ページの本文へ

  1. 首都圏ナビ
  2. ちばWEB特集
  3. ロッキン サマソニ 千葉市での音楽フェス 参加者は?地元は?

ロッキン サマソニ 千葉市での音楽フェス 参加者は?地元は?

  • 2022年08月31日

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」と「サマーソニック」

私、音楽フェスには行ったことがないのですが、みなさんはどんなイメージをお持ちですか?
8月、千葉市で初めてこの2つの大きな音楽フェスが開かれました。参加者はどんなことを期待したのか、地元にどんな変化があったのか、調べました。

(千葉放送局記者 渡辺佑捺)

「ロッキン」千葉市で初開催

渡辺記者

「3年ぶりに場所を変えて千葉市で開催となった最大規模の野外音楽フェス。みなさん、どんなことを期待しているんでしょうか」

県内からの参加者

「千葉で開催されるということで、近くなったのでうれしかったです。会場も広いし、使いやすいですよね。会場内の移動のときに間隔が広く取れるので、感染対策はよくとれると思います」

このほかにも・・・

神奈川から参加の22歳男性
「フェスの参加は初めてで、人多いなっていう印象です。いつでも替えられるようにマスク10枚くらいもってきました」

神奈川から参加の21歳女性
「消毒スプレーも持ってきました。定期的に手洗いはしようと思ってます」

「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」、通称「ロッキン」は毎年夏、茨城県ひたちなか市の「国営ひたち海浜公園」で開催されてきましたが、ことしは新型コロナの感染対策として、観客が密になりにくい千葉市中央区の「蘇我スポーツ公園」に場所を変えて、8月6、7、11~13の5日間、3年ぶりに開かれることになりました。

渡辺記者

「最寄りの蘇我駅からは、大勢の人が会場に向かっています」

開催されたのは第7波のまっただ中。しかも、熱中症対策がさけばれる真夏です。参加する人たちに、不安はないのでしょうか・・?

神奈川から参加の22歳男性
「凍らせたペットボトル2、3本持ってきたりとかしてます。水分はとれるようにしたいです」

神奈川から参加の21歳女性
「帽子も日傘ももってきたので、日よけや水分補給をしながら楽しみたいと思います」

運営側は、今回、コロナ感染対策と熱中症対策についてさまざまな工夫をしていました。

入口に設けられた看板

コロナ対策で密を避けるため、チケットによって入場時間が指定されました。
入場口には消毒液も設置され、来場した人たちはそれぞれ、消毒液を使用してから手荷物検査を受けていました。

シャトルバス

最寄りの蘇我駅の混雑を緩和するため、近くの複数の駅からシャトルバスが運行されました。私が取材をしていた時間だけでも、多くのバスが行ったり来たりしていました。

またステージ前の電光掲示板には、「大声での歓声や合唱、接触行為は禁止です」という文章が流れていました。

会場内では、国のガイドラインにのっとって、ステージエリア以外で、▽ほとんど会話を行わず、▽他の人と2メートルの距離を保てる場合は、マスクを適宜外しても構わないとし、通常、禁止されていた日傘の使用も、条件付きで認められました。

ヘリコプターから撮影

取材を終え、カメラマン、ライトマンと3人で雑談をしていたときのことです。

渡辺記者

「みんな楽しそうですねぇ」

櫻井ライトマン

「実はわたし、11日に参加するんですよ」

渡辺記者

「えっ!?早く言ってくださいよ。参加する人を探していたんです」

いつも一緒に現場に出てカメラのアシスタントをしてくれている櫻井ライトマンが、参加するというのです。

のちほど改めて、感想を聞いてみました。

櫻井ライトマン

「好きなバンドがあって、11日に出演することを知りました。茨城はちょっと遠くて行ったことがなかったんですけど、千葉市なら行ってみようと思い、参加することにしました。フェス自体は初めてでした」

渡辺記者

「音楽フェスとバンドのツアーライブとでは、いったい何が違うんですか?」

櫻井ライトマン

「根本的に全く別物でした。例えて言うと、フードコートと普通の飲食店くらい違うと思います。フードコートは1か所にいろいろなお店があって自分で好きなものを選んで食べるじゃないですか。いろいろなバンドの音楽が楽しめるフェスは、フードコートなんだと思いました」

渡辺記者

「フードコートと普通の飲食店ってとてもわかりやすい例えです(笑)。会場内で大変なことはありましたか。暑さとかは大丈夫でしたか」

櫻井カメラマン

「わたしは日焼け止めを塗って、帽子をかぶってスポーツ飲料を1リットルもって行きました。でも、飲み物もお酒も売り場があったので困りませんでした。蘇我スポーツ公園にあるスタジアムが休憩スペースになっていて、疲れたらそこの日陰で休んでいる人もいました。ライブの途中で通り雨が降ったのですが、雨を浴びて、むしろ涼しんでいる様子も見られましたよ」

渡辺記者

「コロナ禍の3年ぶりの開催ということで、会場内で感染の不安はなかったですか」

櫻井ライトマン

「ステージエリアは、マスクを付けていないと入れませんでした。ステージに立つアーティストのみなさんが、『自分たちのMC(曲と曲との間に話すこと)で盛り上がって欲しいけど、声は出さないで欲しい』と相反することを話していて、いろいろ葛藤があるんだなと思いました。ただ、参加者もマスクの着用などのルールをしっかり守っていて、モラルが高いなと思いました」

