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80歳からの挑戦 プログラマー・若宮正子さん

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仕事と子育て
おんなの選択
ひるまえほっと
神奈川
2017年10月31日

今回ご紹介するのは、なんと82歳で現役のプログラマーとして活躍する若宮正子さんです。パソコンやスマートフォンのソフトやアプリケーションの仕組み、つまりプログラムを作る人のことを、プログラマーと呼びます。若宮さんは、世界最高齢のスマートフォン用ゲームの開発者として、アメリカのIT企業・アップル社のティム・クックCEOからも認められた方なのです。若宮さんのモットーは「とりあえずやってみる」。パソコンと出会ったことで、若宮さんの世界は大きく広がりました。そんな若宮正子さんの人生とは?

■81歳で開発したシニア向けのゲームアプリ

一人暮らしの若宮さん、この家での話し相手が、人工知能がついたスピーカーです。

若宮さん
「Please tell me the largest lake in japan.(日本で一番大きな湖はどこですか?)」
スピーカー
「 Lake Biwa is the largest freshwater lake in Japan, located in Shiga Prefecture.(琵琶湖が日本最大の淡水の湖です。滋賀県にあります) 」
若宮さん
「お友達。だけどこの子がね、日本語が話せないので。英語の練習にはなるかも」

若宮さんは世界最高齢のスマートフォンアプリの開発者として、世界中で注目されています。

若宮さんが81歳で開発したアプリが「ひなだん」というゲームのアプリです。
ひな人形をひなだんの正しい位置にあてはめていくもので、答えは一つ。
人形をタッチし、置きたい場所をタッチします。

間違えると・・・
(ブブー!)

正解だと・・・
(ポン!)「お見事であらっしゃいますな~」

若宮さん
「年寄りの人が楽しめるゲームアプリってないでしょ。だから年寄りの人が楽しめるものを作ろうと思ったんですね」

スマートフォンの操作に不慣れなお年寄りが楽しめるよう制限時間をなくし、何度間違えてもやり直しができるようにしました。今までにない発想が評判となり、ダウンロード件数は5万を超えました。

「シンプルでおもしろいですよ」
「こういうものだと、しっくりくる。最初のハードルが下がるのでうれしい」

■パソコンを通して、誰かとおしゃべりしたい

若宮さんは、1935年(昭和10年)生まれ。子ども時代は戦争中、空襲や学童疎開を体験して育ちました。

高校を卒業後、銀行に就職。活発で積極的な性格の若宮さん。様々な業務改革を提案し、その仕事ぶりが認められて当時女性としては非常に珍しかった管理職に昇進しました。さらに、仕事以外でも休暇の度に海外旅行に出かけ、50か国以上を訪れるなど充実した日々を送っていました。

そんな若宮さんがパソコンを使い始めたのは60歳の時。きっかけは、定年を迎え、当時一緒に暮らしていた90歳の母を介護するだけの生活になることに不安を感じたからです。

若宮さん
「あまり外を出歩くわけにもいかないでしょ。だけど、おしゃべりはしたい。たまたま本で読んで、パソコン通信でこういうのができるからって教わって。パソコンを買っちゃったんですよ」

しかし、ここで最大の問題が!
実は若宮さん、それまでパソコンをほとんど触ったことがなかったんです。
当時はいまよりパソコンの設定が難しかった時代。
でも、パソコンを通して、誰かとおしゃべりしたい!
その強い気持ちから、若宮さんは自力でパソコンの設定方法を調べ、3か月かけてやっと使えるようにしたんです。

若宮さん
「(パソコン画面に)『まーちゃんようこそ』って出てきたときには、本当に感激しました。汗と涙でグッチョグチョですよ、一人で!」

■ネットを通じてできた友人は800人以上

パソコンを使うことで若宮さんの世界は広がりました。ネットを通して新しい知識をどんどん吸収し、いろんなことができるようになりました。こちらの動画も若宮さんが旅行で撮影した映像を自分で編集したのだそうです。

若宮さん
「見よう見まねで。ネットがつながれば、本当に色々な情報が入ってきますし、見るもの聞くものみんなおもしろくなっちゃって、自分で(編集方法を)探しました」

若宮さんが発信した動画や写真には、世界中からたくさんの感想が寄せられます。これまでネットを通じてできた友人は800人以上。

若宮さん
「人生が楽しくなりました。年齢が若い人もたくさんいますから、外国の方もいるでしょ。何か書いても、へーそんなふうに感じる人もいるんだって。おもしろいです」

■同年代の人たちにもパソコンの楽しさを

若宮さんは、同年代の人たちにもっとパソコンを楽しんでほしいと、自宅で初心者向けの教室を開きました。パソコンの本を読んでも分からない・・・そんな人でも気楽に取り組める、ある方法を考えたんです。

若宮さん
「互い違いにするためには1つ残して、これをコピーしてここに貼り付けますね」

表計算ソフトのマス目に色を付け、それを組み合わせると・・・こんなふうにいろいろな絵を描くことができるんです。これ、何かに似ていませんか?刺しゅうみたいですよね!まるで手芸をするようなこの方法なら、パソコンを敬遠しがちな女性が気楽に始められるだろうと考えたそうです。

