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成田空港 田村社長に聞く コロナ・需要低迷どう乗り越える?

  • 2022年01月07日
成田空港会社 田村明比古社長

「日本の空の玄関口」の成田空港は、新型コロナのオミクロン株による水際対策の最前線となり、国際線の旅客便の数はコロナ前のおよそ3分の1まで減少しています。この「過去最大の危機」をどう乗り越えるのか、成田空港を運営する会社のトップ、田村明比古社長に聞きました。

年頭の挨拶 「私たちの敵は手強く 一筋縄ではいかない相手」

1月4日、成田空港会社で、新年の挨拶をした田村社長。新型コロナの影響をおととしから受けている空港の運営の陣頭指揮をとっています。

成田空港会社 田村明比古社長
「私たちの敵は、なかなか手強く一筋縄ではいかない相手だ。航空需要の復活に向けて着実に歩みを進める年になる」

2年連続の赤字 「過去最大の危機」

成田空港会社は去年、中間決算として初めて2年連続の赤字となり、「過去最大の危機」を経験したといいます。

「航空・空港業界としては非常に厳しい年だったと思います。(開港以来)基本的には、航空需要はずっと右肩上がりで来ていました。コロナという全世界規模で人の移動というものが、ほぼ制限され、かつ、これが2年に及んで長引いているというのは、最大の危機ということですね」

空港は依然閑散 独自の支援策続ける

2年たった今も、空港内におよそ400ある店舗の半数以上は閉まったまま。こうした状況を受けて、成田空港会社は航空機の着陸料の免除や、空港内の雇用支援にあたる窓口開設などの対策を独自に行っています。

成田空港会社 田村明比古社長
「この厳しい時期に、例えば航空会社がどんどん破綻してしまったりとか、あるいは中に入っているテナントの事業者さんがみんな撤退してしまうというようなことだと、いざ、また空港として活気を取り戻そうというときに、その需要にお応えできない、空港の機能を果たせないということになりますので。そういう意味でも、この苦しい時期に空港が利益を優先するのではなくて、やはり航空・空港コミュニティー全体で、耐えていこうと思っています」

オミクロン株で水際対策 再び強化

去年11月には、国内の感染拡大の落ち着きを受けて、いったんは空港の水際対策は緩和されました。しかし、1か月もたたないうちにオミクロン株が出現し、再び対策が強化されています。

成田空港会社 田村明比古社長
「(去年)11月の時点で徐々に国際的な往来も世界的に制限が緩み始めていたところで、これから需要が伸びてくるなというときに、また新しい変異株が感染拡大してきたということなので。これは、我々にとっては非常に大きなダメージではあります。ただ、この空港は、国にとっては水際対策の最前線基地だということもありますから。国として、その正体がよくわからないウイルスのまだ知見が得られない間は、しっかりと水際で食い止めようという方針なので、空港としては全面的・最大限協力する」

貨物は過去最高 旅客の需要回復へ努力

成田空港では、旅客便の利用が大きく落ち込む一方、貨物便の発着回数は、20か月連続で過去最高を更新しています。田村社長は、こうした状況でも、旅客の需要回復に向けて、旅客輸送の拠点としての機能を続ける努力が重要だと話します。

成田空港会社 田村明比古社長
「好調な貨物が、ある程度の下支えになっているというのは事実ですが、それよりもやはり、旅客の需要が戻ることが基本だと思うんですね。航空というものは、安全で安心できる輸送手段だということは、このコロナ禍でもちゃんと実現していかなければいけない。それがお客様の信頼感につながって、少し世の中の規制が緩んできたときに、旅行しよう・空の旅をしようとなる、ということだと思います。ですから、今、こういう苦しい中でも、最低限航空として実現しなければいけない価値を生み続けるといいますか、そういうものをお客様に提供し続けるということ自体が、少し先の未来、需要の回復につながってくると思います」

「守り」から「攻め」に転じる“航空復活元年”に

そうした中で迎えた2022年。田村社長は、同じコロナ禍でも、「守り」から「攻め」に転じる“航空復活元年”にしたいと話します。

「もちろん感染状況次第でありますけど、ことし2022年は、反転攻勢の年にしたいと思います。やっぱり2022年の前半に、オミクロン株に対する医学的・疫学的な知見も出てきて、そして3回目のワクチン接種も高齢者から始まってだんだん進んできて、“こういう対処の仕方をすれば新しい変異株とも付き合っていける”ということが世界的に出てくると、航空需要も戻ってくると思います。航空業界にとっての“復活元年”かしらね」

取材後記

国内線の需要が戻りつつある一方、新型コロナの水際対策で国際線の需要は戻らず、国際線の発着が主な成田空港は、非常に厳しい状況に置かれています。オミクロン株の感染拡大などコロナ禍の先行きは不透明ですが、田村社長はインタビューの中で「日本は世界とつながっていないと存在できない。島国の日本にとっては、航空はなくてはならない」と強調していました。ことし、成田空港が“日本の空の玄関口”としてその役割を果たすために機能を維持し続け、田村社長が言う“航空復活元年”となるかどうか、取材を続けていきます。(NHK千葉放送局成田支局 佐々木風人)
 

  • 佐々木風人

    千葉放送局 成田支局

    佐々木風人

    新聞社を経て、2018年入局。前任地の富山から11月に着任しました。新型コロナで便数が激減する成田空港ですが、いつか人々がもっと自由に海外と行き来できる日が来ると信じて“日本の空の玄関口”を取材します

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