MIRAIMAGINE

Menu
Clip

メニューを開きます

MIRAIMAGINE

Menu
Clip

メニューを開きます

パラリンピックささえて ~写真家・清水一二さん~

クリップ
ページを保存しました。画面右上から保存したページを一覧でみれます。
五輪
パラリンピック
ひるまえほっと
東京
2016年1月26日

左から、山本哲也アナウンサー、勝田真季リポーター

(勝田真季リポーター)
9月に迫ったパラリンピック。出場を目指すアスリートを支えている方たちを紹介します。

今回ご紹介するのは、写真家の清水一二(しみず・かずじ)さんです。
2015年11月にも、この番組にご出演いただいて、パラリンピックの見どころをたくさん語っていただきました。
(参考:障害者スポーツを撮り続けて ~写真家・清水一二さん~

清水さんは1998年の長野パラリンピックで、日本人として初めて国際パラリンピック委員会の公認カメラマンに抜擢されまして、それからずっとパラリンピックを撮り続けているんですね。
そして今、リオ、それから4年後の東京に向けて、新たな取り組みをしています。取材しました。

■練習にも足繁く通い、選手たちの姿を撮影

1月に東京で行われたシッティングバレーボールの合宿です。
足などに障害がある人が、座ってプレーをする競技です

3月にリオデジャネイロで行われるパラリンピックの最終予選に向けて、練習を重ねています。

選手たちの姿を追うのが、写真家の清水一二さんです。
練習にも足繁く通い、選手たちの姿をカメラに収めています。

清水さん
「練習会場って、やっぱり楽しいですよね。本番じゃなくて。
 表情が豊かだし、こういうふうに明るい笑顔が出て、雰囲気がすごくいいじゃないですか。
 3月に大会があると言っているので、これからどんどんもっと厳しい顔になっていくんじゃないかと思いますが」

撮影:清水一二

撮影:清水一二

この日撮影した清水さんの写真。
一瞬の動きや表情を丁寧にとらえています。

■障害者スポーツを撮り続けてきたきっかけとは

障害者スポーツを撮り続けてきた清水さん。
きっかけは、その迫力を目の当たりにしたことでした。
清水さんは大学で写真を学び、リハビリ施設に就職。
医療関係の写真を撮る仕事をしていました。
そこで、リハビリのために車いすバスケットをしている人たちに、目を奪われたのです。

清水さん
「感動しましたね。そのスピード感とか、タイヤの焦げるにおいだとか。
体育館って、普通焦げるにおいなんか絶対しないのに、彼らが思いっきりスタートして思いっきりブレーキをかけたら、タイヤの焦げるにおいがするんですよね。
それをやっている彼らが、すごくかっこいいなと思って。ボールと一緒に車いすが絡んだような写真をいっぱい撮ったのが初めてですね」

■国際パラリンピック委員会の公認カメラマンに抜擢

その後、本格的に障害者スポーツを撮り始めた清水さん。
1998年の長野パラリンピックでは、日本人として初めて、国際パラリンピック委員会の公認カメラマンに抜擢されました。

それ以降も、毎回パラリンピックを取材し、新聞や雑誌で写真を発表してきました。

アスリートとしての魅力にあふれた選手の姿は、日本の障害者スポーツの認識を変えるきっかけにもなりました。

■新たな挑戦は、マイナー競技の魅力を伝えること

3年前、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定。
パラリンピックへの注目は一気に高まり、車いすバスケットや車いすラグビーなど、パラリンピックへの出場をかけた試合は、人気を集めました。

こうした中、清水さんが新たに挑戦していることがあります。
マイナー競技の紹介です。
これまで、ほとんどマスコミなどで取り上げられてこなかった競技の魅力を伝えようというのです。

雑誌やホームページを通じて、競技の見どころや選手の思いを写真とともに紹介しています。

清水さん
「今がチャンスじゃないですかね。
 やっぱりこういうふうに皆さん『パラリンピック、パラリンピック』って耳にしていますから。ただ知っているのは障害者の人がやる競技、スポーツなんだっていうだけであって、どんな競技があるのか、皆さん分からないと思うんですね。
 今の4年間は、パラリンピックを教えることがテーマかなと思っていますね。そうじゃないと、つまんないですよ。せっかく東京の身近なところに障害者の大きな大会が来て、やっぱり競技は皆さんいっぱい知っていたほうがいいですよね」

■パワーリフティング・大堂秀樹選手の練習を取材

2015年12月中旬。
清水さんは連載している雑誌の取材で、名古屋にやってきました。

待っていたのは、パワーリフティング選手の大堂秀樹(おおどう・ひでき)さん。
ロンドンパラリンピックで6位に入賞した実力者です。清水さんとは15年の付き合いです。

清水さん「相変わらず、ぶ厚いな。やってる?」
大堂さん「ちゃんとやっとるよ」

パワーリフティングは、主に足に障害のある選手が出場する競技。
体重別に分かれ、寝た状態でバーベルを持ちあげます。
海外ではメジャーな競技ですが、日本では歴史が浅く、あまり知られていません。

大堂さんは、18歳の時にあった交通事故の影響で、胸から下の感覚がありません。
胸と腕の筋肉を最大限に鍛えてきました。
今回も、リオパラリンピックへの出場が期待されています。

