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コロナ「濃厚接触者特定せず」第7波の特徴や千葉県内の状況は

  • 2022年07月25日

感染が再拡大している新型コロナウイルス。千葉県内では23日に、過去最多となる9591人の感染が確認されました。1日あたりの感染者が1000人あまりだった今月1日から、わずか20日で1万人に迫る勢いです。そうしたなか、先日、熊谷知事が、保育所などでの濃厚接触者の特定は行わないことを表明しました。

(千葉放送局記者 坂本譲)

「濃厚接触者、特定しません」

今月21日、熊谷知事は定例の記者会見で、こう述べました。

熊谷知事

「すでに事業所などでは濃厚接触者の特定は行っておりませんが、今後保育所などにおいても同様の扱いとし、濃厚接触者の特定を行わないことといたします」
「感染者と接触があったことのみを理由として、園児の通園などを含む外出を制限する必要がなくなるため、保護者の就労を妨げる社会経済活動への影響を小さくすることができると考えます」

すでに、この方針を市町村に通知したということです。

坂本記者

熊谷知事は判断の理由として、オミクロン株は感染性・伝播性が高く、潜伏期間と発症間隔が短いため、感染が急拡大することから、濃厚接触者を特定し、待機させることの有効性が低下していると指摘しました。

子どもたちがマスクをすることが難しい幼稚園や保育所などでは、これまで新型コロナの濃厚接触者を特定し、子どもたちに自宅待機を求めてきましたが、保護者からは「子どもが自宅待機の期間中、仕事ができない」といった日常生活への支障を訴える声が上がっていました。

保育所イメージ

最近のコロナ、症状は?

 

知事が話すように、濃厚接触者を特定して待機させる有効性は低下しているのでしょうか?最近感染がわかった相澤デスクに聞いてみます。

相澤デスク

そうかもしれません。私の場合、夫が体調不良を訴えたその日の夜に、のどに違和感を感じました。翌朝、夫に熱がありすぐに近所のかかりつけ医に行ってもらい、抗原検査で陽性だったため、私と子ども3人はPCR検査を受け、その日の夜に、▽私と4歳の長女が陽性、▽2歳の次女と3か月の三女が陰性、ということがわかりました。

坂本記者

夫が発症してまもなくしてデスクにも症状が出たということで、濃厚接触者として隔離のタイミングもなかったということですね。そのときの具体的な症状はどうでしたか?

相澤デスク

私の場合は軽い頭痛とのどの痛みで、長女は無症状でした。子どもたちが小さいため部屋をわけて生活することができず、夫だけ部屋を隔離し、私と長女はマスクで手洗いや消毒をこまめにすることで、なんとか2歳児と3か月の下の子たちには感染しないようにと願うだけでした。

坂本記者

その後はいかがですか?

相澤デスク

幸い私の場合は発熱はなく、頭痛は2日くらいでよくなりましたが、倦怠感が3~4日続きました。長女は無症状のままで、陰性だった次女と三女にも今のところ変化はないので、このまま自宅療養期間が終わる28日まで推移してくれればなと思っています。

BA.5とは

政府分科会によると「第7波」となっている背景には、以下のような理由が指摘されています。

▼「BA.5」の感染力が、従来のオミクロン株よりも高いこと
▼「BA.5」に、ワクチンや感染による免疫をかいくぐる「免疫逃避性」があること
▼3回目のワクチン接種から数か月たち、免疫の効果が下がってきていること
▼高齢者の4回目接種もまだ途中で、若い年齢層の接種率もまだ低いこと

国立感染症研究所の分析では、国内で「BA.5」の占める割合は先週の時点で96%に上っているとみられ、8月の第1週には全国で100%になると推定されるとしています。首都圏の1都3県では99%と、すでにほぼすべてが置き換わっているとみられています。

一方、少ないのが重症者です。7月24日現在、千葉県内の重症者の数は9人。予断は許さないものの、今のところ感染者の多くは無症状、または軽症で済んでいます。また、確保病床使用率は、24日時点で48%となっています。

