首都圏ネットワーク

7月4日放送
新しい働き方(1)子育てと仕事“フリーランス”で両立

NHKさいたま 村石 多佳子
NHKさいたま
村石 多佳子
働き方改革が国を挙げての課題となる中、働く側、雇う側の双方で、さまざまな新しい取り組みが始まっています。
こうした動きを、シリーズでお伝えします。

今回は、雇用されずに働く”フリーランス”の広がりについての報告です。
フリーランスとは、特定の企業と雇用契約を結ばず、個人の得意分野を生かして業務単位で仕事を請け負い、働く人たちです。
ネットで人材の仲介をする民間企業によりますと、こうしたフリーランスとして働く人はこの1年で60万人近く増え、副業も含めて1122万人に上ると見られています。
子育てと仕事を両立させるため、“フリーランス”という働き方を選択した女性たちを取材しました。
尾崎菜穂さん(31)です。
ことしの春に大手情報サービス関連企業を退職し、フリーランスとして働き始めました。
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この日、出勤したのは東京・品川区のベンチャー企業。
インターネットで贈り物をするサービスを展開するこの会社で、顧客データの分析など重要な仕事を請け負っています。
企業の総合職として9年働いて培った知識をフル活用し、業務の改善策を社内ミーティングで提案します。
「150円のギフトコードを検証用に半分に分けて、送る人と送らない人に分けると、送らなかった人がどういう動きをするのかがわかるので、その試作によって、どのくらいの効果があったのかが測定できるようになる」と説明します。
企業の担当者は「特にデータの部分、数字をどうやって出していくか、伸ばしていけるのかといったところの経験が尾崎さんは豊富なので、それで助けてもらっているという感じですね」と信頼を寄せます。
尾崎さんが出社するのは、週に1回。
あとは自宅で仕事をしています。
尾崎さんは「前の会社では総合職という働き方ではあったんですが、社内で身につけてきたスキルが、ほかの会社でも役に立つんだ」と話しています。
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尾崎さんが働き方について考えたきっかけは、2年半前の出産でした。
当時、勤めていた会社で在宅勤務などを利用して働きましたが、時間の制約で任される仕事も限定され、子育てとの両立の限界を感じました。
「在宅勤務をしようと思っても、定例の打ち合わせが週に4回とか。すごく責任ある仕事をしたいと思っても、自分がそこまで仕事にコミットできるかというと、ちょっと難しいかなと…」と振り返ります。
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悩んだ尾崎さんが見つけたのが、これまでの経験を生かせる仕事を紹介してくれる、マッチングサービスのサイトでした。
総合職の女性を集めるこのサイトには、発足から4年で3600人が登録。
キャリアを生かせる仕事が多く集まっていることから、フリーランスを選択する後押しになっています。
サイト運営会社「Waris」の蟻川理香さんは「時間の制約という理由で最前線の仕事から外れざるをえなくて、サポート的な業務に回っているという女性は、かなり多くいると思います。そういった方々が、やりがいのある仕事と自由度の高い働き方を求めて、フリーランスという選択肢を選び始めていると思います」と分析しています。
尾崎さんはこうしたサービスなどを利用して、今、自宅を仕事場に主に3つの会社の仕事を請け負っています。
その一つは、洋服を預かる会社の業務の流れを作る仕事です。
フリーランスとして働き出した今、家族との時間が増えたうえに、収入面は以前と変わらない水準を維持できていると言います。
尾崎さんは「いろんな働き方が選べるようになってきたというのは、すごくいいことだなと思います」と話しています。
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主婦のスキルを仕事に生かし、フリーランスとして働く人も増えています。
大塚里美さん(40)です。
子どもを幼稚園に預けたあとに訪れたのは、出産まもない母親の家庭です。
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大塚さんが請け負っているのは、主婦歴11年の腕を生かした料理作りです。
この日は、3時間で買い出しから料理までをこなし、夕食9品を作りました。
大塚さんは「今までずっと働きたいと思っていたんですが、なかなか発揮できる分野がなく、時間帯も合わなかったりして」と事情を説明します。
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大塚さんが働くきっかけになったのも、マッチングのサイトでした。
家事代行専門のサイトを通して、自分の働ける時間帯で、依頼する家庭と直接契約を結びます。
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この日は、依頼者から「品数が前回からさらに増えて、うれしいです」と、感謝の言葉がありました。
依頼主からの評価が高いと、給料アップにつながる仕組みです。
出産を機に仕事を辞めてから10年以上のブランクがあり、働きに出ることにちゅうちょしていた大塚さん。
この仕事で社会との接点を再び持てたと感じています。
「依頼者のお母さんがあっぷあっぷしている状態で頼んでくるので、そういう人の手助けになれることは、女性としてうれしいです。社会の一員になれた気がします」とやりがいを話します。
雇われない働き方が広がる一方で、社会保障の手薄さや収入の不安定さなどの課題もあります。
そうした中、ことし、フリーランスや関係企業で作る協会も設立され、こうした人たちの生活や仕事を支える仕組み作りも始まっています。
「フリーランス協会」の平田麻莉代表は「妊娠出産のときに育休や産休の取得が、フリーランスではなかったりするので。どんどん増えているのというのは、肌身で感じるので、そういう人たちがこれだけ増えているのであれば、社会の仕組みも変わっていくといいのかなと思います」と話しています。
ITの発達が働き方を変えるきっかけになっている今、ワークライフバランスを重視する女性たちの活躍の場も広がっています。
取材に当たった、さいたま放送局の村石多佳子記者は次のように話しています。

「こうした時間や場所を選ばない働き方で、時間に制約がある女性たちの働く選択肢がすごく広がっていると感じました。

その一方、課題としては、社会保障について見ると、企業に雇用されている人たちを前提とした枠組みとなっているため、フリーランスの人たちにとっては手薄な制度になっています。例えば、自宅を拠点として仕事をしていることから、子どもを保育園に入園させづらかったり、病気や出産・育児での休業で収入を失う場合の保障制度が不十分などの問題点が挙がっています。

ことし発足したフリーランスの団体では国に制度の改善を求める提言を行っていくほか、保険会社と提携して所得補償を盛り込んだ独自の保険を作るなど、新たな取り組みも進んでいます」。

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