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“0隊”続発 救急搬送困難 千葉県でも

  • 2023年01月16日

長期化する新型コロナの第8波の中で、千葉県内でも救急搬送がひっ迫しています。患者の受け入れ先がすぐに決まらない「搬送が困難な事例」の増加が目立ち、受け入れ先が見つかるまで103回、照会を繰り返したケースも。各地の消防は、改めて「救急車の適正な利用を」と呼びかけています。

(千葉放送局記者 大岡靖幸・金子ひとみ)

出動可能な救急隊“ゼロ”も

千葉市消防局のツイッターより

「出動可能な救急隊が0隊となりました」。

最近、千葉市消防局のツイッターでは、すべての救急隊が出動中であることを知らせるツイートが相次いでいます。これは、新たな搬送要請があっても、救急隊がすぐには向かえないことを意味しています。今月6日のツイートでは「救急隊非常事態!」と表現しました。

船橋市や市川市の消防局も、「救急要請が急増して現場到着まで時間がかかる状態となっている」ことを市民向けにツイッターで周知しています。

主要都市の搬送困難の状況は?

千葉県内で人口が多い5市の消防局の、今月2日から8日までの1週間の搬送困難事例の件数を調べました。搬送困難事例とは、医療機関への受け入れ照会が4回以上、かつ現場滞在時間が30分以上の件数です。千葉市以外の4市では前の週より増え、去年の同じ時期との比較ではすべての市が大きく増えています。

“103回”照会の事例も

この期間、船橋市では、病院に患者の受け入れが可能か照会した回数が過去最多に上ったケースがありました。1月7日、80代の男性について、「下痢の症状があり、会話が困難になっている」として救急要請を受けた救急隊が、91の病院にあわせて103回照会したすえにようやく受け入れ先が見つかったということです。救急隊の現場滞在時間は9時間21分に上りました。この間、酸素吸入などの処置を行ったということです。

また、船橋市の15の救急隊すべてが出動してしまい、新たに出動できる救急隊が残っていない事態も今月3日と4日、それに8日に発生。現場に到着するまでの時間も、今月1日~9日の平均で11分40秒と、去年の同じ時期に比べ1分8秒長くなりました。

2021年9月、船橋市の救急隊の「ひっ迫」について取材しましたが、今回、改めて松岡利満救急課長に状況を聞きました。

船橋市消防局 松岡利満 救急課長

「1年半前と同様、今も本当にひっ迫している状況です。1分1秒を争う脳梗塞のような重症事案でも、4時間搬送先が決まらず、30回ほど照会したということもありました。新型コロナの感染拡大前は救急隊が1~2回照会すれば搬送先が決まるという状況でしたが、今は平均で7~8回の照会が必要になっています。感染拡大で救急要請が増える一方、病床はひっ迫していて、非常に厳しい状況となっています。一人でも多くの命を救うため、救急車の適正な利用を改めてお願いします」

松戸市消防局のウェブサイト

また、この期間に搬送困難事例が64件あった松戸市消防局。8日夕方に救急要請があり出動したケースでは、検査キットで新型コロナへの感染が分かった80代男性の入院先がなかなか決まらず、現場で9時間5分待機した後の翌日午前3時ごろになって、ようやく市内の病院への受け入れが決まったということです。

市川市消防局

市川市消防局でもこの1週間で、13の救急隊すべてが出動しているという事態が39回発生。救急隊が87回照会した末にようやく受け入れ先が見つかり、現場滞在時間は7時間56分に上ったというケースもありました。

救急車「適正利用を」

第8波で感染者が多い状態が続けば、救急のひっ迫が改善するには時間がかかりそうです。そうした中、本当に急を要する状態の患者の搬送に集中できるように、いずれの消防局も「救急車の適正利用に協力を」と呼びかけています。夜間や休日に、病院に行くか救急車を呼ぶか迷った場合には、「救急安心電話相談」があります。子どもの相談は「子ども医療電話相談」があり、各消防局ともに活用を呼びかけています。

▼救急安心電話相談……#7009
【平日・土曜】午後6時から翌朝6時まで
【日曜・祝日(振替休日を含みます)・年末年始(12月29日~1月3日)・GW(4月29日~5月5日)】午前9時から翌朝6時まで
▼子ども医療電話相談……#8000
【毎日】午後7時から翌朝6時まで

  • 大岡靖幸

    千葉放送局 記者

    大岡靖幸

    遊軍や千葉市政、経済などを担当。千葉市の人口97万人を支える救急隊は予備隊含め全30隊。「0隊」のツイートはギリギリまで追い込まれている救急隊の悲鳴のように思えます。

  • 金子ひとみ

     千葉放送局 記者

    金子ひとみ

    船橋、市川、習志野、浦安の4市を担当。2022年冬にコロナ感染し、「備えは重要だ」と実感しました。

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