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新型コロナ みんなの “困った” にこたえます ~スマホ・ネット依存~

  • 2021年3月10日

新型コロナに関するお悩みや不安の声が寄せられています。今回は、スマホの使い過ぎやネット依存について、脳神経科学が専門の早稲田大学理工学術院・枝川義邦教授に話を聞きました。

スマホについて

Q. 遊び場が減り、家で動画ばかり見ている子どもにイライラ。(40代女性)
Q. 外出自粛で、子どもがスマホばかり見ています。やめさせようとすると泣いちゃうのでやめさせられません。心配です。(30代女性)

スマホを長時間使用すると、“脳過労”といって、過労状態で脳が正常に働かない症状が出る恐れがあります。
スマホが普及してまだ10年ほどで未知の部分もありますが、大人より子どものほうが影響を受けやすいと考えられています。

“脳過労” セルフチェック

ネット使い過ぎによる “脳過労” かどうか、チェックリストで見ていきましょう。

<脳過労のセルフチェック項目>
□ イライラしやすい
□ ゲームやネットサーフィンをダラダラと続けてしまう
□ 勉強などの段取りが悪くなった
□ 少し前に聞いたことを思い出せない
□ 集中できる時間が短くなった

チェックが 1~2個でも脳が疲れています。チェックが多いほど脳過労を起こしている可能性があります。

こうした症状に影響しているのが、脳の『前頭前野』という場所です。
前頭前野は、理性・社会性を司る場所で、前頭前野の機能が低下すると、イライラしてキレやすくなる、判断能力が鈍る、もの覚えが悪くなる、などが起こると考えられます。

スマホ脳過労の対策

ネット依存による "脳過労" の対策として大切なのは脳を休めること!
大きなポイントは以下の3つです。

1. ながらスマホをやめる
2.「デフォルトモードネットワーク」を働かせる
3. スマホを “スマート” に使うルール作り

1. ながらスマホをやめる
実は、脳は複数の作業を同時に行うことはできません。
2つの行動を同時にしているつもりでも、実際は同時進行ではなく、脳は一つ一つの作業を細かく分け、高速で切り替えながら処理していて、こうした繰り返しは脳にとって負担となります。
そのため、スマホを使う際は、メリハリが大事になります。
<例>
・30分使ったら5分は使わないなど、適度に休みを入れて長時間続けない。
・検索する時は、目的を決めて、調べたいことがわかったらそこでやめる。一つの行動に集中するように心がける。

2.「デフォルトモードネットワーク」を働かせる
「デフォルトモードネットワーク」とは、ボーッとした状況で働く神経ネットワークのこと。これによって脳の疲労回復を促進します。
短時間でもOKなので、疲れたと思ったら、ボーッとする。窓の外の街路樹を見たり、空を眺めたり、自然を見るのがオススメです。目をつぶって深呼吸するのもよいです。
<例>
散歩をしている時に、突然良い案を思いつくことがありませんか? そうした時、デフォルトモードネットワークが有効に働いていると考えられます。
 

3. スマホを “スマート” に使うルール作り

<ルール例>
・1日のスマホの利用時間を知る
・メールやアプリからの通知をオフにする
・寝る直前にメールを開かない
・画面ロックの解除方法を複雑にする(例えば指紋認証→パスワード入力へ変更など)
・画面をモノクロにする・画面の明るさを下げる
・アプリの使用時間に制限をかける

1日のスマホの利用時間を知る

iPhoneでは「スクリーンタイム」、アンドロイドでは「Digital Wellbeing(デジタル・ウェルビーイング)」というアプリで利用時間を確認することができます。スマホの使い過ぎを防ぐために作られたアプリです。
1日の平均使用時間が分かるので、それを超えたら、もう使わないようにしようという目安になります。

画面をモノクロにする・画面の明るさを下げる
カラーからモノクロにするだけでも色の情報がなくなり情報量が減るため、脳への負担が軽くなります。また、あえて見づらくすることで、見たいという欲求を抑える効果があります。
自分の意志だけでは難しいという方にはスマホの機能を使って強制的に使えなくするのもオススメです。 

どうしても、スマホを手放すのが難しければ、
・家の中で持ち込まない場所を作る
 (トイレや浴室、寝室、勉強部屋、キッチンなど)
・SNSを使わない時間帯を作る
など、段階的にスマホを手放す時間を増やしていくとよいでしょう。

 

◆回答

早稲田大学理工学術院 枝川義邦 教授

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