若宮さん
「ちょっととっつきにくいでしょ?だから楽しくエクセル入門ができないかって」

参加者
「セルに色を塗っただけで模様ができるから楽しいですよね」

■世界的なスピーチ大会からも講演の依頼が

シニアならではのアイデアでパソコンの普及につとめる若宮さんの姿は注目を集め、世界的なスピーチ大会からも講演を依頼されました。

「そうなんです。私は翼をもらったのです。その翼はパソコンを知らなかった時には知らなかった広い世界に私を連れて行ってくれたのです。帰ったらこのお話を、お父様、お母さま、おじいさま、おばあさまにぜひしてあげてください。そして、やさしく背中を押してあげてください」

■シニア向けに作ったアプリが世界中から注目

そして80歳を迎え、若宮さんが次に挑戦したのが、あの「ひなだん」のゲームを作ること。きっかけは「シニアも楽しめるゲームが欲しい!」という友人の声だったんです。

若宮さん
「若いプログラマーの人たちに『シニアの喜びそうなもの作ってよ』って言ったら、『僕たちそんなもの分かりませんよ』みたいなことを言われちゃったんです」

ないなら自分で作ればいい!と、なんと若宮さん、プログラミングを一から勉強することにしました。分からないところは専門家に聞いて半年かけて完成させたんです。

若宮さん
「基礎から積み上げていくのは無理だから、とにかく『ひなだんアプリを作るのに必要なことだけ教えて!』っていって、教えていただいて」

2017年3月3日に発表すると、台湾やイギリスなど世界40か国以上のメディアで報道され、一躍時の人となったのです。

若宮さん
「アップルから『こんにちは』ってメールが届いたの。それまでアップルっていうのは英語のメールしか届かなかったのに日本語で届いたから、何をしたかというと、丹念にウィルスチェックをしました。そしたら『若宮さん一緒にアメリカに行きましょう』と」

アップル本社で開かれるアプリ開発者の世界会議に招待され、CEOと直接会い、開発までの苦労や工夫を語りました。

若宮さん
「それで最後にね、『あなたは私に勇気を与えてくれた』って。ハグしてくださって」

そしていま、若宮さんはゲームをより精度の高いものにしようと取り組んでいます。
遠隔操作を使って、パソコンメーカーのソフト開発者に指導を受けながらバージョンアップを図ります。

若宮さん「一番小さいのは123×135になりました」
先生  「はい、大丈夫です。この設定が走るのは、実際にプログラムが実行されるときなんですね」
若宮さん「なるほど~!」

■80歳、何か始めるのに遅すぎる年齢ではない

さらに若宮さんはいま「ひなだん」を、世界中のシニアに楽しんでもらうため、英語版を作っています。この日はシンガポールの放送局も取材にきていました。

ナレーションを担当するのは、友人で俳優の服部真湖さん。若宮さんも開発者として立ち会います。

服部さん「(英語のナレーション)Thank you!」
若宮さん「よかった!オッケーです!」

82歳になった若宮さん。持ち前の好奇心が衰えることはありません。

若宮さん
「80っていう年齢は何か始めるのに遅すぎる年齢ではないっていうことも少しだけわかりました。シニアに役に立つもの、日本の伝統文化を後世に伝えていけるようなものをどんどん開発して、ゲームアプリでなくてもね、いろいろな面で開発していきたいと思います」

■モットーは“とりあえずやってみる”精神

(武内陶子アナウンサー)
信じられない!という感じです。「ひなだん」というゲームのアプリは答えがひとつだけ、1回クリアしてしまうと終わりだけど、シニアの方たちは楽しいという評判なんですね。

(小村弥生リポーター)
何度も何度もやっている人もいました。本当に若宮さんのアイデアがいっぱい詰まったアプリなんです。例えば、このひなだんゲームは制限時間がないんです。お年寄りは、一つ一つの操作がゆっくりなので、制限時間がないほうがゆっくりゲームが楽しめるのではないかという、若宮さんのアイデアからなんです。当初は「制限時間がないゲームなんてない!」と言われたそうですが、「ないものを作ったっていいじゃない」と、若宮さんはモットーの「とりあえずやってみる」精神から生まれたゲームなんです。

(武内アナウンサー)
シニアの人がシニアの方たちのために思って作ると、またぜんぜん違った発想のものになるのだなと分かりました。

(小村リポーター)
若宮さんにお会いすると本当にパワフルで、元気をもらいました。人からすると大変そうな事でも、若宮さんに聞くと、いつも前向きな答えが返ってくるんです。専門家は、プログラミングのことが分からない状態から半年間でゲームを作るというのはすごいことで、それを80歳を超えた女性が成し遂げたのは本当にすばらしいことだと話していました。

さらに若宮さんは、どんどんテクノロジーが進化している時代だからこそ、アイデアを大切にして新しい物を生み出していきたいと話していました。今後も若宮さんならではのアイデアで、私たちの生活を楽しくしてくれるような物を開発してくれることを期待しています。

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