ページトップへ
2018年7月26日 建物から安全に避難!「平泳ぎ避難」
サイ坊 「三重県で、建物から安全に避難するために「平泳ぎ避難」という取り組みが始まったんだ」
サイ坊
「三重県で、建物から安全に避難するために「平泳ぎ避難」という取り組みが始まったんだ」
シュト子 「えっ?平泳ぎ・・・わたしはあまり得意じゃないけれど大丈夫かしら?」
シュト子
「えっ?平泳ぎ・・・わたしはあまり得意じゃないけれど大丈夫かしら?」

 

南海トラフの巨大地震で大きな被害が想定されている三重県では、各地でさまざまな避難訓練が行われ、大人数が集まるホールなどでも、繰り返し訓練が行われています。

しかし、狭い出入り口などに人が殺到した場合、けが人が出るおそれも指摘されています。

そのような場合に、人と人が間隔を保ってスムーズに避難するために考え出されたのが「平泳ぎ避難」です。

 

 

人の「渋滞」と危険性

(平成30年3月23日OA「ほっとイブニングみえ」津局)

平成13年、兵庫県明石市の歩道橋で花火大会の見物客が折り重なって倒れ、幼い子どもを含む11人が死亡、およそ250人がけがをしました。

 

人の「渋滞」について研究している東京大学先端科学技術研究センター 西成活裕 教授

駅から来る人と、花火を見終わって出る人たちが ぶつかったり交差したりするところですね。ここで非常に人口密度が高まって死者が出る」

西成教授によると、1平方メートルあたり人がおよそ1.8人入ると渋滞が起きるということです。

 

「これが1メートル四方です。混んでいるときに これくらいの距離につまってしまうと非常に歩きづらくなり、歩くときにぶつかってしまう。それが渋滞の始まりになっていきます」

シュト子 「1メートル四方って結構狭いのね・・・避難しているときだと もっと人が多くなって渋滞してしまうのね」
シュト子
「1メートル四方って結構狭いのね・・・避難しているときだと もっと人が多くなって渋滞してしまうのね」

 

 

 「平泳ぎ避難」で渋滞回避

鈴鹿市消防本部では、西成教授の話をヒントに、「平泳ぎ避難」を考案しました。

 

鈴鹿市消防本部 前澤敦士 予防課長

「1.8人を下回るような避難の方法がいいということで、うちの職員から『手の間隔をとるのに平泳ぎの動作をしたらどうか』という発想が生まれたのです」

 

シュト子 「みんなが平泳ぎをしたら手と手がぶつかって かえって混乱するんじゃないかしら?」
シュト子
「みんなが平泳ぎをしたら手と手がぶつかって かえって混乱するんじゃないかしら?」
サイ坊 「あまり大きく手を動かさなくてもいいみたいだ。消防と鈴鹿市の小学校が実験をしているので見てみよう!」
サイ坊
「あまり大きく手を動かさなくてもいいみたいだ。消防と鈴鹿市の小学校が実験をしているので見てみよう!」

 

消防が行った実験

災害時、帰宅困難になって滞留した2つの群衆が、安全な場所を求めて相対するように別の出口を目指した場合、 通常の避難  平泳ぎ避難 の場合の早さや安全性を比較しました。

 

 

 通常の避難 では人口密度が高まって渋滞が起き、危険な状態になりました。

 

 

 

一方、 平泳ぎ避難 をすると、人と人との間に空間が生まれ、接触が減りました。

 

サイ坊 「実験の結果、平泳ぎ避難のほうがより早く、安全に避難することができたんだ。」
サイ坊
「実験の結果、平泳ぎ避難のほうがより早く、安全に避難することができたんだ。」

 

三重県鈴鹿市の小学校が行った平泳ぎ避難の実証実験

建物内の部屋にいた小学生119人が、扉に見立てた場所から逃げるという想定です。

はじめに、 ふだん通りに避難 します。

 

 

出入り口付近に子どもたちが密集してしまいます。

後ろから押され、将棋倒しで転ぶ子どもに さらに子どもが押し寄せ、危険な状態になりました。

 

転んでしまった子どもは「後ろからどんどん押されて自分で立っていることができなくて、それで人に足を取られてこけちゃいました」といいます。

 

次に、同じ状況で 平泳ぎで避難 

 

 

人と人の間に空間が生まれ、スムーズに避難することができました。

 

参加した児童は「間隔が取れるから人とぶつかることがないと思う。平泳ぎの方が安全だと思いました」と感想を話します。

 

前澤予防課長は、「今までの避難の方法の指導としては押さないとか走らない戻らないというような画一的な指導をやってきました。でも、押さない走らないと言っていても狭い場所に人が集まってくると、どんどんぎゅうぎゅう詰めの状態になってしまうんです。間隔を保って避難するというところで、平泳ぎ避難は有効だと考えている」と話します。

 

鈴鹿市消防本部では、市民が参加する防災訓練でも平泳ぎ避難を取り入れています。今後は市内だけでなく、ほかの自治体にもこのユニークな避難方法を広めていきたいとしています。

 

西成教授は、「平泳ぎの動作で腕を動かしている範囲に、人はなかなか入りづらいですから、それなりのスペースも確保できる。自分では考えつかなかった方法なので、私は非常に高く評価していて、いざというときでも、無意識に安全に外に避難できるようになっていくのではないかと思う」と効果に期待しています。

 

シュト子 「これから夏に向けて、多くの人が集まる場所に出かける機会も増えるわよね。いざというとき、安全に避難するために「平泳ぎ避難」が広まっていけばいいわね!」
シュト子
「これから夏に向けて、多くの人が集まる場所に出かける機会も増えるわよね。いざというとき、安全に避難するために「平泳ぎ避難」が広まっていけばいいわね!」