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おんなの選択 心に“壁”はない!パワフル人生 伊藤明子さん

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仕事と子育て
おんなの選択
ひるまえほっと
東京
2018年4月2日

左から武内陶子アナウンサー、小村弥生リポーター

さまざまな人生の選択をしてきた女性に焦点をあてる「おんなの選択」。今回は医師で同時通訳者でもある伊藤明子(みつこ)さんです。2人のお子さんを持つお母さんでもあるんです。自分がやりたいと思ったことには全力投球。年齢や立場を理由に諦めることなく常に挑戦を続けてきた人生に迫ります。

■医師の仕事も同時通訳も両方大好き

伊藤明子さん、56歳。院長を務めるこのクリニックで、小児科や内科の診療にあたっています。医師になったのは9年前。 それまでは同時通訳者として忙しい日々を送っていました。今も月に2回は通訳の仕事をしています。 通訳の準備や大学医学部での研究もあり、スケジュールはいつもびっしりです。

小村「通訳をしつつ医師をされていて、大変さはありますか?」
伊藤さん「自分ではそれが大変だとは思っていなくて。どっちも好きでやっているので。準備とかね、時間取られるので、そういうのがありますけど両方好きでやっています」

■同時通訳者として第一線で活躍

9歳から14歳まで父親の仕事の関係でイギリスに住んでいた伊藤さん。 得意な英語をいかそうと、外国語大学2年生の時、通訳のアルバイトを始めます。20歳で、通訳の中でも花形といわれる「同時通訳」を早くも任されます。アカデミー賞主演女優賞を受賞したライザ・ミネリの通訳も担当しました。

「いろんな有名人とか普通会えないいろんな方々に会う事がやっぱりできたのでそれはありがたいですし。ミーハーなのでね」

さらに長野オリンピックの開会式の模様を世界に伝えたり、野口聡一さんの宇宙からのメッセージを発信。オバマ大統領の歴史的な演説も伝えました。中でも心に残っているのが、大物ミュージシャン、スティーヴィー・ワンダーとのやりとりです。

「スティーヴィーの事務所に電話をしてそれで相手が出たらすぐ私に代わって。マネージャーさんか誰かが出ると思いますよね。いきなりスティーヴィーが出たんです。スティーヴィーですけど。とかね。スティーヴィー出た!スティーヴィー出た!とか盛り上がっていましたけどね。その中で交渉をして。で、スティーヴィーさんが、「OK, I'll call back you in a second(1秒でかけ直すね)」って言ったんで、「OK.Thank you we will be waiting(ありがとうございます。お待ちしております)」って切って、「1秒後にかけ直すって言ってますけど」って言って待っていたんですよ」

ところが一向にかかって来ず、不安にかられていた4時間後。

「スティーヴィーから電話があって、「This is Stevie ,is Mitsu there?(スティーヴィーですミッツィーはいますか?)」ってかかってきてすごく気さくで、すごい親切で。うれしかったですね」

■40歳で医学部に入学 それでも続けた通訳の仕事

結婚もして、育児と仕事の両立にはげんでいた頃。大きな転機が訪れます。通訳の仕事を通して、心ひかれる、あるものに出会ったのです。医療の世界でした。学会にスタッフとしてたびたび参加する中で、体や心を癒やすその崇高さに、改めて気づくようになったのです。準備のため資料を読むうちに知識もどんどん深まり、本格的に学びたいという思いが抑えられなくなりました。

40歳の時、ついに大学の医学部に入学。しかし待っていたのは、想像以上の大変さでした。

「やっぱり年齢がね。ほかの子たちは皆若い中で、やっぱり年齢がいってるので、同じだけの勉強時間だと同じように点数取れないですよね。そこはちょっとしんどかったっていうのありますけどね」

苦手な科目は何度も参考書を引き直し、ノートにはびっしりメモを取り、授業の内容を一言も逃すまいと必死でした。さらに、安くない学費をまかなうため、勉強と子育てに加え、これまで通り通訳の仕事も続けていたんです。

「出かける前にお鍋に何か豚汁作ったりとかシチュー作ったりとかして、出ていって。朝のニュース番組の同時通訳に入って、でそのあと、タクシー飛ばして学校に大学に行って授業を受けて、それで授業のあとには今度は都内の別のところで製薬会社の会議に入ったり。本当にきつかったときは3時間睡眠でした」

そんな生活の締めくくりは、医師の国家試験でした。

「医師国家試験の合格発表はネットに出るんですね。ネットで見たときはうれしかったです。はい。で、やったよって言って息子に見せました」

■医師と通訳の二足のわらじで

卒業後、大学病院で研修医として働き始めます。多くの患者と接することで、ますますその面白さ、やりがいを感じていきました。そうして医師の仕事に専念するかと思いきや・・・。