自己ベストは日本記録の196キロ。
この日は170キロをあげました。

大堂さん「うっ」

清水さん「おぉ」

撮影:清水一二

清水さん
「『うっ』という瞬間が撮れたら、いいじゃないですか。その写真から、その力強さを感じられたらいいかなと思っています」

撮影:清水一二

撮影:清水一二

清水さんは、こうした写真を通じて、パワーリフティングを多くの人に知ってもらおうとしています。

■取材後、清水さんに打ち明けた「大きな課題」

取材後、大堂さんは「大きな課題がある」と清水さんに打ち明けました。

大堂さん「2月の半ばに」
清水さん「選手権あるの?」

大堂さん
「205キロあげとかんと、(リオへ)行けれん。
 俺の階級だと190(キロ)が壁になって、で、200(キロ)が壁になって。
 そこらへんで、みんな“だんご”になっているんだよね」

2月に開催される世界大会で、自己ベストを上回る記録を出さなければ、リオへの切符は難しい。

募る焦り。
相手が清水さんだからこそ見せる、心の内です。

■大堂選手が清水さんに信頼を寄せる理由とは

練習の後、一緒に食事をする大堂さんと清水さん。

大堂さん
「(清水さんの存在は)ありがたいですよ、すんごく。パワーリフティングって正直、日本じゃすごくマイナーなんですよ。
 取材してくれる、いろんな写真撮ってくれる、写真展で写真を置いてくれるっていうことで、いろいろ広めてくれると、競技始めようっていう人がいなくても、応援しようという人が出てくれたら、それだけで御の字ですね」

そしてもう一つ。
大堂さんが清水さんに信頼を寄せる理由がありました。

大堂さん
「例えば、パラリンピックに出られるって決まったときに、(マスコミが)取材に来るじゃないですか。
 来たときに、どうしても言ってほしいんですよね。
 “目標はなんですか” “メダルです”
 でも清水さんはそんなこと全然求めてないから、だから好きなんですよね」

(Q:清水さんの中では「メダル取れる、取れない」っていうのじゃない?)
「ないない。大堂さんが、ランクを一つでも上げただけでうれしい。
 その人が一生懸命勝ち残ってきたドラマを、少しでも撮りたいなと思って」

■国内最大規模の大会に出場する大堂選手を撮影

1月10日、東京で全日本パラ・パワーリフティング選手権大会が開かれました。
日本代表の候補が集まる、国内最大規模の大会です。

清水さん、ここでも大堂さんを追いかけていました。

会場アナウンス
「男子88キログラム級、大堂秀樹選手です」

大堂さんはこの日、前日から熱があり体調を崩していました。
それを押しての出場。目標は180キロです。
試技は3回。最も高い記録が採用されます。

大堂さんの1回目、160キロ。
これは問題なく、クリア。

2回目、170キロ。

清水さん
「いけ! いけ! いけいけいけいけいけ!
 おぉ、こわいな、自分がやっているみたい」

■カメラマンと選手ではなく「1人の応援団」

そして3回目。
大堂さんは現れませんでした。

状態が悪く、これ以上無理はできないと、棄権したのです。
2月の世界大会を見据えての決断でした。

清水さん「熱は大丈夫?」
大堂さん「変な汗が出てきた」

清水さん
「次のドバイ(世界大会)に向けてやってくれるんだったら、それはそれでいいかなと思いますよ」
(Q:今日だけが全てじゃない?)
「もちろん、もちろん。彼の目標に従っていきたいですね」

清水さん、これからも選手たちを通して、知られざる障害者スポーツの魅力を伝えていきたいと考えています。

「カメラマンと選手じゃなくて、1人の応援団みたいな感じで接したいなと思いますね。
 東京パラリンピックがあって、そこで皆さんが、障害者のスポーツをもっともっと楽しくおもしろく感じてくれればいいなと思いますけどね」

■写真を見た人たちにも、競技の感動を伝えたい

(山本哲也アナウンサー)
ちょうどこの時期っていうのは、リオのパラリンピックの出場権をかけて、選手たちが緊張する、もがく時期でもあるんですよね。
それを撮っていらっしゃるということですよね。

(勝田真季リポーター)
そうなんです。本当に熱が私たちにも伝わってくるぐらいなんですね。
その瞬間を清水さんがとらえていらっしゃるということで、その大会のときの写真がこちらです。

撮影:清水一二

大堂さんが試技に入る前の呼吸を整えている瞬間。
そして、もう一枚。

撮影:清水一二

こちらが、バーベルをぐっと持ち上げるそのとき。

(山本アナウンサー)
最後、上げきるかどうかという力がすごくみなぎる瞬間ですよね。
清水さんが「自分がやっているみたいでこわい」って言っていましたね。

(勝田リポーター)
そういう「こわい」とか「自分がやっているみたいだ」とかいう思いをこの写真1枚に込めることで、それを見ている人たちにもこの感動を伝えていきたい、というふうにおっしゃっていましたね。

■4年後までに全競技の写真を撮って本を作りたい

(山本アナウンサー)
リオ、それから2020年には東京もありますけど、こういうパラリンピックの種目を写真によって知ることによって、それが力になるっておっしゃっていましたね。

(勝田リポーター)
まさにその通りで、清水さん、今はマイナー競技、そして4年後の東京パラリンピックまでには、全ての競技の写真を撮って、その写真とルールを掲載した1冊の本を作りたいそうなんですね。
その1冊があれば、ルールを知らない人でも誰でもそれを持って競技を楽しめる、そういう環境を整えていきたいというふうにおっしゃっていました。

(山本アナウンサー)
その本ができるのも楽しみですよね。

関連のページ

首都圏NEWS WEB 関連記事

人気のページ

前へ
前へ
次へ
次へ

Twitter公式アカウントで更新情報をチェック

@nhk_miraima

別ウィンドウで開く

※NHKサイトを離れます