”する歌いいですよね」「『迎えに来てね』って、自分から行くんじゃなくて期待している感じがかわいい」と共感の声が上がりました。
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歌会だけでなく、SNSを使って短歌を発表する学生も少なくありません。

「ふだんだとここまで言ったら重いかなということも、短歌だとするっと言えちゃう」「恋の歌も失恋の歌が多いですね、すごく。『よんでやったぞ』みたいな、『お前を31文字に閉じ込めてやったぞ』みたいな」と、その魅力を口にします。
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短歌は今、若い世代に着実に広がっています。
2年前には、大学対抗で短歌の腕前を競う全国大会が開幕。
参加する大学も年々増え、大会の様子はインターネットで生中継されるほどです。
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短歌の楽しみ方にも若者ならではの変化が。
先週、20代、30代の社会人や学生が開いた歌会。
この会では指導役の先生を、あえて置いていません。
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“卵膜の やうに張り付く 22℃ ひとりふらっと in常設展”

歌会は、先生のもとに弟子や生徒たちが集まって指導を受けるのが一般的。
しかしこの会では、参加者だけで自由に意見を言い合う環境作りを優先しました。

会員の女性が「もっとおもしろい言葉を知っている気が、どうしてもしてしまって」と話すと、男性が「おもしろいんじゃなくて、ちょうどいい”ゆるさ”くらいだよ」と指摘していました。
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公平性を保つため、作者は事前には明かさず、全員で投票し合って順位を決めていきます。

歌会の運営者は「誰でも参加できるというのが大きいと思いますね。初めて来た方でもあまりプレッシャーを感じ過ぎずに、対等な立場で短歌が楽しめるというのが価値なのかな」と説明しています。
創刊63年、短歌専門誌の編集長は、若者に短歌が広がる背景にはSNSの普及があると指摘します。
角川文化振興財団「短歌」編集部の石川一郎編集長は「すぐにアウトプットできて、それに対して『いいね』をもらったり、感想、批評をもらえたりすることで、さらにやる気が出てきたりとか。1人でやっていた人が、『こんなに仲間がいっぱいいる』と広がった」と分析しています。
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SNSを最大限活用し、独自のスタイルで短歌を楽しむ人もいます。
主婦の多田ちなこさんです。
多田さんは「日常の小さな幸せ」をテーマに写真と短歌を組み合わせ、インスタグラムに投稿しています。
1年半で作った「インスタ短歌」は100首を超えました。
“そっくりな 寝相の二人に 押し出され 深夜にこっそり シャッター押してる”

夫と娘の寝相が悪く 自分だけが布団から追い出されてしまったときの、悔しさと愛しさを歌った作品。
“地球儀と ストリートビューで 世界旅行 積立ちゃんと しておくからね”

地球儀と海外の映像を交互に眺める娘の姿に、旅行資金を貯めようというささやかな決意を詠みました。
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写真に短歌を添えることで、その瞬間の気持ちも一緒に記録できるのが魅力だといいます。
多田さんは「写真だけで思い出を残しておくよりも、短歌として表現するほうが、さらに自分の気持ちの深いところと向き合って作品にしていく楽しさがあるんでしょうかね。美しい日本語、美しい言葉は、ずっと耳に残るんですね。日本人ならではの独特の文化ですよね」。
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若い世代を魅了する、31文字の世界。
カタチは変わっても、言葉の表現を楽しむ感性は、今も日本人の心に根ざしているのかもしれません。

最近では、短歌の権威ある賞でも若い世代が受賞するケースが増えてきているそうです。

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