40~50代のミドル世代の3人が、基礎からランニングをはじめ、フルマラソン完走を目指すシリーズ企画の第10回。
2019年のスタートから順調に練習を積み上げていたが、コロナ禍で計画が中断。去年秋に1年ぶりとなる合同練習を行い、年末には、ハーフマラソンと10キロの個人レースに出場し完走。
そしていよいよ今月、フルマラソンにエントリー。そのレース前に、3人それぞれの悩みに答える。
※トレーニングをする際は、無理をせず けがをしないように注意して楽しく走りましょう!
●フルマラソンに向けたトレーニング方法は?
初めてのフルマラソン ~5時間台の人向け~
・週3日 走るトレーニング
・走らない日は筋トレ
・3時間走、30km走を行う
レース1か月前、または3週間前に「長い時間動き続ける」経験をしておくことが大切。
※その後、3日間ほどはウォーキングで疲労をとりましょう。
レース前日は休養し、心の準備をしっかりとします。
●痛みがあり、不安です。どうすればよい?
練習などに不安があるとき
・週3ランニングを週2に
・走れないときはウォーキングを2~3時間
無理のない範囲で体を動かすことが大切。ウォーキングを2~3時間でも足づくりになります。
●レース前の食事は?
グリコーゲンローディング
「糖質」を意識的に増やし、エネルギー源になるグリコーゲンを筋肉・肝臓により多く蓄える食事方法。90分以上、20km以上を走る場合に有効です。
ポイントはレース「3日前」からグリコーゲンローディングを開始すること。
<大会から3日前の食事例>
3日前:ご飯、うどん、ハンバーグ、フルーツなど
2日前:三色丼、おにぎりなど
前日:ご飯、力うどん、しょうが焼き、フルーツなど
※いつもの茶わんで1.5倍ご飯を食べるように意識する。ご飯で食べられない場合、汁ものにうどんやもちを入れたり、おかずに肉じゃがやかぼちゃの煮物などのいも類や、フルーツをプラスしても良い。
※一気に(食事量を)増やすと急激な体重増加につながるので、3日前から様子を見ながら始める。
糖質のご飯をたっぷりとるためには、おかずが肝心。選手に人気の「しょうが焼き」と、レース当日の朝に緊張していてもペロっと食べられる「混ぜご飯のおにぎり」を紹介。
『豚肉のにんじんしょうが焼き』
<材料>(2人分)
・豚もも肉 … 200g ※豚こまでも可
・たまねぎ … 100g(1/2個)
・にんじん … 150g(1本)
・しょうが(すりおろす) … 小さじ1
・オリーブ油 … 大さじ1/2(サラダ油でも可)
・しょうゆ … 大さじ1
・酒 … 大さじ1/2
・みりん … 大さじ1
・はちみつ … 小さじ2 ※砂糖でも可
・ごま … お好みで
<つくり方>
1.豚肉に酒、しょうゆ(分量外:各小さじ1弱)で下味をつけておく。
2.たまねぎは繊維に沿って薄くスライスし、にんじん、しょうがはすりおろす。
3.フライパンにオリーブ油を入れ、中火で(1)の豚肉を入れて炒め、塩・こしょう(分量外)をする。
4.肉の色が変わったら(2)のたまねぎを加える。たまねぎがしんなりしたら、にんじんのすりおろしを加える。
Point:野菜は火を通して消化吸収をしやすく!野菜はおひたしやみそ汁に入れたりして摂取するのもおすすめ。
5.にんじんの香りが立ってきたら、しょうがと調味料を加え軽く煮詰めて完成。お好みでごまをふって。
<前日の食事メニュー例>
・豚肉のにんじんしょうが焼き
・ご飯
・力うどん
・かぼちゃの白玉あずきのせ
・いちご・バナナ
・オレンジジュース
『混ぜご飯のおにぎり』
<材料>(2合分/温かいご飯約700g)
・鶏もも肉 … 150g ※鶏ひき肉でも可
・にんじん … 70g(1/2本)
・しいたけ … 40g
・高野豆腐(刻みタイプ) … 20g ※油揚げ1枚でも可
・水 … 200ml
・きび糖(砂糖でも可) … 大さじ2
・しょうゆ … 大さじ3と1/2
・酒 … 大さじ1
・みりん … 大さじ1と1/2
<つくり方>
1.鶏肉は皮や余分な脂肪は取り除き、細かく切る。しょうゆと酒(分量外)各小さじ1/2で下味をつける。
