首都圏ネットワーク

5月29日放送
シェアが映すニッポン(1)消費も変える!?“シェアガール”

「シェア」ということば。
“共有する”“分け合う”などという意味で、使われていないモノや時間を有効に活用していくシェアリングサービスがいま、急速に広がっています。
例えば、住宅の空き部屋に宿泊する「民泊」や「カーシェアリング」など、さまざまな分野で浸透するシェアの市場規模は、来年度には500億円近くに上るとも予想されています。

「シェアが映すニッポン」と題して、広がるシェアの現場と暮らしに何をもたらすのかを見ていきます。

1回目はみずからを「シェアガール」と呼ぶある女性の日常と、「シェア」が消費を変える最前線を見つめます。
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東京・目黒区の一軒家。
「お誕生日おめでとう!」。
会社員、石山アンジュさん(28)の誕生パーティーが開かれました。
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広いリビングやウッドデッキがあるこの部屋。
インターネットでイベントスペースを貸し出すシェアリングサービスで、石山さんが見つけました。
石山さんにこの部屋を探した理由を尋ねると、「きょうは自分の誕生日ということで、普通の店でやるんじゃなくて、自分のオリジナルの自分だけのバースデーをやりたいなと思って」という答えが返ってきました。
ふだんは料理教室として使われているこの部屋、教室のない時間を活用しシェアされているのです。
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食器やグラス、こちらのバーベキューセットまで、料理教室で使われるものを利用できます。
20人が参加したこの日のパーティー。
シェアを駆使して、会費は1人2000円ほどでした。
パーティーで石山さんは「持っているよりも、こういう空間とかスペシャルな経験をしているほうが、価値だと思っている」と話していました。
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石山さんが手にするこのバッグもシェアしたものです。
月に6800円払えば、気に入ったブランド品を何回でもシェアできます。
「桜色のバッグを期間限定で使いたいなと思って。来月はあじさいがきれいだから、青色のバッグを借りようかな」。
集まった友人たちにもシェアリングサービスについて聞いてみると、7人中5人が利用していました。
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友人たちからは、「お菓子作りの先生をしているので、シェアリングサービスでキッチンスタジオを借りたりしています」「普通の人のおうちの空いている駐車場を使わせてくれるサービスもあって、それけっこう使ったりしています」といった声が聞かれました。
石山さんは「私たちの世代って本当に『車を持っている』だとか、『めちゃめちゃ高いモノを持っている』とか、モノを自慢することがそもそもダサいっていうか、そこに価値を感じていない」と言い切ります。
みずからを「シェアガール」と呼ぶ石山さん。
9万円の家賃で都心の一等地で暮らします。
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その住まいはシェアハウス。
キッチンやリビング、家電製品も同居する人とシェアしています。
「家電製品一個も所有したことないです」。
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スマホの画面を見せて説明するのは、「これは民泊のサービスで」。
石山さんは今月、旅行したアメリカでも、一緒に行った友人たちとシェアリングサービスで、現地の人の空き部屋に滞在しました。
「このシェアサービスを使って友達が世界中にどんどんできる感覚があります」。
石山さんは、これまで知り合えなかったような人たちとつながりが持てることがシェアの魅力の1つだと言います。
「シェアっていうのは、人と人とのつながりが増えていったりとか、1つのものでもみんなで共有したりとか、新しいライフスタイルのあり方がどんどん生まれてくる感覚がありますね」。
シェアの広がりでモノが売れなくなるという懸念を、逆転の発想でビジネスにつなげようという取り組みが始まっています。
「色はこの2色で決定しました」。
洋服などの企画・販売会社です。
20代から30代の女性向けブランドの販売に、シェアを取り入れました。
女性服ブランド事業責任者の設楽基夫課長は「一般的には洋服が売れなくなっていくという危機感が、僕たちサプライヤーの販売する立場からするとあると思います」と話します。
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このブランドでは、ネットを介して洋服を貸し出す会社と連携し、自分たちのブランドだけでコーディネートした服を試験的に貸し出しました。
すると、意外な反応がありました。
貸し出した洋服を着た利用者から、気に入ったのでそのまま購入したいと注文が入ったというのです。
「シェアしていただいて、実際に着ていただける。気に入っていただけたら買っていただける。そこから売り上げが伸びていくという結果にもつながっています」。
シェアリングサービスが、いわば試着の役割を果たすことがわかったこちらのブランドでは、シェアを購入につなげる仕組みづくりを模索しています。
女性服ブランドをプロデュースしたビームス創造研究所の南馬越一義所長は「新しいものが出てきたら吟味しつつ、取り入れられるところは取り入れつつ、世の中の流れに合わせていく。購買意欲も消費動向も広がっていくというところでは、シェアリングサービスは可能性があるし、いいスパイスになる」と話していました。
マーケティングの専門家は、シェアの広がりが今後も新たな消費につながると指摘しています。
消費動向に詳しいマーケティングリサーチ会社の堀好伸さんは「消費のスタイルが変わってきたと思っています。以前ですと所有する、買うことに重きを置いていたんですけれども、今はどう活用するか、これだけモノがあふれている中で、そのモノをどう活用するかというところに価値観が変わってきた。モノの売り方自体もこれから変わってくるんじゃないかと。モノを使った感覚とか体感とかを感じて、消費につながっていくのではないかと思っています」と分析していました。

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