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洪水から命を守る ~新たな浸水予測 各地では…~

「洪水から命を守る ~新たな浸水予測 各地では…~」2016年7月29日

ケン「今回は大雨がもたらす洪水について考えてみよう!昔から、大雨による洪水被害はかなり深刻なんだ!」
シュト子「平成27年には、鬼怒川の堤防決壊で広い地域が浸水して、大勢の人が取り残されるなど 大きな被害がでたわね。」
サイ坊「平成27年の関東・東北豪雨などを受けて、国土交通省は5月に最大規模の洪水が起きた際の『浸水予測地図』を新たに公表したんだ。これまでの想定を “大きく上回る被害予測” になった愛媛県大洲市について松山局のリポートを見てみよう。」

1氾濫常襲地帯 大洲 (平成28年6月16日OA 「ひめポン!」松山局)

肱川(ひじかわ)が市街地を流れる 愛媛県大洲(おおず)市では、新たに公表された最大規模の洪水が起きた際の『浸水予測地図』で、中心部でも最も深いところで6階建てのビルに匹敵する20メートルの浸水想定が示されました。
これまでの想定を大きく上回る浸水予測に、地元の住民や行政の間には戸惑いが広がっています。

大洲市の中心部を流れる肱川。
盆地の大洲市では、肱川がたびたび氾濫し大きな被害を受けてきました。

平成7年には梅雨の大雨で大規模な氾濫が発生し、市街地など870ヘクタール余りが浸水し、電子機器工場が操業停止に追い込まれるなど地域に大きな打撃を与えました。

2これまでの対策

激甚災害にも指定されたこのときの被害を教訓に、肱川を管理する国は平成16年から本格的な堤防の整備に乗り出しました。
しかし、堤防が完成しても盆地で傾斜が緩やかな大洲市中心部は、川の水がたまりやすく、洪水を押さえ込むことは難しいのが実情です。

このため国は、いざというときに住民の安全を確保できるように13年前の平成15年に浸水想定を作成しました。
大洲市はこれを基に防災計画を策定し、避難所の設営や住民の避難の進め方などをまとめました。

3公表された “最悪想定” の 新予測図

ところが去年(平成27年)、関東・東北豪雨が発生。深刻な被害が広がったことで、国は対策をさらに強化する方針を打ち出します。
甚大な被害が出るおそれのある 全国の主な河川について、最大規模の洪水を想定した新たな浸水予測地図の作成に乗り出しました。

5月末に公表された肱川と支流の矢落川(やおちがわ)の『浸水予測地図』です。
浸水面積はこれまでの想定より57%多い2,308ヘクタール
浸水の深さも増して、市街地のほとんどの場所で6階建てビルに匹敵する10mから20mの深さまで浸水すると想定されています。

シュト子「これまでの予測より57%もい広がるなんて・・・」

肱川右岸の、国道56号線やJR予讃線が通り、店舗や住宅などが立ち並ぶ若宮地区などは、『家屋倒壊危険区域』とされました。
洪水によって木造の住宅が押し流されるおそれがあるなど、特に危険性が高いとしています。

大洲河川国道事務所 調査課長 	髙島愛典さん「ハード対策だけでは限りがありますので、ソフトも含めて連携していかなくてはと思います。」

4地区での検討 ~困惑する住民~

市の中心部にある若宮地区は、全域が浸水し、ところによっては深さが20メートルに達すると想定されました。

地区の自主防災会で会長を務める 手水川公(てみずがわ・いさお)さんは、これほどの浸水が想定されるとは思ってもいなかったといいます。

「平成7年のときは足首までがぬれたくらい。20メートルだったら家なんかは つかるでしょうね・・・」

新たな想定を受けて、地区で対策を話し合いました。

しかし、あまりにも想定される被害が大きく、住民たちは途方に暮れています。

「20メートルといったら若宮ぜんぶ入りますよ」
「行政にも入ってもらって それなりの対策、避難方法を協議せんと。 見当がつかない気がする」

シュト子「20メートルなんて想像できないわよね~・・・」
自主防災会 会長 手水川公さん「若宮だけで1,600世帯くらい。避難場所が限られているので、全員が避難する場所がない。それをどうするかがこれからの課題かと思います。」

5市も抜本的な見直しを

大洲市もとまどいを隠せません。

市役所も2階まで浸水して使えなくなるおそれがあると想定されました。
これまで指定していた避難所も、ほとんどが浸水エリアに入ってしまい、対応を抜本的に見直ししなければなりません。

大洲市 市長 清水裕さん「どういう形でサポートすれば、皆さんが安心するような計画を立てることができるか、これから検討していかなければなりません。まずは自分たちのところでがんばりますが、それができない場合は、余力がある自治体に支援をお願いすることも考えます。市・県・国が一緒になってやっていくのが一番重要だと思います。」