Point:脂質は消化吸収に時間がかかるため、皮などは取り除く。
2.にんじん、しいたけは約1cmに千切りにする。
3.鍋に水と調味料、(1)の鶏肉を加えしっかり火を通す。途中アクが出たら取り除く。
Point:最初に肉を入れ味をつけると鶏肉の臭みがなくなる。
4.鶏肉に火が通ったら(2)の野菜と刻み高野豆腐を加え、弱火で10分程、汁けが少なくなるまで煮て、ツヤが出てきたら具の出来上がり。
5.温かいご飯に混ぜてお好みで刻みのりをのせたり、おにぎりにしていただく。冷凍ご飯の場合は温めてから混ぜる。
<当日朝の食事メニュー例>
・混ぜご飯おにぎり
・おはぎ
・バナナ
・オレンジジュース
◇松谷さんおすすめの常備菜
特に女性ランナーは鉄分不足になりがちで、意識的にとることが大切。1日、ひとかけかふたかけ食べるのがおすすめ。つくだ煮や甘酢あんなどアレンジして、常備菜として作っておくと便利。
『レバーのつくだ煮』
<材料>(つくりやすい分量)
・鶏レバー … 200g
・酒 … 大さじ2
・しょうが(すりおろす) … 小さじ1
・たまねぎ … 1/4~1/2個
・砂糖 … 大さじ3
・しょうゆ … 大さじ2~3
・はちみつ … 適宜
・小ねぎ … 適宜
<つくり方>
Point:日本では鶏の肝臓と心臓の部分がくっついて売っていることが多い。最近のものは、牛乳に浸したりしなくても臭みが少なく食べやすい。ピーンと張りがありふっくらしていて鮮やかなものを選ぶ。
1.レバーを水で洗いしっかり水けをきり、しょうゆ、酒、しょうがに10~20分間程つけておく。たまねぎ薄切りにしておく。
2.フライパンに油(分量外:少々)を入れ、(1)のレバーとたまねぎを調味液ごと入れて炒める。水分がなくなるまで中までしっかり火を通す。
3.砂糖としょうゆを加えて煮詰め、最後にお好みではちみつを少々いれる。
4.ねぎをかけて完成。
『レバーの甘酢あん』
<材料>(つくりやすい分量)
・鶏レバー … 200g
・しょうゆ … 大さじ1
・かたくり粉 … 大さじ2
・油 … 大さじ1~2
・黒こしょう(粗びき) … 少々
<甘酢あん>
・黒酢 … 大さじ3
・砂糖 … 大さじ3
・ケチャップ … 大さじ3
<つくり方>
1.レバーは一口大に切る。まな板の上でしょうゆ(分量外:大さじ1)で下味をつける。
2.10分後、汁けをペーパータオルでよくふき取る。レバーを袋に入れ、かたくり粉を加えてまぶす。
3.フライパンに多めの油を入れ、(2)を弱火でじっくり中まで火を通す。
4.火を強め、甘酢あんの調味料を加え、酸味が飛んで汁けがなくなればOK。
5.器に盛り、黒こしょうをお好みでかけて完成。
●春のレースの服装は?
・帽子
日差しを防ぎ、暑さ対策に。汗がたれないので集中できる。
・シャツは半袖かノースリーブ
速乾性の軽めの素材がおすすめ。
・ハーフタイプのタイツ
「股ずれ」を防ぐ。
・ミニバッグ
栄養ゼリーなどを入れていつでもエネルギー補給ができる。マスクを入れるのにも便利。
■マラソン指導
平塚潤さん
城西大学経営学部准教授
陸上競技元選手・現指導者で、専門種目は長距離走、駅伝及びマラソン。
1993年世界陸上シュトゥットガルト大会男子10000m代表・1994年広島アジア競技大会男子10000m銀メダリスト。
■VTR出演
松谷紀枝子さん
管理栄養士 東洋大学陸上競技部女子長距離部門 専属
世界陸上、オリンピックの代表選手の合宿にも帯同。現在は大学の女子陸上部に所属しながら、高校生から実業団、日本代表クラスの長距離選手まで、幅広く栄養サポートを行っている。
■第1回:週3回 運動する習慣をつける
■第2回:45分間歩かずに走れる
■第3回:60分間走れる(5km・10km)
■第4回:快走のコツ 4つのポイント
■第5回:市民ランナーにおすすめのトレーニング
■第6回:何時間でも走るためのLSDトレーニング
■第7回:初めての大会 リレーマラソンに挑戦!
■第8回:合同練習 基礎ストレッチやケガ予防の筋トレ法
■第9回:大会に挑むときの心得・服装