感染拡大ペースは想像以上

予想以上の感染の急拡大でこんなトラブルがありました。

千葉県では、感染の急拡大で発熱外来の予約が取りにくくなっているとして、抗原検査キットなどで陽性だった場合、インターネットで登録して医師の診断を受けられる専用サイト「陽性者登録センター」を21日に開設しました。

このサイトは「第6波」の時にも開設されていて、その経験から1日およそ100人の登録者を見込んでいましたが、開設から1日だけで想定のおよそ17倍にあたる1751人の登録があったということです。

このため千葉県は、診断を担当する4人の医師だけでは対応が追いつかないとして、登録を一時、休止する事態になりました。

県は、対応する医師の人数を増やすとともに、これまで電話で行っていた診断をメールに変更するなど体制を強化して、25日から登録を再開しました。しばらくは1日の登録受付の上限数を300件に設定し、今後、受付上限数を拡大していく予定です。

私が再開して30分後くらいにアクセスしてみたところ、すでに上限数に達してしまっていました。

県が無料で配布している検査キットについても、想定以上の申し込みが殺到しています。1日あたり5000キットの配布をする想定で準備をしていたそうですが、開始1日で21805キットの申し込みがあったということです。
取材に対し、県の担当者は危機感を口にしました。

県担当者

県の想定以上に感染者が増えている可能性もあります。

病院では・・・

千葉市にある千葉大学病院では、先週から、濃厚接触者となった医療従事者について、自宅待機は行わず、抗原検査を行って陰性が確認されれば出勤を認める対応を始めました。
濃厚接触者となった医師や看護師は、朝の出勤時に抗原検査を行い、自ら検体を採取して、陰性が確認されたあとに業務に従事するということです。

千葉大学病院では第6波の感染拡大の際に1日100人以上の医療従事者が欠勤して人手不足となったことから、今回、抗原検査を活用して診療態勢を維持したいとしています。

猪狩部長

千葉大学病院感染制御部 猪狩英俊部長「出勤できない医療従事者が増えてこれから危機的な状況に入ってくると思うので、抗原検査を実施して人員を確保していきたい」

行動制限はかけず、社会経済活動の維持へ

感染が拡大する一方、政府は第6波の時とは違い、過度な行動制限をかけず、社会経済活動の回復に向けた取り組みを段階的に進めていく対応をとっています。

熊谷知事は先日の会見で、体調が悪い人が会社に報告をすると、会社はコロナを疑って検査を受けるよう促し、これまでならその程度の症状なら診察を受けなかった人たちが多数、発熱外来に殺到することによって、発熱外来の機能が十分に果たせずひっ迫をする状態になっている、として次のような認識を示しました。

熊谷知事

結果、比較的重い症状の方々が発熱外来などの診療を受けられないことによって、119番通報などの救急に至る状況になり、そして救急にそうした発熱患者などが大量に殺到し、その中には当然ながら救急が本来は見るべきではない、救急から見ると軽症の方々が多数含まれて結果的に救急がひっ迫し、救急を本来受けるべき方が受けられない。こういうような状況が玉突き式に、今まさに発生をしている状況にあります。

そのうえで政府への要望として、次のように述べました。

熊谷知事「政府においては社会経済活動との両立を図るのであれば、今の疾病の位置づけを維持したままでは、とうてい医療が成り立たないわけですので、社会観念上も制度設計上も、こうした実態に合った制度設計をしなければならない。速やかに政府には感染症の位置付けの見直しを議論し、決定をしていただきたい

取材後記

感染の拡大が続く一方で、社会経済活動との両立のため行動制限が課されない・現段階では軽症や無症状がほとんどで自宅療養が主流となるなど、「第7波」の対応や感染状況は、これまでのものと変わってきています。感染症としての新型コロナの捉え方を見直す、一つのタイミングが訪れているのではないかとも感じます。しかし、重症化リスクが低いとされていても、入院患者数は非常に速いペースで増えていますし、医療現場は決して余裕があるとは言える状況ではありません。踏ん張ってくださっている医療に携わる皆さんのために私たちができることは、引き続き基本的な感染防止対策を徹底する、このことに尽きると思います。

  • 坂本譲

    千葉放送局 記者

    坂本譲

    2020年入局。千葉県政を担当。手洗いうがいを心掛け、家に帰ったらまずお風呂に入るようにしています。

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