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子どもの笑顔のために おもちゃドクター

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仕事と子育て
子育て
ひるまえほっと
東京
2017年8月23日

左から、武内陶子アナウンサー、清水明花リポーター

お子さんたちがたくさん遊んだおもちゃ、音が鳴らなくなったり動かなくなったり、不具合は起きていませんか? そんな時は、“おもちゃドクター”に相談しましょう。
“おもちゃドクター”とは、ボランティアで壊れたおもちゃを修理するしているグループの方たちのことです。平均年齢は60代の後半、仕事をリタイアした方々が大半で、前職を生かした高度な技術を持っています。
子どもたちの願いをかなえようと奮闘するおもちゃドクターに密着します。

■持ち込まれるおもちゃは多い時で1日30件にも

おもちゃ病院が開かれている都内の施設です。

中は、工作所や研究室のようになっていて、お客さんがおもちゃの修理の依頼に来ています。持ち込まれるおもちゃは、多い時には1日30件にのぼります。 

これは、折れた足を金属の糸で縫い合わせています。
どれも持ち主には大切なおもちゃです。

子ども 「うあー! うあー! 歩きすぎ!」

Q:どうして壊れたの?
兄 「この子(妹)とケンカして、ドシンって落とした」
妹 「こんなこと(ケンカ)しなかったらよかった」
兄妹「ありがとうございました!」

■ドクターには元設計者や技術者がズラリ

おもちゃの修理を担当するのが、おもちゃドクターのみなさん。

細かな部品も正確に取り付ける平野時雄さんは、元計測機器の設計者。

映写機の製造修理をしてきた奥野達郎さん。
おもちゃを手にするだけで仕組みが分かるそうです。

なかにはこんな強者も。
電機メーカーの元技術者・服部敏明さんです。
修理の際には、おもちゃの電気回路図を手書きして、原因を解明しています。

服部さん
「直って喜んでもらうのは当然なんですが、元エンジニアとしては、“なぜ悪くて”、“何が悪くてどうなっているからダメなのか”、理由がはっきり分からないと、エンジニア魂で“むじゃむじゃ”するんですよ。そういうことでなるべくこれ(電気回路図)を書きたい」

■手に入らない部品は自作して、“完治”をめざす

部品が入手できないおもちゃも、ドクターの経験から完治をめざします。

音が鳴らなくなったオルゴールです。
30年前は音が鳴ると時計の針も回っていました。

依頼者
「自分が使って楽しかったので、それを自分の子どもにも使ってもらえたらと思って」

担当するのは、三浦康夫さん。幾多のおもちゃを完治させてきた凄腕ドクターです。

しかし…

三浦さん「ちょっとこれはまずいなー」

その三浦さんが困惑する理由はこれ。
オルゴールを回す歯車がすり減っていました。この部品は本体に溶接されているため取り替えられません。

そこで、オルゴールそのものを取り替えることにしました。
しかし、ここでも問題が…

オルゴールを替えたことで、オルゴールの回転が時計の針に伝わらなくなってしまったんです。

三浦さん、2つをつなぐ部品を作り始めます。
果たして、時計の針は動くのでしょうか。

「♪♪♪~(オルゴールの音)」
三浦さん「あー、ちょっと苦労しました」

清水リポーター「直りましたね」
三浦さん「はい、なんとかなりました」

修理が終わったと聞き、依頼者も飛んできました。

三浦さん「曲が変わっていますけれど…」
依頼者 「大丈夫です、全然。あっ、ちゃんと回っている! すごーい、ちゃんと針が動いているよ。もしかしたら(部品が)はまらないのかなとかちょっと思った」

三浦さん「なんとかするのがおもちゃドクターなので。また何かありましたらどうぞ。我々楽しんでいますから」

■市販のおもちゃに手を加えてバリアフリー化

すべての子どもにおもちゃを楽しんでほしいと活動しているドクターもいます。

ドクター歴16年の角文喜さんです。

部屋の中には、所狭しと部品が詰め込まれています。

いま角さんが力を入れているのは、市販のおもちゃのバリアフリー化です。

例えば、レバーを引いて音を出すギターのおもちゃ。
身体の不自由な子どもたちには、この小さなレバーを引くのは難しいのです。

そこで角さんは、外側に大きなスイッチを付け、押すだけで遊べるようにしました。

角さん
「新しいおもちゃをいくら買ってあげても、スイッチを入れられない子どもにとっては、それは遊べるおもちゃじゃないんですよね。細工をしてあげると、その子たちも一緒に遊べる。広い意味で、おもちゃの治療と同じじゃないかと」

■自らの意思でボタンを押して遊び始めた息子

角さんが直したおもちゃを使っている宮澤さん一家です。
息子の拓志(ひろゆき)くんは脳に障害があり、身体を自由に動かすことができません。これまで、自力ではおもちゃを使えませんでした。

