首都圏ネットワーク

6月21日放送
人口減少の対策は 東京・奥多摩町が“空き家”を逆手に

多摩支局 飯嶋 千尋
多摩支局
飯嶋 千尋
民間の研究者などで作る団体が3年前にまとめた報告書では、都内でも11の自治体が、人口減少によって“消滅のおそれがある”と指摘されています。
こうした中、問題となるのが空き家ですが、東京・奥多摩町では、空き家を逆に活用して新たな住民を増やそうと取り組んでいます。
山あいにある空き家。
住む人がおらず、長年放置されたままです。
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こうした空き家が町内に450余りある東京・奥多摩町。
人口は5000人余りで、このままでは町が消滅するおそれがあると指摘されています。
そこで町が考えたのが、放置された空き家を、逆に人を呼び込む手段として活用する取り組みです。
3年前から始まったこの取り組みでは、町が町民から寄付された空き家を改修して、実質、無償で貸し出します。
15年住み続ければ譲渡し、好みに応じて部屋の模様替えもでき、その費用として最大で200万円を助成します。
これで田舎暮らしに憧れる人たちを呼び込もうというのです。
奥多摩町若者定住化対策室の新島和貴室長は「都心部に近いんですけど、自然環境が豊かなので。非常に住みやすいんじゃないかと思っています」とアピールしています。
この制度を利用して2年前に川崎市から移住してきた、井田孝之さんの家族です。
井田さんが住んでいるのは、2階建ての元空き家です。
「とりあえず自然が好きなので、一度家族で旅行というか来まして、そのときに一目ぼれみたいな感じですかね」と妻の直子さんが説明します。
住み始めて2年。
町の老人ホームで介護士として働く井田さんは、子育てを楽しみながら田舎暮らしを満喫しています。
保育料や学校への通学費、それに医療費が高校まで全額助成されるなど、町からの手厚い支援も魅力となっています。
井田さんのように町の制度を利用して移住したのはもう一家族あり、地道ですが成果が出ています。
直子さんは「思っていた以上に支援はすごいです。暮らしやすいというのもやっぱりあります。川に犬を連れて散歩に行って水の中で遊んだりとか、山の中で散策したりしています。めちゃくちゃいいですね、何にも後悔は一切ないです」と話してくれました。
「空き家は人を呼び込む有効な資産になる」。
そう考えた町は、さらなる取り組みを始めました。
それが空き家となった古民家の活用です。
築100年以上といわれるこちらの古民家。
町民から寄付されたものを町が改修しました。
新島室長は「見てもらってわかる通り昔の家なので、和室が2つなんですけど、すごく広くなっていますので、お子さんも喜ぶんじゃないかなというふうに考えています」と説明します。
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居間には昔ながらの掘りごたつがあり、キッチンにはガスコンロの隣に、かまどもあります。
今でも薪をくべて、調理も楽しめます。
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時の流れを感じさせる黒光りした柱やかやぶきの屋根裏部屋など、古民家らしい造りはそのままに残しました。
改修にかかった費用は120万円ほど。
まずは1週間1万円で移住を体験してもらうことにしています。
募集開始から1か月。
都内で山あいの暮らしが楽しめると、すでに2組から応募がありました。
新島室長は「こちらの地域は自然環境が豊かな分、公共交通の便が奥多摩町の中でも若干不便な地域になりますので、そんなにいっぱいの方が申し込まれないのかなというふうには思っていましたが、うれしく感じています」と手応えを感じています。
こうした空き家を逆手に取った取り組みは、専門家も空き家問題を考える一つのヒントになると注目しています。
空き家問題に詳しい三島由樹さんは「自治体が空き家に着目して外からの人を呼んで、地域の人と一緒に取り組んでるというのは、とても新しい一例だと思います。空き家そのものを負の遺産として見るんじゃなくて、ポジティブな人を呼び込む資産として見るというのは、とても新しいアプローチかなと思います」と話していました。
体験移住の申し込みは、奥多摩町の若者定住化対策室(電話 0428−83−2310)で、11月15日まで受け付けているということです。

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