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海外に発信!障害者が楽しむ“日本の旅”

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まちの未来
ともに生きる
ひるまえほっと
東京
2018年5月22日

左から武内陶子アナウンサー、野口沙織リポーター

東京オリンピックパラリンピックまであと2年。日本を訪れる外国人もどんどん増えていて、昨年度はおよそ2900万人と過去最高でした。それに伴い増えると見込まれているのが、海外から来る障害のある旅行者です。ただ、海外から来たら、安全に日本での観光ができるかどうか不安に思う方もいるかもしれません。そうした不安を取り除こうと活動しているのが、自身も車いすに乗っている、カナダ出身のグリズデイル・バリー・ジョシュアさんです。障害があっても誰でも日本の観光を楽しんでほしいと取り組む姿を取材しました。

■意外にバリアフリーな観光スポット

東京・江戸川区に住むグリズデイル・バリー・ジョシュアさん37歳です。海外から来る障害者に向け、英語で情報を発信しています。自ら訪れ調査した観光地は、これまで50か所以上。ホテルやトイレの情報。それに、困ったとき役立つ日本語の言い回しにも載せています。ホームページを開いて3年。海外から直接状況を問い合わせる連絡も、いま毎日のように受けています。そんな日本。実は障害者でも観光しやすい場所が多いといいます。

野口「浅草は外国の方も大勢いますね」
グリズデイルさん「東京の代表的な観光スポット。意外に浅草はバリアフリーですよ。雷門からでも段差がなくて参拝までできます」
野口「門のところはだいたい段差がありますよね」
グリズデイルさん「普通は段差があって上がったり下がったりするけど、ここはフラットで車いすでも簡単に行けます」

寺や神社に多い砂利道だと大変ですが、こうした石畳だと問題ありません。

グリズデイルさん「一番すばらしいと思うのは、雰囲気を壊さないでエレベーターをつくったこと」
野口「これがエレベーター?エレベーターに見えないから風情がある。一体感があっていいですね」
グリズデイルさん「みんなが喜びます」

エレベーターを上がった先には、スロープが。そのまま本堂に行くことができました。

野口「階段で上がってきた人と同じ景色がみられる」
グリズデイルさん「みんなと同じ経験ができるのがすばらしい」

無事お参りできました。

障害者に気を配ってくれるお店もあります。和食が食べたい外国人に勧めているのがこちら。

希望すればスプーンとフォークを用意してくれます。でも、こうした耳寄りな情報、海外にはほとんど知られていないのが実情だといいます。

グリズデイルさん「日本はバリアフリーが進んでいるが、施設などのホームページでは基本的に日本語しか書いていない。旅行の前にいろいろ調べても情報がないから、日本へは行けないと諦めてしまう人もいる。情報を提供したらたくさんの障害者が日本に来てすばらしい体験ができる」

■“おもてなし”に感動 日本国籍を取得

グリズデイルさんは日本に住んで11年。おととし日本の国籍を取り、いま福祉施設で働いています。得意なパソコンを使って、施設のホームページの管理を引き受けています。

生まれはカナダのトロント。生後半年で脳性まひで両手両足が思うように動かせなくなりました。日本に興味を持ったのは、高校生のころ。日本語の授業を受けたのがきっかけでした。19歳で初めて日本へ。そこで思いがけない体験をしました。

グリズデイルさん「エレベーターがまだできていない駅で、エレベーターがないからどうしようと困っていたら、駅員さんが6人で私を車いすごと下まで運んでくれて。おもてなしに感動した」

■現地調査を重ね情報発信

大好きになった日本を、たくさんの人に楽しんでほしい。情報をさらに発信するため、現地調査を重ねています。この日は、浅草と東京スカイツリーを結ぶ鉄道の状況を友人と調べます。

まずは案内板の写真を撮ります。外国語の表記もあるので、ホームページに写真を載せると安心材料になります。

グリズデイルさん「スカイツリーまで行きたいです」

続いて電車に乗ってみます。すると、駅員がホームまで付き添ってくれました。

おなじみの渡し板。カナダでは見たことがなかったそうです。あらかじめ伝えなくてもここまで対応してくれる国は、他にほとんどみないといいます。目的の駅では、駅員が待っていてくれていました。そして驚いたことに、降りてすぐに、エレベーターがありました。乗ったときの駅員が、ここまで考えてくれていたようです。

グリズデイルさん「ありがとうございます」
駅員「声をかけていただければ、電車に乗るところまでご案内させていただきます」
グリズデイルさん「おもてなしですね。海外にはそういうサービスはほぼないですから」

