ライオン、キリン、チーター、ゴリラ…。それに、レッサーパンダの「風太」。
いろんな生きものが暮らしている「千葉市動物公園」は、僕もお気に入りの場所ラッカ。実はここで、全国に先駆けた「脱炭素」の取り組みが進められようとしてるんだって!
なんで動物園?どうやって実現するの?取材してきた岡本記者に、早速話を聞くんだナ!
動物園で「脱炭素」ってどういうこと!?
これは運営する千葉市が決めたことなんだけど、動物公園とその周辺の地域で、「2030年度の脱炭素の実現」を目指すことになったんだ。
ツッコミどころが満載ラッカ。
まずどうやって動物園で「脱炭素」を実現するナッツ?
ライオンやゴリラも省エネに協力してくれるのかナ?
動物たちの暮らしをそのままに、「脱炭素」を実現しようとしているよ。
まずは、再生可能エネルギー由来の電力の導入だね。動物たちの飼育施設や来園者向けの駐車場の屋根などに、太陽光パネルの設置を検討しているよ。
足りない分や夜間の電力は、電力会社から再生可能エネルギー由来の電力を購入して、電力消費に伴う温室効果ガスの排出を実質ゼロにしようとしているんだって。
電気だけでいいのかナ?
鋭いね、ラッカ星人。
動物園から出る温室効果ガスで無視できないのが、「熱」のための排出なんだ。ゴリラ、チンパンジー、ナマケモノなど、暖かい地域に暮らす動物たちは、冬は温室じゃないと暮らせないんだよ。
この温室のための「熱」は、現在は都市ガスを燃料としたボイラーを使っているんだ。ボイラーは飼育施設のバックヤードにあるんだけど、特別に見せてもらったよ。
都市ガスが燃料っていうことは二酸化炭素を排出してるんだナ。
その通り。だから動物園では、このボイラーを木質チップを燃料にした「バイオマスボイラー」に置き換える計画なんだ。
木質チップは、木が成長する際に二酸化炭素を吸収しているから、燃やしても足し引きゼロで、実質的に二酸化炭素を排出しないんだ。
さっき、脱炭素は「動物園とその周辺の地域」で目指すって言ったよね。周辺地域ってどういうこと?
具体的なエリアは決まっていないんだけど、千葉市の計画では、周辺に400戸以上の住宅が建つエリアを整備することになっているよ。
その住宅は、「ZEH(ゼッチ)」というエネルギー消費が実質ゼロになる建物にするんだって。
どうやってエネルギー消費を実質ゼロにするラッカ?
建物の気密性を高めるなどしてエネルギー効率をよくした上で、屋根に太陽光パネルを設置して消費する分の電力を発電するんだよ。
太陽光だと昼間しか発電できないナ。
またまた鋭いね!
実は、近くに大型の蓄電池を設置して、昼間の電力をためておく計画なんだ。電力を送るためには送電線を引く必要があるんだけど、そこで千葉市の象徴の“あるもの”を活用しようとしているんだ。
あるもの?
モノレール!
そうなんだ。モノレールの軌道上に送電線を設けることで、新たな工事を減らす計画になっているんだよ。
分かったラッカ!そうやって脱炭素を2030年度に…って、脱炭素は2050年でいいんじゃないの!?
動物園と周辺地域は、2030年度に脱炭素を先行して実現する地域、「脱炭素先行地域」に選ばれたんだよ。
国は、「脱炭素」を2030年度に「先行地域」で実現して、そこからドミノ倒しのように広げていくことで、2050年に日本全国で実現する計画なんだ。
そこで、国は全国で少なくとも100か所の「先行地域」を選定しているところなんだよ。千葉市は2回目の募集に応募して、50の応募の中から選ばれた20か所の1つとして採択されたんだ。
今後、「脱炭素」の実現に向けて、最大50億円の交付金が活用できるなど、優先的に予算が配分されるんだよ。
採択された千葉市の計画の一部を紹介するね。
動物公園周辺のほかにも、幕張メッセの照明のLED化なども盛り込まれているよ。
千葉市は動物園を入れるなんてユニークなアイデアだナ。
全国ではほかにどんな地域が選ばれてるラッカ?
第1回・第2回あわせて46か所が選ばれているよ。
千葉県内では、今回の千葉市が初めてなんだ。
このうち、兵庫県尼崎市は、プロ野球「阪神タイガース」の2軍施設移転にあわせて、「ゼロカーボン ベースボールパーク」の整備を打ち出して採択されたよ。周辺の鉄道駅も脱炭素化することで「ゼロカーボン ナイター」の開催も考えてるんだって。
野球も脱炭素の時代なの!?
2050年には日本全体で「脱炭素」を実現するわけだから、当然観光・レジャー施設も対策を進めないといけないよね。
ほかにも「脱炭素先行地域」では、兵庫県姫路市が「ゼロカーボン キャッスル」を提案したり、京都市が「ゼロカーボン古都」と銘打ったりして、至る所で「脱炭素」を実現しようという動きが加速しているんだ。
今回の千葉市の取り組みについて、担当者は次のように話しているよ。
千葉市 環境保全課 温暖化対策室 秋山智博 室長
多くの子どもたちが利用する動物公園で、『脱炭素』の取り組みが進むことは、環境教育の面でも効果的だと思います。周辺地域も含めて、先行的に脱炭素のまちづくりを進めることで、2050年に向けて市内全体にも取り組みを広げていきたいです。
身近な施設で「脱炭素」が進むと、もっといろんなアイデアも出てきそうだナ!
そうだね。「脱炭素」は縁遠いことと思う人も多いかもしれないけど、実は私たちの生活に大きく関わってくることだと感じてもらうことが大事なんじゃないかな。
岡本記者、ありがとうナッツ!
この5日間、気候変動や脱炭素についてたくさん勉強したラッカ。
千葉のみんなができるだけ異常気象に悩まされないように、これからも勉強していこうと思ったナ!