伊藤さん、なんと、こちらも大好きな通訳の仕事をそのまま続け、二足のわらじを履くようになったんです。

「多分、マインドバリア(心の中の壁)が、私はあまりない。マインドバリアが高いと、どうせいけないだろうなとか遠すぎるとかお金かかり過ぎるとかなんか自分でマインドバリア立ててしまってるんじゃないかな。何かあそこに行きたいって思ったらもう、そこに行くにはどうすればいいかって調べて、とんとんとんて、やっていく」

■心に壁をつくらず何にでも挑戦

そして今。さらに新たな世界に乗り出しています。栄養学に基づいた健康的な食事を広めたいと、去年、NPOを設立。ワークショップで、みずから料理の講師を務めています。

この活動を手伝っているのが、息子の善さんです。大学に通いながら、一緒にレシピを考えるなどしてくれます。家での伊藤さん、いったいどんなお母さんなのか、聞いてみると。

「天然なかわいいおばさんですよ。スーパーウーマンではないですよ、全然。仕事のことやってるときとか論文書いてるとか物書きやっているときは集中してやってますけど。それ以外は、そんな全然普通の。好きな芸人さんのテレビ見て、普通のおばさんて感じだと思いますけどね」

失敗を恐れず何にでも挑戦する母の姿を、小さな頃から善さんは見続けてきました。

「僕24で大学入ったんですよ。今2年生なんですけど。大学やっぱ行こうって思ったのも母の後押しがあったし。なかなか今、日本のこの社会で18歳で普通入るっていうのが強い中で24で行くっていうのは、ためらった部分もあったんですけど。たぶん無意識に、どっかその40歳で医学部に行った人を近くで見ていて、たぶん無意識に背中を押されてそこで頑張れたのかなっていうのは思いますね。近くにそういう存在がいたんで。40で医学部。あっ泣いてる泣いてる!」

医師と通訳、そして子育てや家事。何もあきらめることなくこなしてきたからこそ、わかったことがあります。

「やることが増えたからといって、相乗効果で全部いろいろ、よりできるようになって。何かをやったから何かを犠牲にしなきゃいけないとかっていうんじゃないかなって思うんです。通訳の仕事をやっていること、英語がプロとしてできるっていうことは、医療の活動でもそのまま役に立っていますし。医学の活動、医療の活動は、例えば医学系の学会の通訳で役に立っていますし。それが例えば家庭の生活でも役に立っていますし。どれか1個が犠牲になってとかっていうふうに思ってないです」

心に壁を作らず、何にでも挑戦する。それが伊藤さんの人生のエネルギーとなっています。

(武内アナウンサー)
医者と同時通訳者、その両方をやるすごいパワー。マインドバリア、心の壁がないと何にでもなれるんですね。それにしても息子さんの善さん、すごく個性的な息子さんで、24歳までは何してらっしゃったんですか?

(小村リポーター)
実は、10代の頃は「勉強をしたくない」と高校を中退し、工事現場で働いていたんだそうです。でも母親に背中を押され、一念発起。高卒認定試験を受け、大学受験の末、今に至っているんです。その時も仕事から帰ってくるとお母さんが付きっきりで勉強を見るなどして、とことん付き合ってくれたそうなんです。

(武内アナウンサー)
仕事だけじゃなくて子育ても全力投球で。そんなことがあっての、あの涙だったのかもしれませんね。しかし心のバリアをなくすといっても、どうしてあんなに前向きになれるのかなと思うんですが。何が秘訣でしょう?

(小村リポーター)
私も不思議で何度も聞いてみたんですが、伊藤さん自身は特に大変だったとか苦労したとかは、あまり感じていないと。私が取材して感じたのは、困難な場面でも少しの可能性を見つけたら、そこから一歩一歩進んでいけるんだなということです。NPOで使っているエプロンを自宅で乾燥機にかけるそうなんですが、15着まとめてかけたら、肩紐が絡まってぐちゃぐちゃになったことがあったそうです。普通は「ほどくのが大変!」って思うと思うんですが、伊藤さんは、その中にひとつだけ、絡まっていないエプロンを見付けて、「見てこれ!絡まってない」と、満面の笑みで善さんに見せたそうなんです。

(武内アナウンサー)
絡まってしまった14着ではなくて、その1着の方を見ていたんですね。小さいところでいいことを探していくって素敵ですね、

(小村リポーター)
そういうことを積み重ねていくと、可能性を見付けて突き進んでいけるのかなと思いました。

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