今回の想定を受けて、流域の自治体は避難場所や避難経路を検討し、地域防災計画の修正やハザードマップの作成を行うことになります。
最大規模の洪水から住民の命を守っていくため、地域自治体、そしてが、連携を深めていくことが求められています。

シュト子「自治体から国まで連携していかなければならないことは分かったけど、わたしたちにはどんなことができるのかしら?」サイ坊「先日公表された、『関東・東北豪雨』についての検証委員会の報告書では、行政がさまざまな対策をするだけでなく、住民に対しても 「住んでいる地域の自然災害の危険性を理解し、自ら避難をできる地域防災力を身につけてほしい」と呼びかけているんだ。報告書で『お手本』として取り上げられた、常総市のある地区の取り組みについて水戸局のリポートを紹介しよう!」

6ショートメールで情報発信 (平成28年6月14日OA 「茨城ニュース いば6」水戸局)

「避難指示が発令されました」

「堤防が決壊」

「あきらめるな」

豪雨の日、常総市のある町内会で送られたショートメールです。

常総市の根新田(ねしんでん)地区は鬼怒川に近く、土地が低い場所にある農村地帯です。

当時、鬼怒川やその支流から水が流れ込み、地区のおよそ100世帯のうち、9割ほどが床上まで水につかりました。

ショートメールの発信元は、町内会自治区長の鈴木孝八郎さんです。

水位が上がってくる中、システムの担当者と「自分たちはとどまる」と決め、家の2階から非常用のバッテリーを使って、ショートメールを送り続けました。

町内会が導入していたシステムは、担当者がインターネットでメッセージを書きこむと、事前に登録してある携帯電話に瞬時に届く仕組みです。

★ 根新田地区では町内会のすべての世帯が加入。

★ 婦人会の集まりや一斉清掃など、ふだんからさまざまな行事の呼びかけに使われていました。

ケン「災害時用の特別なものではなく、ふだんから活用されているツールを使ったところがいいね。」シュト子「特別なものだと「イザ」というときに「見る」ことまで頭が回らないかも・・・」

鬼怒川の堤防が決壊した当日。

午前10時19分
川の上流の地区で避難指示が発令されたことを伝えました。

決壊から7時間後の午後7時42分。
辺りが暗くなる中、地区でも浸水が始まったことを連絡しました。

「まさかあんなに水位が上がってくるとは思わない状態なので。とにかく避難してくれ、避難してくれということでした」

あわせて50通にのぼったメールは、根新田地区で多くの人が避難を始めるきっかけになりました。

7ショートメールの有効性

メールを受け取った1人、髙田義雄さんです。
「水がここまで来ました」

髙田さんは、鬼怒川の堤防が決壊したことを、市の防災行政無線で聞いていました。
しかし、隣町への避難を決意したのは、それから2時間半後

ショートメールで、「地区にも浸水被害が想定される」という文字を見たときでした。

「メールを見た時点で、これはもう水が来ては逃げるところがないと思って避難した。災害があったときもメールを見るようにしていましたので、助かりました」

シュト子「自分が住む地区の、状況の変化が伝わるから住民も判断しやすかったのね。」
根新田町内会自治区長 鈴木孝八郎さん「行政無線より地域だけの有効性のある情報が流せたかなと思いますね。互助互恵という気持ちを持ってましたけど、やっぱり行政に頼るんじゃなくて、まず地域で守るんだと。これからも必要だと思いますね。」

筑波大学の研究室は、この春、根新田地区のほぼすべての世帯にアンケート調査を行いました。
そこから見えてきたのは、 “地元の地区から発信されるショートメールの有効性” です。

根新田地区で回答があった92人のうち、68人が自力で避難
ヘリコプターボートで救助されたのは、11人にとどまっていました。

自力で避難をした人に「避難を始めたきっかけ」を複数回答で聞いたところ、
市の防災行政無線に次いで、ショートメール2番目でした。

ケン「行政の手が回らないところを『自分たちでどう補っていくか』のいい例だね。」
筑波大学教授 川島宏一さん「具体的な行動に起こすためのきっかけとして、地域全体がひとつの情報を共有している。災害に関する情報を共有する動き、取り組みはすばらしく効果がある。『日頃の情報交流に役立っていた活動が、非常時にも生きた』という意味で、根についている。しっかりとした活動で役に立って非常にすばらしいと思います。」
シュト子「やはり行政だけに頼ってはいられないということなのね。」サイ坊「大規模な災害では、行政は障害者やお年寄りなど、手助けが必要な人たちの避難に力を注ぐ必要がある。限られた人員で、さまざまな対応に当たるため、住民も災害への備えを万全にして、自分の身を自分で守る心構えが大切なんだ。」

■ほかにも備える

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