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いすみ鉄道「キハ28」定期運行最後の1日には多くのファン 千葉

  • 2022年11月30日

旧国鉄時代に活躍し、国内では千葉県のいすみ鉄道で、唯一、運行されていたディーゼル車両「キハ28」。11月27日、多くのファンに見守られながら最後の定期運行を行いました。最後の1日に密着しました。(記事の最後に動画もあります)

(千葉放送局記者 荻原芽生)

キハ28とは

「キハ28」

「キハ28」は、1964年(昭和39年)に製造されたディーゼル車両です。いまから10年前の2012年(平成24年)にJR西日本から譲り受けて、いすみ鉄道にやってきて、主に観光列車として土曜日、日曜日、祝日に親しまれてきました。特に桜や菜の花が咲く春先は車両と花のコラボレーションを楽しむ「撮り鉄」が多く訪れていたといいます。

2両目が「キハ28」

同じタイプの車両は旧国鉄時代におよそ1800両製造されましたが、現在、国内で運行されているのはこの1両だけ。しかし、老朽化が進み、車両の維持に多額の費用がかかり、エンジンの部品の確保も困難になってきていることから、いすみ鉄道は定期運行を終了することを決断しました。

定期運行 最後の1日

11月27日ラストラン当日。
大多喜駅を午前11時18分に出発する予定でしたが、すでに午前8時すぎには乗車のための列ができていました。通常の運行と同様、最後の1日も、大多喜町の上総中野駅といすみ市の大原駅の間の26キロあまりを一往復する計画です。

出発時間が近づくにつれ、乗車しようとする人、一目見ようとする人、写真に収めようとする人、、、続々と集まってきます。

家族と来た少年

なくなっちゃうからせっかくなら一回乗りたいなと思って。最後だからおもしろいかなと思いました。

60代男性

最後にどうしても乗りたくて、千葉市内の自宅を午前4時半に出てきました。ディーゼルの型の車両は北海道を旅行したときによく乗ったので、エンジン音とかすごく懐かしいです。乗って車窓から写真を撮って楽しみました。古い車両はメンテナンスも大変なので仕方ないかなと思います。

40代男性

きょうは関西から来ました。キハ28は四国でよく走っていたので子どもの頃乗りました。小さいころにたくさん走っていた車両がついに引退しちゃうのかと寂しい気持ちです。

大多喜駅前でのイベント

出発前には大多喜駅前でお別れイベントも開かれ、駅前では、地元の高校生による吹奏楽やマンダリンの演奏が行われました。

大多喜町 平林昇 町長

昭和39年から一生懸命走ってきたキハ28が58年間の歴史に幕を閉じることになりました。国内最後の車両で残したいという話も出ましたが、検討を重ねた結果のやむをえない判断です。最後にみなさんで盛大に見送って、定期運行の最終日を楽しんで下さい。

午前11時すぎ、線路に「キハ28」が入ってくるとホームは人であふれかえりました。

この日の「キハ28」には、1960年代に房総半島を走った国鉄の準急「房総」の復刻ヘッドマークが掲げられています。

最後の定期運行を楽しもうという乗客が、乗り込んでいきます。

車内は乗客でいっぱい

「出発進行!」「プーッ!」
平林町長の合図に、列車は汽笛でこたえました。

鉄道ファンなど多くの人がカメラを構えるなか、「キハ28」はゆっくりと動き出しました。ホームでは、手を振って別れを惜しむ人の姿が見られました。

いすみ鉄道株式会社 古竹孝一社長

定期運行終了は、このローカル鉄道を守るための苦渋の決断でした。今後は、デジタルで残すことと保存という形でアナログで残すことを考えています。キハ28は変わっていかなきゃいけないものと変わっちゃいけないもの、いろいろなものを教えてくれる存在ではないかなと思います。古い車両もそうですが、いすみ鉄道自体を愛して頂けるよう努力していきたいと思います。

「キハ28」保存プロジェクト

定期運行を終えた「キハ28」は今後、しばらくは貸し切り列車として運行されますが、会社側はその後、車両を国吉駅に保存し、維持していきたいとしています。

クラウドファンディングのHP

そこでいすみ鉄道では、車両を保存するための費用を募るクラウドファンディングを始めました。

『「キハ28」は、国鉄型気動車全般の代表形式と行っても過言ではない』『その希少性と長い歴史の中で幅広い世代の方に愛されてきた』として、集まった資金については、▽車両保管費用のほかに、▽3Dデータとしてメタバース空間で車両をよみがえらせたいということです。

クラウドファンディングの募集は来年1月中旬までで、金額にあわせて1日フリー乗車券やオリジナルクリアファイル、撮影会など、さまざまなお返しが予定されています。

取材後記

わたしはこれまで正直なところ鉄道の魅力が分かっていませんでしたが、この日、肌色の車体に赤いラインの入った昭和レトロ感あふれる車体に思わず見とれてしまい、気づかぬうちに写真を撮っていました。熱気あふれるホームでファンとともに「キハ28」を見送ることができ、とてもいい経験になりました。

  • 荻原芽生

    千葉放送局 記者

    荻原芽生

    ふだんは警察や司法取材を担当。

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