最後に駅のトイレも確認します。障害者にとって、特に気になるポイントの一つです。

グリズデイルさん「結構広いですね」

こうした多機能型のトイレは、海外ではなじみがなく、とまどう人もいます。入念にチェックします。

グリズデイルさん「この洗面台もちょうどいい高さ。膝が入ります」
友人「海外の人が来ても大丈夫?」
グリズデイルさん「ちょうどよい感じですね」

でも、残念な点も見つかりました。ドアのボタンです。

グリズデイルさん「漢字しか書いていないから何のためのボタンかわからない人もいる。英語での説明が必要かな」

行き届いているようで、足りないところもたくさん。実際ホームページには、日本を訪れた人からの切実な声が届いています。例えばホテル。障害者用の部屋があるはずなのに、言葉の行き違いから、予約ができなかったケースがありました。

グリズデイルさん「日本ではバリアフリーとかユニバーサルと言うが、海外では“アクセシブル”という言葉が一般的。電話で『アクセシブルな部屋はありますか?』と聞いても『ない』と言われる。検索するとき、“アクセシブル“で探しても、部屋はあるが、バリアフリーという言葉は使わないので、インターネットで検索しても出てこない」

こんなことが起きないように、グリズデイルさんのホームページでは、海外と日本の用語の違いも載せることにしました。さらには、自分の国では補助犬として認められていたのに、制度の違いから日本では認められず、店で断られてしまった人もいました。こうしたマイナス面もプラス面も、ありのまま伝えることで、外国人にとって、もっともっと訪れやすい国になると考えています。

グリズデイルさん「情報を提供することが一番大事。人によってできること、やりたいことが違うのでこれがバリアフリー、バリアフリーではないと言うより、“こういう状況です”と伝え、自分のニーズを考えて、行けるかどうか判断してもらいたい」

■日本の旅を身近に 広がる支援

そんなグリズデイルさんの取り組みがいま、広がろうとしています。

障害者の旅行を支援しているNPOが、海外から来る人の支援を一緒にできないかと持ちかけてきたんです。

久保田さん「日本に観光にいらっしゃったとき、どういうところが不便だったり困ったりするのか、グリズデイルさんに教えていただきたい」

観光に訪れた外国人は、どんな支援を必要とするのか。グリズデイルさんは、実際に自分が見て回る様子を、確かめてもらいました。

久保田さん「ここも案内は日本語ばかり」

外国語の表記が少ないことを気にしながらも、サポートなしでどんどん歩いて回るグリズデイルさん。その姿に、NPOの二人は驚いた様子でした。障害者の支援に対する考え方に、海外と日本では、どうやら大きな違いがあるようです。

久保田さん「日本で私たちがしている介助は、朝から晩までべったりな全介助が多い。サポートに関する考え方は、カナダではいかがですか?」

グリズデイルさん「カナダやアメリカでは自立が一番大事にされている。自分ができることはしたい。できないことだけサポートしてほしい。例えば、朝、髪の毛をくしでとかしてほしい。空港からホテルまで行くのが結構大変。荷物が多くて車いすで。空港からホテルまでの手伝ってもらえると喜ぶと思う」

久保田さん「直接私たちが受け入れるのは難しい。グリズデイルさんが受けたものを“こういうご要望です”と投げてくだされば、文化の違いも含めてうまくいくかな」

何が必要か、あらかじめグリズデイルさんが聞き出してくれれば、その分の支援はNPOでもできそうだという前向きな意見交換ができました。情報発信だけでなく、実際の支援まで。日本の旅が、また少し身近なものになりそうです。

(武内アナウンサー)
必要なところだけサポートする。日本道も狭いし、まだまだ不便なところもたくさんあるでしょうけれども、意外と外国に比べても観光しやすいところだったりするんですね。

(野口リポーター)
特に東京はそうなんですよ。最後におじゃました葛西臨海公園でも、工事が始まっていて、車いすでも利用しやすいように改良しているんです。公園の中にある観覧者では、ゴンドラ2基が車いす専用になっていて、乗るときはいったん止めて乗せてくれます。他のお客さんに対しては「ちょっと止まります。空中散歩をお楽しみください」とアナウンスしていました。ただ、そうした情報を発信するというところがまだ足りていないということなので、グリズデイルさんのようなボランティアのような活動が重要になってくるということでした。

(武内アナウンサー)
2020年に向けてたくさん発信したいし、駅員さんだけにまかせていないで、私たちも「May I help you?」ができるようになるといいですね。必要なサポートできるようになるといいと思います。

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