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築地市場 ~受け継がれる目利きの技~

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まちの未来
つくる売る食べる
ひるまえほっと
東京
2018年1月4日

左から武内陶子アナウンサー、清水明花リポーター

2018年10月11日、築地市場での84年の歴史に幕が下ります。築地の代名詞といえば“目利き”。築地の目利きは奥が深く客ごとに違う、用途・予算・好みにあわせて“いいもの”を選ぶ、さらに一つ極められた目利きです。80年あまり築地市場で育てられてきた技を取材してきました。

■料理人の好みを見極めるベテランの仲卸

水産品の取扱量世界一を誇る築地水産市場。500を超える仲卸が軒を連ね、1万人ほどの魚のスペシャリストが働いています。

旬の鮮魚を扱う仲卸の5代目の門井直也さん。この道30年のベテランです。和食やイタリアンなど100人以上の料理人に頼られる存在です。

「いい魚を安くだけじゃなくてお客さんも楽しく仕込みができて、仕込みをしながら、これうまく料理できそうかなという想像が膨らむような感じをめざしています」

門井さんが特に力を入れているのが、コハダ。江戸前寿司を代表する光り物です。実はコハダ、寿司職人によって、好みが細かく分かれる魚です。

客「大きすぎるのは好みじゃない。食べてコハダ特有の味を感じすぎないやつくらいのがいい」
客「いまの時期なら脂がのっているコハダを使いたい。ちょっと大きめのやつを」
門井さん「魚を見るだけじゃなく、お客さんの好みを覚えるのも仕事だから」

客によって違う好みとは…例えば、同じ産地、同じ水揚げ日のコハダでも、尾が反り返るほど身が張っているものや、身が柔らかく落ち着いているもの。さらに、脂のりの違いなど、魚の状態はさまざまです。門井さんは、えりすぐりのコハダでも、客の好みより身がかたいと、あることをします。

門井さん「鮮度がよすぎるので寝かせます。今の状態だとぎゅっと締まっている。時間が経つと細胞が緩くなって脂もにじみ出てうまみが広がる」

コハダを寝かせた翌日、常連客がやってきました。

客「おはようございます。どうですか、今日コハダ」
門井さん「コハダ、いいですよ、長崎の」

やってきたのは、南青山で寿司店を開いている髙橋進吾さんです。築地に通って20年以上になります。

髙橋さん「やはりなるべく寝かしたもの、僕たちが仕込みしやすくていい魚も大事だが、仕込みがしやすい状態にして出してもらえる。塩とか酢が上手に入るような魚の状態にして出してもらえる、その信頼感は大きい」

髙橋さんが、1日寝かせた大ぶりのコハダをさばきます。
「相変わらずいいですね。身もすごく柔らかいです。すこししっとりしている」

軽く酢で締めて、生に近い状態で握ります。

「築地の仲買(仲卸)さんから魚が来て、きょうこういう魚がうちに来る。よしやってやろうという気持ちになる」

魚を見極め、料理人の好みを見極める。これぞ目利きの極意です。

門井さん「お客さんの好みを覚えてお客さんの希望に添えるようにやるのが仲卸の仕事。毎日毎日が勝負」

■伯父の技を受け継ぎたい 新たに開店した仲卸

豊洲への移転を控え大きな転機を迎えた築地市場では、店主の高齢化で仲卸の閉店が相次いでいます。そんななか、2017年に新しく開業した仲卸がいます。店主の細野敦嗣さん。伯父の店で20年ほどイカやサバの担当として働いてきました。

伯父の宏さんは、高齢を理由に引退しましたがブリ・カツオの目利きとして築地で知られた存在でした。宏さんを知る客たちは「ブリとか、メジマグロの目利きがすごかった」「カツオの目利きは築地でナンバーワンだった。ということは世界でナンバーワンの人だから、その人から買っているということは、やはりうれしかったですね」と話します。

細野さんは「せっかく今まで買ってきた人にちょっと申し訳ないかなと思う」と伯父の代名詞だったブリ・カツオに挑戦することにしました。しかし、これまで扱っていなかった魚。さばき方から勝手が違います。

細野さんの手助けを買って出たのは、渋谷盛一さん。伯父・宏さんの客で、鮮魚店の店主です。細野さんが独立した日から、毎日、さばき方の指導に来てくれています。

渋谷さん「刃先だけ入れるの、あんまり入れないで。そう、かたいところも、がっといっていい。もう2か月くらい教えている。もうそろそろ卒業じゃない?」
細野さん「まだよろしくお願いします」
渋谷さん「あははは」

■目利きの技は1日にして成らず

いちばん難しいのは、仕入れする時の目利きです。カツオは、外見だけで身の質や色まで判断しなければならないのです。

細野さんが選んだもの。一見するとツヤがあり鮮度が良さそうです。

しかし開いてみると、身の色がくすみ、血合いが茶色くなっていました。〝やけ〟と言われる状態です。

細野さん「カツオは切ってからしか分からないのがまた難しいですね」

翌朝2時半。「緊張している。あまりセリ場に行きたくない」と言いながら、仕入れにやってきた細野さん。目を付けたのは、千葉・勝浦産のカツオです。1本1本、身の張り具合、脂のり、鮮度を確かめます。太り具合と、腹のかたさが気に入ったカツオを持ち帰り、さっそくさばきます。

渋谷さん「いいよ。この間より、きょうの方が断然上。身の色も出ているよ、十分だよ」

客からも「いいね、色っ気」「素材がすごく良い」と好評です。選んだカツオは、さばいたそばから飛ぶように売れていきます。この日の目利きは、成功です。

■目利きを極めて信頼される仲卸に

店が落ち着く11時。細野さんのもとに伯父の宏さんがやってきました。
「これならいいや、上等」
宏さんは、自分の客を託した細野さんが、信頼される仲卸になれるのか気にかけています。

宏さん「自分で見て覚えていかないとだめ。こういう商売は教えてもなかなか覚えられるものじゃないから。でもね、1人でやったから偉いなと思って。まだいくらも経ってないけれど、結構やるよ。たいしたものだよ」

細野さん「頑張ってやらないと、気合い入れて。気合いを入れてやらないと」
宏さん「あっちゃん、おまえが社長なんだから、頑張ってみんなを引っ張って行かないといけないんだよ、頼むよ」
細野さん「はい」 

(武内アナウンサー)
日本一の築地の市場を支えるこの目利き。客と仲卸と両方が高めあっておいしい魚を選んでいくのは、まさしくプロの技ですね。

(清水リポーター)
プロ同士が切磋琢磨しているからこそ日本の食文化が支えられていると思いました。仲卸のみなさんは守り続けてきた技をこれからも突き詰めて、豊洲にもっていってさらに磨いていきたいということです。

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