首都圏ネットワーク

10月3日放送
就職戦線“異状あり”内定「キープ」し続く就活

NHK千葉 橋 広行
NHK千葉
橋 広行
2日、多くの企業で来年春に卒業する大学生などの内定式が行われました。
就職戦線の1つの区切りとされてきましたが、近年、状況は一変しています。
キーワードは「キープ」です。
就職活動を支援する都内の会社です。
世間は内定式の時期ですが、面談ルームは混雑しています。
就職活動中の大学生と企業の橋渡しを行っている会社です。
多くの企業が内定式を行う10月を前にしても、学生たちであふれていました。
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集まっているのは、内定がない学生ばかりではありません。
男子学生は「まだ時間もあるので、できるだけギリギリまで、いろんなところに可能性を探ってみようかな」と話しています。
内定を持ったまま就職活動を続けている、「キープ」と呼ばれる学生たちです。
学生に有利な、いわゆる「売り手市場」が続く中、年々増えているといいます。
学生たちは、なぜ内定をキープしているのか。
この女子学生は、就職活動に本腰を入れてわずか1か月で2社から相次いで内定を受けました。
しかし、もっと自分に合った会社があるかもしれないと、2社の了解も得て就職活動を続けていました。
「どっちかって言うと“あ、内定取れちゃった”って。1社目でも、ここでもいいかなと思ったんですけど、何十年も働いていく中で、いちばん納得したところで働きたいということから、ちょっと先方には悪いですが、そうした形を取らせていただいてます」。
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企業側も、採用活動に区切りがつけられないところが増えているといいます。
この人材会社には、内定式のあとも就職を辞退する学生が出てくることをおそれて「例年より多くの内定者がほしい」と、学生の紹介を求める問い合わせが相次いでいます。
春に次ぐ『第2の繁忙期』になっています。
人材会社「ネオキャリア」の小笠原風薫アドバイザーは「決断しなくても、まだまだ企業はあるって思えるような市場ではあると思います。われわれとしては、やりがいのある時期なのかなというところです」と話していました。
「キープ」ではなく、「本命」に。
企業はあの手この手で、内定の学生をつなぎ止めようとしています。
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インターネット広告などを手がける、社員100人のベンチャー企業「サイバー・バス」です。
去年は16人に内定を出しましたが、大手に取られる形で辞退が続き、実際に入社したのは8人と半減しました。
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採用担当の小河原英貴さんは、この反省から、ことしは内定者をアルバイトとして雇ったり、懇談の場を繰り返し持ったりして、仕事の詳細を知りたいという学生の要望に応えました。
また、内定者同士でチームをつくり、社長が審査員を務める料理コンテストを開催。
会社を挙げて、風通しのよい職場であることを伝え続けてきました。

そして迎えた、2日の内定式の日。
半年に及ぶ取り組みの成果が問われます。
小河原さんは「ここはスタートラインなんで、あくまで。そろってもらわないと困るんで」と緊張した様子で結果を待ちます。
「おはようございます」とあいさつして次々会社にやってくる内定者に、「おつかれー、髪伸びたね。お疲れさま」とこたえる小河原さん。
「これで全員集合じゃないですか」。
ことしは、内定を出した9人全員がそろいました。
小河原さんは「みんなこの日に集まれるかどうか、心配ちょっとしていたんですけれども、当然のように9名全員集まれて本当にうれしく思っています」と笑顔を見せました。
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内定した学生たちは「自分は内定の後というのを気にして、就活してたので」「他の会社に比べて、お願いしたらいろんな方に会わせてくれたのがすごい良くて」と、内定後の対応が決め手だったと口をそろえました。
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この企業では、大学3年生を対象に、早くも来年の採用活動に向けた対策を始めています。
「社長とあそうぼう」と題した新たな取り組み。
「学生時代って勉強する時間とかもあったと思うんだけど、社会人は時間をつくるのは自分次第だから」と説明する高村彰典社長。
スポーツジムで汗をかきながら、インターンの学生たちに社長と交流してもらい、その人柄を知ってもらいます。
就職活動の前から学生のハートをつかみ、来年も内定辞退者ゼロを目指します。
小河原さんは「採用は妥協しない。われわれにとってマッチする優秀な人材を採るというところは、どれだけコストをかけようともやらなければならないことだと思っています」と意気込みを語ってくれました。
学生有利の就職市場。
採用コンサルタントの谷出正直さんは「採用活動の工夫ももちろんそれは必要ですけれども、根本は、やはり企業そのものをよくしていく、今いる社員にとってよりよい会社にしていく。まず内側をちゃんとぴかぴかに磨いて、自信を持って自分たちも広報として伝えることができれば、学生が見たときに『ここで一緒に働きたい』というような会社を作っていくことが最短かなと思います」と、学生の見る目が年々厳しくなる中、最終的に問われるのは、企業が魅力づくりにどれだけ力を入れているかだと指摘します。
取材にあたった千葉放送局の高橋広行記者は、次のように話しています。

「内定先の企業の了解を得て就職活動を続けている学生が出てきましたが、これも現在の売り手市場の特徴だと言えます。いわゆる「働き方」への関心が高まる中、企業側には学生に納得して入社してもらなわなければ、結局、早期離職につながってしまうという危機感があります。学生をあえて自由にすることで、度量の大きさをアピールする狙いも感じました。

今回取材した専門家は、就職活動の売り手市場は、少なくとも2020年までは続くと話していました。学生と企業の綱引きは当面続くことになりそうです」。

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