首都圏ネットワーク

11月11日放送
「暮らしなっとく」〜子どもの歯並び〜

生活情報部 森田拓志 写真
生活情報部
森田拓志

「暮らしなっとく」。11日は子どもの歯並びについてです。
東京・品川区で行われた歯科検診で母親たちの気になることと言えば、子どもの歯並びのことでした。ある母親は「歯並びがよくない可能性があると指摘されたので、その辺が気になっている」といい、また別の母親は「お姉ちゃんが歯並び悪いので、息子にはできればよい歯並びでいてほしい」と話しています。
歯科検診に当たった歯科医師・長谷川浩之先生は「質問の比率は虫歯より歯並びの質問が多い」と述べ、親は子どもの歯並びに関心が高いようです。

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ことし5月に歯科器具メーカーが母親300人を対象に行った意識調査では62%、3人に2人が子どもの歯並びが「よくない」と答え、悩みの一つになっています。 歯並びが悪いのは、遺伝と考えられがちですが、実は小さいときの生活習慣も大きく関わっていることが分かってきました。

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横浜市に住む9歳になる男の子の母親は、息子が小学校に入学したころ、歯並びが悪く、うまく食べられないことに不安を感じていました。
当時のこの男の子の写真を見ると、上の前歯が出ているうえ、かみ合わせが悪く大きな隙間があります。おにぎりだとのりがかみ切れず、ぼろぼろになってしまったそうです。心配した母親が歯科医師に相談したところ意外なことを告げられました。
この男の子は小さいときから、舌を出す癖があって、その癖で、前歯が舌で押され、力を加え続けることで、歯が前に出てきたというのです。
母親の話しでは、舌が邪魔になって歯が降りて来れないとか歯が出て押し出してしまっているとかで、舌の癖があり続けるとよくないということです。

男の子が通っている矯正歯科の医院の歯科医師・大野粛英先生は、40年以上、歯の矯正を行ってきており、歯並びが悪くなっている人の半数以上は遺伝ではなく、生活習慣が原因だと指摘します。
大野先生に歯並びを悪くする原因をいくつか上げてもらいました。

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まず、この男の子のように、舌を出すくせが原因で前歯が前に出てくるケース、次に指しゃぶりが原因のケースです。
大野先生は、舌を出すくせについて、舌が押していると上の前歯が出てくるし、上下にも隙間が空くとしています。また、指しゃぶりの場合、上下の前歯に隙間が開いて、ものを飲み込むときに舌が前に出てくる、と説明しています。
大野先生は、あごの形がゆがみ、歯も少し斜めになっている写真を見ながら「上の歯列が狭くなるので奥歯が片方の横にずれてくる」といっています。

さらに、ほおづえをつく「くせ」が、歯並びに影響したケースもあります。
大野先生は、こうした「くせ」を早く直すことで、予防できるケースが多いと次のように述べています。「親は歯並びが悪いというのは遺伝だという風にとらえますから、後天的な原因で歯並びが悪くなることはなかなか気づかない。悪い癖なんかは早めに見つけて、早めに治療すれば矯正しないで済むこともある」、このように指摘しています。

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子どもの歯並びについて、親の意識を高めてもらおうと、自治体も取り組みを始めました。
山梨県南アルプス市では、この夏から、県内の矯正歯科医に協力してもらい、保育園などで講座を始めました。講座では、歯並びに悪い影響がある指しゃぶりや口呼吸、それに舌を出すくせを直すコツをアドバイスしています。
その1つが、舌を鳴らす訓練で、舌が出ないよう上あごにくっついた状態を身につけてもらうのがねらいです。また、口元の筋肉を鍛えて口を閉じる癖をつける訓練もやります。口が開いたままだと歯が前に出るなど歯並びに影響するため、それを防ぐのです。それに、こうした訓練を取り入れたダンスも紹介されました。
講座に参加した母親たちは「小さいときの予防で将来大きく関わってくると言うことが分かった」、「遊びながらトレーニングする方法も教えてもらったので帰ったら上の子も含めてできたらいいかなと思う」と話していました。

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さらに最近の研究では、食べるときの「かみ方」も歯並びに関係していることが分かってきました。あごが小さいと歯がうまく並ばず、でこぼこになりがちです。
日本大学松戸歯学部で子どもの歯並びについて研究している葛西一貴教授は、あごの成長は、「かむ回数」だけでなく、「かみ方」で変わると指摘しています。
固いものを食べる機会が少ない子どもは、かみ方が単純な上下運動になります。一方、固いものを食べるときなど、奥歯をすりつぶすように、横に動かしてかむ方法です。横に動く力が加わることであごの成長が促されます。かみ方の違いが歯並びにどう影響したか調べました。
葛西教授は「永久歯が同じようにがたがたしていますが、すりつぶしのかみ方ができる子どもと縦方向のかみ方しかできない子どもを比べると6年生になったときに前歯のガタガタが改善されるのと増悪するのに分かれる」と述べ、あごが成長することで歯並びがよくなっている点を上げ、さらに「おかずだと野菜サラダで構わないが根菜類、子どもだとスティックサラダのような固いものを食べるときにすりつぶしの運動を意識するのが第一」と締めました。

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取材にあたった生活情報部の森田拓志記者によりますと、舌を出す癖などのほかに乳歯の虫歯にも注意が必要だということです。早い時期に虫歯になり歯を抜いてしまうと、歯並びが悪くなる原因となるからです。
歯並びの改善はほかにも方法があります。
最初に紹介した男の子は、舌の癖を直すため、歯科医師の指導を受けてボタンを口に入れて糸で引っ張り口元の筋肉を鍛える訓練などを2年かけて進めていて、歯並びはかなり改善されたといいます。
「正しいかみ方」については、子ども向けのトレーニング用のガムを歯科医などで購入できます。これは、毎日10分ほどガムをかむことであごの成長を促します。
食事のときに注意するべき点もあります。椅子に座った際に、足が宙ぶらりんにならないように踏み代などを置いて、足の裏がぴったりと着いた状態で座ることが大切です。正しい姿勢で座ることであごにきちんと力が伝わり、成長につながるのです。
こうしたトレーニングは、永久歯が生えそろうまで、できれば小学校の低学年までに習慣づけることがポイントだということです。
森田記者は、「遺伝的な要因で、直すには矯正治療を受ける以外に方法がないケースもありますが、親子にとって負担を感じすぎない範囲で、家庭の中で予防に取り組んでいくことも大事だと感じた」と話しています。

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