首都圏ネットワーク

4月11日放送
リニア中央新幹線開業まで10年 開発最前線に迫る

NHK甲府 岡崎 佐和子
NHK甲府
岡崎 佐和子
リニア中央新幹線の実用化に向けた走行試験について、国の評価委員会はことし2月、「営業線に必要な技術開発は完了した」という評価結果をまとめました。
開業を10年後に控え、今、どんな研究が行われているのか、最前線に迫ります。
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リニア新幹線の実用化に向けた走行試験は、現在、山梨県都留市の全長42.8キロの実験線で、1日に20往復以上行われています。
乗客を乗せた試乗会も行われ、多くの人が訪れています。
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子どもたちは「すごいスピードが出る」「電車がリニアモーターカーだったら、東京や北海道にすぐ行ける」と期待を膨らませます。
平成9年、走行試験は宮崎県から山梨県へと舞台を移しました。
急勾配やトンネルでの走行データを集めるために、より長い距離が必要となったのです。
専門家でつくる国の評価委員会は、ことし2月、「営業線に必要な技術開発は完了した」という評価結果をまとめました。
現在の実験の段階について、JR東海山梨実験センターの波多野穣所長は「快適性や効率的な運転ができるような工夫をして、いろいろな試験を繰り返し行っている状態です」と説明します。
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その一つが、「耳がツンときた」「飛行機に乗っているときのような、耳がツーンとくる感じはありました」と試験乗車した人が話す感覚への対策です。
トンネルなどを走行する際、気圧の変化で起きる「耳がツン」となる現象です。
JRは“耳ツン対策”と呼んでいます。
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400メートルの高低差をつけた急勾配を走り、気圧の変化を細かく収集してデータ化します。
気圧が上がったときは車内の空気を外に逃がし(排気)、逆に下がったときは空気を送り込む(給気)。
実験センターでは、給気と排気を制御して、最適な環境になるよう調整しています。
波多野所長は「車内の気圧の変化がゆっくりとなるように制御をしようと、いろいろ取り組んでいる。自然現象ですので、制御が追いつくところを工夫していて、だいぶ改善されてきていますが、あともう少しのところまできた」と説明します。
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もう一つの対策の鍵は、リニアの車体に付いている「超電導磁石」です。
この部分を改良し、省エネとコスト削減につなげようというのです。
「超電導磁石」と地上側のコイルとの間の、磁力が反発する力と引き合う力とを利用して走るリニア中央新幹線。
この「超電導磁石」を極限まで冷却し、強力な磁力を生み出すことで、超高速走行を実現しています。
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この冷却作業には、これまで高価な液体ヘリウムが使われてきましたが、温度を上げても同じパワーを生み出す技術開発に成功しました。
液体ヘリウムも必要なくなり、省エネとコスト削減につながると期待されているのです。
波多野所長は「超電導状態を高温にできるということは、冷やすための仕組みを非常に簡素にすることができる。ランニングコストを含めて、構成が非常にシンプルになるメリットもある。当然、メンテナンスも楽になるし、故障率も減ってくると想定できます」と話しています。
在来の鉄道から新幹線。
そして、新幹線からリニアへと変貌していく日本の高速鉄道。
未来に向けて、安全性の追究が続きます。
波多野所長は「とにかく安全なシステム、安全な乗り物。3世代目の乗り物も、在来の鉄道、新幹線と同じように、安全でいい乗り物だというところをしっかり受け継いで、実験線で営業線に向けて検証をしていきたい」と話しています。

JR東海は、今後も快適性や省エネ、コスト削減を追究する研究を続け、2022年度末までに、営業車両に搭載する超電導磁石の仕様などを決定したいとしています。

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