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市船 野球だけじゃない 地元産品の販売戦略考えます 千葉 船橋

  • 2022年09月28日

この夏、甲子園で脚光を浴びた市立船橋高校には普通科のほか、商業科と体育科があります。
このうち商業科の生徒たちは、手ぬぐいや魚など地域の商品をネット販売でヒットさせるべく頭をひねっています。
野球だけじゃない市船。特別授業をのぞいてきました。

(千葉放送局記者 金子ひとみ)

地元老舗の「手ぬぐい」をネット販売に

9月初旬。船橋市の市立船橋高校では商業科2年の生徒たちが、授業の中で市内の事業者らを前にプレゼンに臨みました。
発表したのは、市内の老舗呉服店が取り扱う手ぬぐいを、どのようにインターネット上で売り出すかという戦略です。

発表する生徒たち「『季節』『市船生推し』『オリジナル商品』などのテーマごとに2枚から3枚のセットにして出品することを考えました。ブックカバーや小物入れとしても活用できることなど手ぬぐいの魅力について、写真を使った発信をすることも提案したいです」

授業風景 (画像提供:市立船橋高校)

この特別授業は、船橋市と市内の事業者、フリーマーケットアプリを運営するメルカリの連携事業の一環として、この5月から行われています。
生徒たちは、EC(電子商取引)の知識を身につけながら、地元産業への理解も深めることが目的です。
事業者側は、生徒たちの提案をもとに、新たな販路の開拓による売り上げ増加を狙います。
連携する事業者の第一弾が、老舗呉服店でした。

老舗呉服店は、生徒たちの提案を採用し、地元の船橋市にちなんだものや、季節を表したものなど、絵柄のテーマごとに手ぬぐいをセット販売することを決めました。

出品ボタンを押す呉服店の店主と生徒の代表

森田呉服店 5代目店主 森田雅巳さん「創業140年以上たちますが、ネットショップに取り組むのは初めてなんです。これまでは方法が煩雑なのではないかと手をつけられなかった。立ち上げを助けてくれたのはありがたいことで、これからは私もマスターしていきたいです。来店してくれた人以外にも店や商品のことを知ってもらえるのはうれしいです」

生徒

「メルカリは結構利用しますが、いつもとは逆で、販売する側の戦略を考えるのに苦戦しました。自分たちなりのアレンジを出す過程が難しかったです。手ぬぐいのデザインや質のよさ、ぜひ若い人たちに知ってほしいです」

生徒

「お店を見学して、手ぬぐいの種類の多さやいろんな使い方ができることを知りました。発送料などを考えながら価格設定するのが大変でした。私は将来、美容師になりたいんですが、今回の授業でお店の方などとやりとりしたコミュニケーション能力をいかせていけたらいいなと考えています」

この老舗呉服店のネットショップの口コミ欄には、購入者から「高校生の想いも詰まった手ぬぐいを大切に使わせて頂きますね」、「同封されていた手ぬぐいの活用法のメモをヒントにこれからディスプレイしたいと思います」などのコメントが寄せられていました。

次の商品は「魚」です

生徒たちは老舗呉服店との連携を続ける一方、第二弾として新たに4つの事業者の販売戦略づくりを始めています。
9月下旬、4人の生徒は、次なる連携先、漁師としておよそ40年、祖父の代から続く三代目の網元として、東京湾で巻き網漁の船団を率いる大野和彦さんを訪ねました。

大野和彦さん(右)の話を聞く生徒たち
生徒

「大変だった経験にはどんなことがありますか?」

大野さん

「近場で漁をしていたときに、風と波が急に同時に出てきて、港に帰れなくなったんです。仲間の船に助けてもらって、共同で取り組むことの大事さを痛感しました。自然相手の仕事は、面白いけれど、大変なこともいっぱいあります」

大野さん

大野さんは自主的に休漁期間を設けたり、基準より小さいものは海に返したりするなど持続可能な漁に取り組んでいます。
船橋が水揚げ量日本一を誇る「スズキ」漁師としてその名を知られる大野さんですが、生徒たちに相談を持ちかけたのは、「スズキ」ではない魚の販売戦略でした。

大野さん

「東京湾には『コノシロ』という魚がたくさんいます。ただ、小骨が多いこともあって、あまり売れないんです。でも、円安が進んで、輸入魚の安定確保が難しくなっている今、日本にある魚をいかに食べ続けていくかを考えることが大事だと思っているんです。『コノシロ』を知らしめることのできる新商品開発、マーケティングを考えてほしいんです」

事業者からのリクエストです。生徒たちはこう答えました。

「初めて知ったことだらけです。自分がきょうの話で印象に残った漁の大変さや工夫していることなども商品を通して伝えることで、みんな感謝して食べてくれるようになるのではないかと思います。これからこのメンバーで戦略を相談していきます」

取材後記

ここ数か月の間に、市船の吹奏楽部員、野球部員、そして商業科の2年生をそれぞれ取材する機会がありました。どの生徒さんも質問すると、型どおりではなく、いったん考えて自分のことばを探して答える姿が印象的で、インタビューするのは毎回ワクワクしていました。
そんな市船生が、こだわりあふれる船団長・大野さんの要求にどう応えていくのでしょうか。コノシロ販売プロジェクトのゆくえに今からワクワクしています。「攻めろ、守れ、決めろ、市船」!

  • 金子ひとみ

    千葉放送局 記者

    金子ひとみ

    実家は四国霊場札所の近くにある酒屋でしたが、20年前に廃業。千葉県の中小事業者を応援したい。

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