首都圏ネットワーク

10月4日放送
東京パラリンピックまで3年 障害への理解から今後の社会へ

NHK千葉 松山 翔平
NHK千葉
松山 翔平
東京パラリンピックまで、あと3年を切りました。
このうちパラリンピックの4つの競技が開催される千葉県内では、さまざまなイベントや選手の講演会などが開かれています。

その中でも注目されるのは、子どもを対象にした取り組みです。
千葉市では、授業の中に障害者スポーツを取り入れる新たな試みが始まりました。
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千葉市花見川区の上の台小学校です。
子どもたちが練習しているのは、シッティングバレーボール。
体育館の床に座ったままでバレーボールをしています。
パラリンピックの種目の1つに採用されています。

障害者スポーツを体験したのは今回が初めて。
ボールを軽くし、子どもでも楽しめるようになっています。
初めて体験した男子児童は「1回もやったことない経験だったから、慣れないところもあったけど。ちょっとは関心を持てたのかなと思います」と感想を話していました。
指導に当たった上の台小学校の小林和順教諭は「一生懸命やって、涙するぐらいに熱くなっているので、スポーツを楽しんでいくっていう意味でも、とっても意味があると思っています」と話しています。
千葉市教育委員会では、9月から12の小中学校の体育の授業に、パラリンピックの競技を取り入れました。
子どものうちにその魅力を知ってほしいと考えたのです。

去年のリオデジャネイロパラリンピック。
日本代表は、合わせて24個のメダルを獲得。
障害のある選手が世界を舞台に活躍しました。
しかし、オリンピックと比べれば関心は高くありません。
NHK放送文化研究所の調査では、東京オリンピックに「大変関心がある」と答えた人は、すでに30%を超えています。
しかし、パラリンピックの場合は15%。
競技の魅力は、まだ十分には伝わっていません。
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こうした状況を打開しようと、千葉市ではトップ選手を学校に招く取り組みも行っています。
子どもたちにとって、実際に体験することが大切だと考えました。
千葉市教育委員会保健体育課の古山智和課長は「いろんなスポーツがあるなっていうことを知ることとか、いろんな障害があるけど、そこですごく頑張っている人がいるんだなということに気づいていく、関心が高まっていくというのが一番大きいかなと思います」と狙いを話しています。
取材に当たった千葉放送局の松山翔平記者は次のように話しています。

「初めてシッティングバレーボールを体験した子どもからは、もっといろんな競技に挑戦したいとか、高いレベルの試合を観戦したいといった声が聞かれました。そうした中から、ボランティアに協力してくれる人材が育ってきたり、競技のすそ野が広がっていったりする可能性があるのではないかと感じました。

変化という意味で言うと、それだけではありません。今回、パラリンピックをきっかけに、子ども自身が障害者に配慮したまちづくりについて考える姿に出会うことができました」。
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9月23日、千葉市の中高一貫の学校で生徒による発表会が行われました。
集まった県や市の担当者たちは、子どもたちの提言に耳を傾けました。
生徒からは「幕張メッセ周辺ではいろんな所に階段しかない場所があり、エレベーターが設置されていないと車いすの方がすごく困ってしまう」という指摘も出されました。
この学校の生徒会長、勝山直毅さんは、東京パラリンピックをきっかけに、障害者に配慮した環境を整備するべきだと考えるようになりました。
勝山さんは「東京オリンピック・パラリンピックのおもてなしをどういうふうにするかっていうのを模索するところから始まったんですけども、すべての人が会場まで行く環境が整っているのかっていうのに疑念を抱いて」ときっかけを話しています。
会場周辺の現状を確かめたい。
メンバーは実際に現地を回ることにしました。
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「点字ブロックがない」。
「ここまでしかなくて、あっちからまた始まっている」。
問題を感じた箇所が次々に見つかりました。
池を巡る遊歩道でも、「結構ガタガタしてますけど」「写真お願いします」と、問題だと感じたようです。
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およそ2か月にわたって積み重ねた調査結果。
「左の写真を見てください。目を凝らして見ないと、どこに点字ブロックがあるかがわかりません。このように視覚障害者を安全に導くことができない例も、このほかに見られました」と、勝山さんは直接、大人たちに伝えました。
提案したのは点字ブロックの改善です。
途切れた部分も多くあり、課題だと訴えました。
また発表には、車いすを使う特別支援学校の生徒も参加しました。
まちなかの自動販売機には、「届かない」「取りづらい」「入れづらい」という問題点があるというのです。
問題点を指摘した四街道特別支援学校の益子隆太郎さんは「これらの問題点は、現在、病院などで普及している硬貨投入口が広く、ボタンが低い位置に作られている自販機を採用することで解消されます」と訴えました。
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生徒から寄せられた率直な意見。
千葉県や千葉市は、今後のまちづくりに生かすことに前向きです。
千葉県県民生活・文化課の渡部英敏副課長は「県としてもこういった報告やメッセージを貴重なものとして受け止めて、しっかり対応していきたいと考えております」と話しています。
勝山さんは「オリンピック・パラリンピックっていうのが、いま大きな目標だとは思うんですけど、そこの一過性のもので終わるんじゃなくて、そのあともいろんな人が住みやすいっていうまちを目指して、僕たちもできることを少しずつやっていきたい」と希望を話していました。
松山記者は次のように話しています。
「パラリンピックはスポーツという側面だけでなく、その後のまちづくりにもつながるんだと感じさせられました。

今後、さらに高齢化が進めば、誰もが体が不自由になる可能性があります。そのとき、子どもたちの中に育まれた障害を理解するという『レガシー』が、お互いを支え合う原動力になっていってくれればと感じています」。

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