首都圏ネットワーク

4月12日放送
発達障害 子どもと家族を“地域”で支える

NHK甲府 間野 まりえ
NHK甲府
間野 まりえ
発達障害のある子どもとその家族の支援についてです。
発達障害とは、コミュニケーションが苦手な「自閉症」や、注意力が散漫で落ち着きのない「注意欠陥多動性障害」、それに読む書くといった特定の学習が困難な「学習障害」などさまざまなタイプがあります。

発達障害の診療の実態について総務省は、ことし1月、「専門的な医療機関が不足している」と指摘しました。

こうしたなか、診療の受け皿として期待されているのは、地域の小児科医です。
小児科医を中心に地域が一丸となって、子どもと家族を支えようという取り組みを取材しました。
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ことし2月、発達障害をテーマに開かれた会議です。
保育士や学校の先生、医師や市の保健師など地域で子どもと接する機会のある人たちが参加しました。
会の中心となったのは、小児科医の池田久剛さんです。

発達障害の子どもとその家族を支えるには、関わりのあるすべての人の連携が欠かせないと考えています。
「それぞれの機関の得意なところをいかして、その子どもとその保護者、家庭を支援していくという姿勢が非常に重要になってまいります」と訴える池田医師。
「インフルエンザ大丈夫?」。
この日、池田医師のもとを訪れた小学生の女の子。入学してから発達障害と診断されました。
周りに大勢の人がいると落ち着くことができず、教室を出たり、友達とトラブルを起こしたりしていました。
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池田医師は、母親から女の子の学校での様子をじっくり聞きました。
「学校では最近比較的落ち着いているんですけど、その分、家での反動が最近すごいひどくて」。
「学校の先生に相談はしといた方がいいよね」と池田医師がアドバイスをします。

池田医師の提案は、学校の先生とも悩みを共有することでした。
そこで始まったのが連絡帳でのやり取りです。
母親と学校の先生は、女の子の様子を毎日報告しあっています。

さらに連絡帳は、学校と池田医師もつないでいます。
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ある日の先生の報告です。
「朝、ランドセルを机の上に置いたまま逃げ出しました」。

同じようなことが何度かあり、母親は池田医師に相談しました。
池田医師のアドバイスは、教室に女の子だけのスペースを作ること。
学校は教室に段ボールなどで女の子の部屋を作りました。
すると・・・。
連絡帳には「比較的教室にいる時間が長かったです」と書かれていました。
女の子に変化があり、率先して学校に通うようになったといいます。
「とても楽しいけど嫌なこともあるし、何て言えばいいのかわからないけど、でもみんなが優しくしてくれることはいいと思う」と女の子は話しています。
「今までは、だめな子、だめな子みたいな感じで言われたりとかがあったんですけど、だんだん周りのクラスの子たちが娘の個性としてそれを受け止めてくれるようになったっていうのが、学校が大好きになったのでそれはすごい変わったところだなって」と母親は娘の変化を感じています。
女の子は今、学校を楽しみにしています。

母親は元気に登校する姿を見て、心が軽くなったといいます。
「育て方が悪いからこうなってるんじゃないかっていうふうになっていたのが、皆さんの言葉ですごく救われたっていうのが、そういうところは不安が払拭(ふっしょく)されたっていうのがあります」。
池田医師は、子どもに関わる一人一人が家族に寄り添う気持ちを持つことが大切だと考えています。
「家庭とか患者さんとじっくりつきあっていくということはですね、時間もかかるし、労力もいると。ですけど、とりあえず1つのケースでも、1人のケースでも、そのケースと向き合ってその子の発達に寄り添っていくと、専門家との連携を取りながら地域の人たちの力も借りながら、少しずつやっていくということから始まるのではないかと感じています」。 

山梨県は、VTRで紹介した池田医師のような、発達障害の診療もできる地域の小児科医の育成を進めています。必要な場合は、専門の医療機関につないで発達障害の子どもと家族を支援するということです。

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