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埼玉の介護施設で送迎車事故 千葉の施設は対策を徹底

  • 2023年09月19日

今月13日、さいたま市の介護施設で発生した事故。施設の送迎車に利用者2人がはねられ死亡しました。事故を受けて、千葉県内の施設では安全対策を徹底する動きが出ています。

(千葉放送局記者・浅井優奈)

埼玉県の介護施設 送迎車が利用者をはねる

今月13日、さいたま市見沼区の通所介護施設の敷地内で、施設の送迎車が近くにいた3人をはね、89歳と88歳の利用者2人が死亡し、職員が軽いけがをする事故がありました。運転していたのは75歳のアルバイト運転手で、事故当時、施設の玄関の前には車4台が停車していて、3人はこのうちの1台に乗り込もうとしていた際、向かい側から突っ込んできた送迎車にはねられたとみられるということです。

事故を受け、千葉の施設では対策を徹底

今回の事故を、各施設では重く受け止めています。千葉県市川市にある通所介護施設、「親愛の丘市川デイサービス」では、1日におよそ10人のお年寄りがデイサービスを利用しています。利用者の送迎は専門の職員2人と介護も行う職員5人が分担して担当していて、送迎専門の職員のうちの1人が70代です。

さいたま市の事故を受けて今月15日、施設長は送迎を担当する職員に対して「命を預かっていることを再認識してもらい安全運転を心がけて欲しい」と改めて対策を徹底するよう求めました。

デイサービスの送迎は、労働時間が限られることなどから送迎専門の人材を確保することが難しく、定年退職した人を雇うケースも少なくないといいます。この施設では▼採用する前に車の運転技術を確認するほか、▼送迎中に軽微なものも含めて事故をくり返した場合には、別の業務に変わってもらうなど安全確保に努めているといいます。

また、施設では2021年、人などを感知して自動で止まるセンサーがついた送迎車を1台導入しました。

さらに、車を動かしている時には利用者は建物の中で待ってもらうなどの対策をとっているということで、事故を受けて改めて対策を徹底させていました。

デイサービスの責任者で自らも送迎を担当している舘川里子さんは、「介護施設の送迎は普通免許で運転できるので、人の命を預かることの重みを改めて感じました。ただデイサービスの送迎は人を確保するのが難しいのが実情です。自分は大丈夫だという過信が一番怖いと思うので、ベテランの職員であっても研修などを行っていきたい」と話していました。

デイサービスの管理者 舘川里子さん

安全確保には各施設の取り組みが重要

今回取材をした施設の担当者は、「事故はひと事ではない」と話されるなど、千葉県内で取材した施設の多くが今回の事故を身近でも起こりうる問題だと感じていました。特にデイサービスなどの送迎は、朝と夕方のそれぞれ2時間程度などと業務の時間が限られているため、求人を出してもなかなか人が集まりづらい状況にあるということです。介護施設の送迎は、普通自動車免許を持っていれば行うことができ、特別な資格は必要ありません。安全の確保は各施設ごとに取り組んでいく必要があります。

各施設では、事故を未然に防ぐために、研修などで運転手の技術や意識の向上を図るとともに、ほかの車が動いている時には人を昇降させないといったルールを徹底するなどして、事故が起きにくい環境を整えていきたいとしています。

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