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愛犬に歩く喜びを ~動物の義足作り~

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まちの未来
ともに生きる
ひるまえほっと
東京
2018年5月24日

犬専用の義肢装具の利用が増えています。義肢とは病気や事故で失った足の代わりとなる義足のこと。装具とは低下した身体機能を補うサポーターやコルセットなどの医療用具のことです。10年前こうした義肢装具を扱う動物病院はわずかでしたが、今では1000以上の病院で取り入れています。
背景には、犬が番犬から家族として大切にされるようになったことや高齢化ありますが、職人たちの情熱もあります。既製品だけでなく症状や犬の種類によって必要な義肢装具は違うので、ほとんどがオーダーメイドで作られています。犬の義足作りに取り組む職人の姿を追いました。
《坂本沙織リポーター》

■前足がなくても義足で外へ

東京都練馬区に住む西嶋千束さんです。家の中で迎えてくれたのは愛犬のココ6歳。その前足は両方かけています。

「左手は指だけがなくて手のひらが残っている状態で、右側は手首から下がない状態で気になってなめちゃうんですよね」

両前足を大けがしさまよっていたところを保護されたココ。足先の骨が尖って痛むため外を歩けませんでした。

そんなココの生活を大きく変えたのが義足です。義足のおかげで、硬いアスファルトの上も好きなだけ歩けるようになりました。

「普通のワンちゃんの当たり前のことができなかったので、毎日がうれしくて。本当に外を歩いているんだって毎日実感しています」

■オーダーメイドの義肢装具作り

ココの義足を作ったのは島田旭緒さんです。作る義肢装具のほとんどがオーダーメイド。一匹一匹に合わせて色やデザインを変えています。

もともと障害者のための義肢装具を作りたいと考えていた島田さん。資格を取得し義肢装具士として働き始めました。動物の装具を作り始めたきっかけは、知人の犬が腰の骨を折る大怪我をしたことでした。動物病院に行くという知人に付き添い目の当たりにしたのは獣医師が手作りしたコルセットです。座布団を巻いたような簡単な作りで驚いたといいます。

「もうちょっと装具士が使うような材質とか使えば通気性がいいというのもあって、これはやる価値があると思った」

その後島田さんは26歳で独立。当時ほとんどなかった動物の義肢装具を作る会社を立ち上げました。それから10年以上にわたり、一つ一つの依頼に丁寧に応えてきた島田さん。犬の飼い主から感謝の手紙が届くようになりました。

「元々ないものを作っているので、喜んでもらえているというのは必要なものだったというのがわかるところだと思う。だから今までやってきてよかったという気持ちになる」

現在、島田さんは1000件を超える動物病院から依頼を受けていて、日々足を運んでいます。

動物病院 院長・安部勝典さん
「僕らは包帯を巻いていたんですね。ぐるぐる巻きにして膝の曲がりを制限させて歩かせていたんですが、装具があるので包帯の圧迫もないですし、筋肉もあまり落ちないというので、すごく助かっている」

■もう一度 歩く喜びを

今、島田さんのもとに多く寄せられているのが年老いた犬を最後まで歩かせたいという要望です。

埼玉県に住む田中房代さんです。こちらは愛犬のモネ。人間なら70歳くらいと高齢です。病気で足が壊死してしまい、ほとんど歩きません。
「子ども以上かもしれない」
田中さんはモネが再び歩けるようになることを願っています。

モネの義足を作ることになった島田さん。大きな課題がありました。普通、義足には胴体にかけるための大きなベルトが必要です。しかし、田中さんは弱っているモネの体に負担をかけたくないと、ベルトがない小さなものを希望したのです。ベルトなしではすぐに脱げてしまうほど小さな足にどう義足を装着するか。

考えたのは膝の小さな関節にベルトをかける方法です。

もう一度モネを歩かせたい。島田さん、まずはモネの足型をとります。石こうを染み込ませた包帯が固まり、足型がとれました。そして足型に石こうを流し込み、今度は足の模型を作ります。模型は義足作りの核です。

緻密に採寸した数値と合わせて削ります。犬の皮膚はとても薄いため、ほんの少し合わないだけでも、こすれて血が出てしまうといいます。

「5ミリのずれはやばいですね。本当に1ミリでずいぶん違ってきます」

足先に入れるのは柔らかなジェル。痛くないようにする工夫です。

「(生地を縫うのも)ミシンが入らないくらい小さいのですごく難しい」

いよいよ課題の膝にかけるベルトです。こだわったのはその素材です。毛にあたる裏側がゴムでできたものを選びました。滑りにくいと考えたからです。出来上がったのは長さたった11センチの義足です。

「職人なので自分が完璧ですって言ったらそれ以上進まないと思うんです。だからあまり自分の装具はそんな褒めないです」

■生活の質の向上を願って

依頼から3週間後。初めて義足をつける日がやってきました。膝からベルトが外れずうまく歩けるか。

モネはゆっくりとでもしっかりと歩き出しました。
田中房代さん「うれしいみたい。こんなに歩くの」

田中則行さん
「ワンちゃんのために専門性を磨いてくれて実際に作ってくれる人がいるというのは、われわれにとっても希望だし、ほかの人にとっても希望になるのではないのでしょうか」

島田さん
「最終的に動物が歩きやすくなったとか立ち上がりやすくなったっていうので、生活の質がよくならないいといけない。それによって飼い主さんが喜んでいるのを目指してやっているんですね。今でも動物の装具についてわかっていないことっていっぱいあるので、もっと新しいことがないかって探している今も楽しいです」

歩かなくなると筋肉が落ちて体も弱ってしまうので、足だけの問題ではありません。今回ご紹介した義足は10万円ほどです。動物病院からの紹介のみで購入することができます。

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