千葉県は、ことし9月の記録的な大雨による被害への対応として、被災した護岸の補修や、一部区間で不通が続くいすみ鉄道・小湊鐵道の復旧支援など、あわせて72億円を盛り込んだ補正予算案をまとめました。
盛り込まれた支援策を項目ごとに詳しくお伝えします。
千葉県は、11月22日に開会予定の定例の県議会に、総額148億600万円の補正予算案を提出することにしています。
主な内訳は次の通りです。
▼ことし9月の記録的な大雨による被害への対応
72億3200万円
▼人事委員会勧告に基づく給与改定を行うため増額される人件費
75億7400万円
このうち、大雨への被害の対応について、具体的な項目を見ていきます。
▼災害救助に関する事業 5億6000万円
被災した自治体が災害救助法に基づいて行った避難所設置・食品供給・住宅の応急修理などの経費を県が負担するための予算です。
▼応急仮設住宅の借り上げ 1600万円
応急仮設住宅として、県が民間の賃貸住宅を借り上げる予算です。借り上げ戸数は20戸を予定しているということです。
▼土木施設の復旧事業 42億8900万円
被災した道路や河川などを復旧する予算です。内訳は次の通りです。
●道路:3億2575万円
●河川海岸:38億6625万円
●公園:9700万円
▼河川の復旧事業など 10億円
記録的な大雨で氾濫した河川などで、護岸の整備などを前倒しで行うための予算です。具体的な事業の内容は次の通りです。
●堤防のかさ上げ(阿久川):3億円
●護岸の整備など(小中川、作田川):3億1300万円
●河道掘削(栗山川、養老川):2億3000万円
●橋梁の架け替え(真亀川):1億5700万円
▼農地・農業用施設などの災害復旧事業 9億円
被災した農地や農業用施設(ため池、水路、農道など)の復旧にかかる費用を、県が市町村などに対して補助する予算です。
▼農村生活環境施設の復旧事業 3800万円
被災した農村生活環境施設(農業集落排水施設、農村公園施設)の復旧にかかる費用を、県が市町村に対して補助する予算です。
▼林道の復旧事業 4505万円
被災した市町村が管理する林道の復旧費用を、県が補助する予算です。
▼「治山施設」の復旧事業 6755万円
山崩れや地滑りなどを防ぐ「治山施設」などを復旧する予算です。
▼いすみ鉄道の復旧支援 4500万円
一部区間で不通が続く「いすみ鉄道」の早期復旧を支援するため、鉄道施設の維持・修繕などにかかる費用の補助を増額する予算です。
県の補助率は、対象となる復旧事業の経費の半額ですが、国や、地元の市や町からも補助金が出されます。
▼小湊鐵道の復旧支援 920万円
一部区間で不通が続く「小湊鐵道」の早期復旧を支援するため、鉄道施設の復旧にかかる費用を補助する予算です。
県の補助率は、対象となる復旧事業の経費の4分の1で、地元の市や町からも4分の1が補助されます。
▼社会福祉施設の復旧事業 6675万円
保育施設や特別養護老人ホームなど、社会福祉施設の復旧にかかる費用を補助する予算です。
対象となる事業経費のうち、国が半額、県と事業者が4分の1ずつを負担します。
▼被災した文化財の再建支援 2050万円
被災した指定文化財の復旧にかかる経費を補助する予算です。
土砂崩れなどの被害を受けた長柄町の「長柄横穴群」や、睦沢町の「妙楽寺の森」などの復旧が後押しされます。
▼養老渓谷「粟又の滝」遊歩道の復旧事業 4500万円
歩道の流失などで通行止めとなっている、大多喜町の「粟又の滝」に続く遊歩道の復旧に向けた予算です。
滝への入口などの復旧を行うとともに、遊歩道全体の有効な復旧方法などの検討が行われます。
▼被災した地域の観光誘客事業 1億2000万円
被災した地域の観光業を支援するため、観光協会などが宿泊施設と連携して行う取り組みなどの費用を補助するとともに、県内外に向けて観光情報の発信を強化する予算です。
補助の対象となる取り組みとしては、宿泊料の割引や地域の飲食店で使用できるクーポンの発行などが想定されています。
発信の強化では、SNSやインフルエンサーを活用して観光スポットなどの情報を拡散していくことなどが見込まれています。
▼災害廃棄物の処理に関する自治体の支援事業 1000万円
浸水被害などで大量に発生した災害廃棄物の処理にかかる市町村の経費の一部を補助する予算です。
これらを盛り込んだ県の補正予算案は、県議会に提出され、12月19日まで開かれる予定の「12月議会」で審議が行われる予定です。