父・浩さん
「なかなか自分では遊べないので、我々が音を鳴らしてあげたり、(おもちゃを)だっこさせたりするんですけどね」

なんとか自分の力でおもちゃで遊ばせてあげたい。
そう考えていた時、角さんのスイッチのことを知りました。

母・典子さん
「見たとたんに“これだったら絶対にいける!”と思いました」

父・浩さん
「細かい動きは無理なんですが、この大きな丸いところにポンと手を載せて押すくらいなら、拓志が遊べるかなと、そんな感じがありました」

スイッチを押すと震えるぬいぐるみ。
さらに押すたびに音が鳴る仕掛けが加えられています。
拓志くんの手元に置くと、自らの意思でボタンを押して遊び始めたのです。

典子さん
「積極的な一面を私たち初めて見ました。この子とずっと会話がしたいと思っていたんですが、なかなか話すことができない。初めて遊んでできた(スイッチを押せた)時にほめてあげたんです。“できたねー”って言うと、“できたよー”っと満面の笑みを浮かべてくれたんですね。それを見た時に、この子と会話ができたようでうれしかったです」

拓志くんの反応に手応えを感じた典子さんは、角さんに新たなおもちゃを依頼しました。

角さんが用意したのは、拓志くんが好きだという鳥の声がするおもちゃ。
ケースの裏にある小さなスイッチの代わりに、大きなスイッチをつなげられるように改良しました。

■障害の程度に合わせた6種類のスイッチを開発

角さんがこうした工夫をしているのは、長年、養護学校の教員をつとめていた経験があるからです。

当時、障害児のおもちゃに使われていたのは、海外製のスイッチ。
スイッチの部分だけで3万円もする高級品でした。

“もっと子どもたちを笑顔にしたい”
退職後、角さんは独学でスイッチの開発に乗り出します。

角さん
「形ができるまでは試行錯誤しなきゃいけない。あっちこっち行って材料を仕入れたり。できるだけ安さを、安さが売りなんですよ。安い材料を探すのが大変でしたね」

試作品を作っては実際に使ってもらい、改良を重ねていきました。

角さん
「自分の意志で動かせる部分が、指先しかない子どももいるんですよ。そうした子どもたちはこの(丸形の)スイッチを押すことも難しい。そういう子どもたちのために触れるだけで(反応する)、力のいらないスイッチ」

触れるだけで反応する静電気センサーを組みこんだスイッチです。

この棒状のものもスイッチです。

角さん
「小さいところを押すのは無理だけれど、こういう(腕を大きく振る)ことのできる子は、このスイッチを使って」

障害の程度に合わせた6種類のオリジナルのスイッチが生まれています。

角さん
「障害のある子は受け身の生活なんですよね、自分でやれることは少ないから。遊ぶことは子どもにとって大事なこと。その経験がとっても少ない。そんな子どもたちも遊ばせてあげたい。子どもの持っている力で遊べるおもちゃを作ってあげたい」

■届けられた新しいおもちゃに拓志くんの反応は

角さん、拓志くんに新しいおもちゃを届けに行きます。

角さん 「お土産持って来たぞー。どうかな?」

拓志くんの反応は…

角さん「あー、よかった」

拓志くん、新しいおもちゃを気に入ったようです。

角さん「よかった、喜んでくれるか心配していたんだ」

角さん
「笑うでしょ、喜んでくれるのがいいね。お母さんが(拓志くんの)喜びそうなおもちゃを見つけたら、またスイッチ付けて遊べるようにしてあげるからね」

典子さん
「この子の笑顔はもう、うちでは本当に幸せなひとときです。今後もっともっと楽しいおもちゃを探していってあげたいと思いました」

■おもちゃドクターは全国に1000人以上も

(武内アナウンサー)
拓志くんのこの笑顔、遊びたかったんですね。
さすがお母さん、拓志くんが遊びたいという気持ちを持っているということをくんで、そして角さんに出会ったということなんですね。
角さんのスイッチもすばらしいですね。

(清水リポーター)
角さんは、おもちゃドクターを極めたいと、退職後に3年間専門学校に通って、電子工学を学ばれたんです。そして生まれたのが、このスイッチなんです。
すべての子どもたちに、自分の力で遊んでほしいという強い思いを感じました。
おもちゃドクターは、これまで培ってきたものがさらに広がっていく活動なんですが、この活動をおもちゃ業界も応援していて、大手のおもちゃ販売店はイベントを開く場所を提供したり、部品の調達を助けるような動きをしているところもあるんです。

(武内アナウンサー)
お願いしたい時は、どこに問い合わせたらいいのでしょうか?

(清水リポーター)
おもちゃ病院は全国に広がっていまして、ドクターの方は1000人以上もいらっしゃるということです。
お近くのおもちゃ病院は「日本おもちゃ病院協会」のホームページをご覧ください。

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