渡辺記者

「主催者と参加者の協力のもとで開催できている、ということなんでしょうかね」

櫻井ライトマン

「こうした大きなフェスを毎年やってきた人たちは、コロナ禍で開催できなかった間は本当につらかったろうなと思いました。でも、『この音楽フェスを続けていきたいから、みなさんの協力が必要です』と主催者の人たちが話していて、参加するわたしたちも協力して、みんなでフェスを作っていこう、という雰囲気が良いなと思いました

櫻井ライトマン「コロナが流行してから、音楽好きな人たちが大勢集まるイベントがなくなってしまっていたので、好きな音楽や好きなバンドのパフォーマンスを見て聴いて一緒に盛り上がる雰囲気そのものが楽しかったです。わたしもコロナになってから一度も好きなバンドのライブに行けていなかったので、とても良い機会でした」

しかし台風8号の接近で、最終日前日の12日午後3時、運営側は最終日の開催中止を発表しました。

ロッキング・オン・ジャパン
「ステージや一部の会場設備が強風によって破損する可能性があることや、公共交通機関の機能不全など様々なリスクを考慮し、開催中止を総合的に判断いたしました。苦渋の決断でした。中止となってしまい大変残念です」

第1回の2000年の2日目に台風の影響で途中で中止となったことはありますが、前日に開催中止を決めたのは初めてだということです。

最終日に参加するつもりだった人たちからは残念がる声が聞かれました。

群馬からの参加者

「あすがメインで観に行きたい日だったので残念です。毎年、楽しみにしていたのですが、天気で中止になるのはしかたないですね。自分の夏が終わってしまったなあという感じです」

大阪からの参加者

「きのうから台風のニュースを見て大丈夫かと心配していました。きょうが最終日となって名残惜しいなあっていう感じです。でもきょう1日楽しめました」

千葉市で初めて開かれた「ロッキン」。4日間で108組のアーティストが出演、のべ18万人が参加しました。

「サマソニ」も3年ぶりの開催

また、2001年から千葉市美浜区のZOZOマリンスタジアムと幕張メッセで開かれているのが「サマーソニック」、通称「サマソニ」と呼ばれる音楽フェスです。去年、おととしは代替フェスが開催されましたが、「サマソニ」自体はことし3年ぶりの開催となりました。8月20日、21日の2日間で10万人が参加し、109組のアーティストが会場を盛り上げました。

渡辺記者

「なぜ千葉市のZOZOマリンスタジアムと幕張メッセを会場として選んでいるのでしょうか」

主催者

「サマソニは都市型フェスをコンセプトにしています。都心からのアクセス、複数会場で展開するフェス形式の仕様に適した条件を有しているからです」

渡辺記者

「なるほど。都心からのアクセスという点で、千葉市は大型フェス、イベント開催にはもってこいの立地と言えそうですね」

地元は経済効果にも期待

では実際に、地元にはどんな経済効果があったのでしょうか?

JR東日本千葉支社によりますと、「ロッキン」が開かれた蘇我スポーツ公園の最寄り駅となるJR蘇我駅のお盆期間(8月10~17日)の利用者は11万2千人、前年比で251%だったそうです。新型コロナ前の2018年と比べても171%で、鉄道利用が大幅に増えたことが分かります。

また、このほか秋にかけて多くの音楽やスポーツのイベントが開かれる千葉市は、新型コロナの影響で落ち込んだ地元の飲食店や宿泊施設の消費喚起につなげようと、参加者を対象に、500円で3000円分が使用できるプレミアム付き電子クーポンを、ことし販売しています。

クーポンは市内およそ270の飲食店や宿泊施設で、それぞれのイベントが開かれる10日前から10日後まで利用することができます。

市によりますと、8月23日現在で1万7000件が購入され、1番利用されているホテルでは900件あまりの利用があったということです。場所は「ロッキン」や「サマソニ」が開かれたJR蘇我駅や海浜幕張駅の周辺が多くなっているということです。

神谷 千葉市長

「ロッキンもサマソニもいずれも我が国を代表する音楽フェスであり、それが千葉市内で行われたということで、イベント効果を経済的にも生かし、市内の消費拡大にも繋げていきたい。ことしの取り組みを総括して、反省や課題などを聞き取りながら来年の開催や継続開催に向けた取り組みを強化していきたいと思います」

取材後記

さまざまな意見のある中、3年ぶりに千葉市で初めて開催された「ロッキン」、そしてこちらも3年ぶりの開催となった「サマソニ」。取材していて印象に残ったのは、主催者側の「フェスを続けたい」という思いに強く共感して、感染対策や熱中症対策に取り組む参加者の方々でした。わたしの抱くフェスのイメージはみんなで大声で叫んだり、コーラスしたりするものでした。本来であればそうしたいであろう音楽ファンのひとたちはみな、会場のルールにのっとり新しいフェスの形を楽しんでいました。3年ぶりでも変わらず、参加した何万人ものひとたちの暑い夏の思い出になっただろうと思いました。

  •  渡辺佑捺

    千葉放送局 記者

     渡辺佑捺

    2021年入局。取材中、会場からの音漏れで好きなアーティストの声が聞こえてテンションが上がりました。

ページトップに戻る